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⑫異界世紀末記―最後の聖女―  作者: 邑 紫貴
第一章:召喚 真木野 理世(まきの りせ)

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③転:出発前夜


学園を卒業し、ここに来て数年。

そう同じ24時間。それが何を意味するのか。


王の元に来たのは、勇者ジークハルト。背には弓と矢。遠距離。

魔法使いのマリー。

聖女として選ばれた私リセ。

側近の騎士フリック。近距離はフリックになるのだろうか。

学園に通ったのだから、魔法は使えるよね。

王子ユーリスは一緒に行くか迷っている。

多分、分岐。私の発言で何かが変わる。

連れて行くとすれば。

魔王を倒したとして、次期王を失う可能性も否定できない。

置いて行くとすれば。

火力を失う。


ユーリスは優柔不断。

答えは自分の中にあるものだと思って生きてきた。

迷って失敗して、もう二度とチャンスは来ないかもしれない。

それでも自分で選択して、決断してきたその結果。

次に生かせるか、同じ繰り返しか。

友達は、私と行きたいと言っていた大学に入れただろうか。

「リセ、君が行くから勇者と一緒に行くことにしたよ。」

「そう。ユーリス、覚えておいて。あなたが優先すべきは、魔王を倒した後の役目。王として、この国民を幸せにしてあげて欲しい。」

「リセ、ありがとう。きっと生きて無事に帰り、二人でこの国をもっと繁栄させようね。」

穏やかな笑顔。

私は目を細め、口元だけの笑みを返す。

この人に、何を言っても無駄だと思った。


旅支度を整え、出発前の宴。

学園のレジェス先生も呼ばれていたのか、私の元に来て。収納カバンを手渡した。

これがウワサの異空間収納できるという便利な。

中には、旅の途中で飢える事のないほどの量の食料と水。

これは好感度でもらえるレアなヤツだろうか。

額にキスを受け、ちょっと汚いななんて我慢したのがコレになったのだと思えば報われる。

「先生、今まで沢山の教え。旅に必要な物まで。感謝いたします。ありがとうございました。」

「無事に帰っておいで。君の魔法、聖女としての役目は魔王討伐では終わらない。」

私は目を細め、笑顔を向けたつもり。

私をこれ以上、ここに留めるつもりなのかと。怒りが生じた。


「おい、手荷物はもう積み込んだ後だぞ。」

知ってるけど。仕方ないじゃない。

これがイベントか知らないけど、空気読めないヤツが持ってきたのだから。

しかも宴で渡すとか。それをどうにかするのが、側近の役目では?

いや、護衛的な意味での側近だから違うのか。

割と面倒見よくて甘えていたのだと自覚した。

「フリック。ありがとう、どうやら甘えすぎていたのだと今、気づいたわ。その乱暴な口調も、他の誰かではなくフリックだけ。普通の理世でいられた。」

「お前は特別だよ、他の誰でもない。俺は、お前の為に命も懸ける。身を呈して守る。お前だけでも生きて帰ってくれ。」

私は視線を合わせたまま、手に持った収納カバンをフリックに渡した。

「それ、整理の終わった荷物に追加しといて。今から、ライオネルのところに行かなきゃいけないから。」

フリックは上機嫌で背を向け、宴の会場を後にした。

私の為に死ぬ?

ふざけんな。後味悪い。

自分が死にたくないのは当然として、誰かに庇われて死なれるとか気分が悪い。

二度と、聞きたくない。

フリックが近距離だからだろうか。

誰よりも魔王に近く、常に喪うのではないかと。


「聖女よ、不安なのですか?」

ライオネルの方が不安そうな表情だと思うのだけれど。

この人が恐れているのは、私ではなく聖女を失う事。

「不安しかない。学園でも魔法や学力などの試験で一番にはなれなかった。」

「成績が全てではありません。あなたはこの世界に召喚され、ここで生きてきた者たちとは違うのです。」

そう、私はここの人間じゃない。

そうね。確かに日本で、何か一番になったとしても。

もう……戻ったとしても、私の居場所はないかもしれない。

この年月。私も大人の年齢。絶望と恨み。

「ライオネル、聞きたいことがあるの。」

「なんでも。」

「私以外に、聖女候補がいたでしょう?」

「どうして、そんな事を。」

やはり、居たんだ。

「その人たちは、今、何をしているの?」

全員、聖女にしてしまえばいい。

そして、少数に任せるのではなく。国として立ち上がるべきだ。

この世界の危機なのだから。

「聖女リセ。あなたは選ばれたのです。」

「誰が?何の為に?」

「この世界の女神、レイラリュシエンヌ様です。あなたは、魔王の復活に備えて頑張ってきたのではありませんか?この世界の歴史を学び……」

「そう、頑張ってきた。予告された魔王は復活する。それは何度、この世界で繰り返してきた?」

歴史を学んだ。けれど、どんなに調べても前回の勇者の記述が少し。

その役割の勇者がいる。ジークハルトだ。

そして、共に紹介があった魔法使い。マリー。

彼女は学園で、魔法の試験で常に一番の成績だった。

「聖女リセよ。これからの道のりはまだ長く、魔王の復活まで猶予が少し。あなたは聖女として、何が出来るのか。それだけを考えるように。」

神官ライオネル。

聖なる力を使うなら、あなたが聖女の役をすればいい。

聖女とは何か。

私の中で、イメージとして存在するのはマリア様だろうか。

神から選ばれ、御子を産み。

で?それ以外を知らない。

何故、私だったのか。

そう、私は魔王を倒すために召喚された。




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