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⑫異界世紀末記―最後の聖女―  作者: 邑 紫貴
第七章:未来人 田中 地球(たなか そら)

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②逆行とループ


俺の登場により、会議が一時中断。

魔王討伐が失敗すれば、またループしてしまう可能性もあるというのに。

そもそも、何故ループするのか。

いや、時間軸を歪めたのは、リセの召喚。宇宙船による時間干渉。


「待たせてすまない。君が聖女リセの子孫と聞いた。」

王との謁見。

しかし俺はこの世界の人間ではなく、被害者遺族。

リセが生きているから俺がいる。

もしループの中に死んだ世界があるなら、俺は存在しない。

「あぁ、失礼承知で言わせてもらう。時間に干渉した責任を、どうとるつもりだ?」

「この世界の消滅。それが神の望む結末であれば、滅びをもって償うことになるだろう。」

異界世紀末。それは神に抗って世界を救うということか?

「この世界は、女神レイラリュシエンヌ様の加護を受けた者が救うのでは?」

それがゲームの根幹。

リセの記したシナリオ。アイテム一つで覆る。

「女神レイラリュシエンヌ様は人に転生し、この世界にいる。当人が聖女ではないと言うのだ。……繰り返されるこの時間を、共に生き。魔王が何なのか。最後の聖女が誰なのか。きっと今回で終わりを迎えるだろう。」

王は表情暗く。言葉を連ねていく。

そのどれも、俺には理解できない事だった。

アイテム一つでゲームクリアできるヌルゲー。

それは。この現実とはかけ離れたもの。

女神が人に転生して、存在する?加護を与える立場が。

人になれば、加護は?

この世界を救う聖女ではない。ここにリセはいない。

何度か繰り返す中。この世界が滅ぶなら。星が消滅するなら。

魔王とは何だ?

「そなたの怒りは当然だ。一度、リセはこの世界で死んだのだから。申し訳ないと思っている。学園で魔術を教えていたレジェスが、リセに加護の魔法を与えていたのだ。そのおかげで、リセの元の世界と切り離され……」

あぁ。あの額にキスを受けていたのは。

あれはリセを、この世界から切り離すためだったのか。

この世界を救う為なら、どんな手を使っても。それは誰しも願う事。

誰かを犠牲にしても。

それが魔王なのか聖女なのか。女神なのか。

俺には何が出来るだろうか。

「王よ、一度はこの世界の聖女になったリセ。その子孫として、何が出来るだろうか。ここに来られたのも、何かの縁。運命の歯車になるだろうか。」

「きっとなるだろう。リセは選ばれた聖女なのだから。」

誰に選ばれたのだろうか。

女神レイラリュシエンヌ様が人になっているなら。

神はこの世界、星を消滅させようとしているのなら。

繰り返す意味は。

世紀末を超えるエンディングがあるのかもしれない。


王との謁見を終え。

食事を勧められて、場所を移動した。

ゲームで見た光景。

大きな机に、様々な料理が並び。見た事のあるお菓子や、昔のリセ時代の料理。

まさか、こんな形で食べることになるとは。

会議に参加していた人も来ると言っていた。

ゲームで見た人も当然いるだろう。そして女神から転生した人も。

ドアが開き、次々に入ってくる人。会釈に応じ。

椅子に座るように勧められたので、席に着く。

「冷めないうちに、どうぞ。遠慮なく食べてください、ソラ。」

王子だろう。その隣にいるのは、婚約者?

スチルとは違うような。

「私はユーリス、隣に居るのは婚約者ユニアミ。この並んだ料理のレシピを考案した者だ。」

この料理を。外見は明らかに日本人ではない。

この世界の住人。転生者。

「後ろで待機しているのは、さっきソラと一緒に居たフリック。この国の騎士。他の者の紹介は、食べ終わった後にしよう。会議に、君も参加して欲しいからね。」

俺は料理を口に運び、味わう。

美味しい。俺達が過去に失ったもの。それがここにある。その意味は。

俺に出来る事。後でユニアミからレシピをもらおう。

きっと俺たちの世界の未来を変える。ここに来た意味。

リセは一度、この世界で死んだ。

ゲームじゃない。俺は。


食事を終え、会議の場所に誘導される。

その道のり、移動する人達を観察する。女神から転生したのは誰だろうか。

背中を走る寒気。

足を止め、視線の感じるその場に目を向けるのも戸惑う。

「おい、リセ様の子孫に何かしたら許さないからな。」

「ん?ふふ。牽制は必要かな、と。」

牽制ってレベルじゃない殺気。

女性の注意のおかげか、和らいだけれど。

今後に注意が必要かと、恐る恐る目を向ける。

当然、こちらを睨んでいただろう。

目が合って、思いっきり逸らす。

ゲームの登場人物にはいない。

視界の端に見えた女性も、見覚えがない。


会議の一室に入り。

目の前が急に暗くなるのを感じ。俺はそのまま意識を失った。

料理に何か入っていたのだろうか……

この世界、俺は部外者だから?

この世界を救えずに死んだリセは、最期に何を考えただろうか。

ゲーム作成に携わり、シナリオを書いた。彼女の夢は叶ったのだと。

エンディングの最後に流れた。彼女の記憶は、この世界レティッシラを救ったのだと。

生き残って、元の世界に戻ったのだと。後世に残っている。

実際は違った。

クリア必須のアイテムでは、この世界は救えなかったことになる。

魔法使いマリーが持っていたアイテム。それは。

この世界を救えなかったのだとすれば。救えるのは。




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