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⑫異界世紀末記―最後の聖女―  作者: 邑 紫貴
第五章:適性者 オリアンヌ

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④結:使命


「これは追放である。天上での存在は途絶え、消滅となる。これから地上に転生し、同様に転生した者を見つけて裁きを下すのだ。それが使命。」


追放。消滅。転生。

人間となる。そして転生者を探し出し、同じ人間になった者を殺す。

それが使命。

神は人類に、人を殺してはいけないと告げた。

禁じられた行為。

人殺しは死をもって償う。それなのに。

転生して人となり、殺人が使命だと告げる。

天使・人間・動物に感情を与え、生と死を司り。絶対的存在。

与えられた使命。

永遠を生きる天上の使い達の消滅とは。

肉体を持たず、透体の存在の途絶え。

人間の死は命の灯が消える事。

追放。転生。

人は死ぬと肉体を捨て天上にくる。

しかし天の使いとは別の存在。のはず。

成り立ちが違う。そう教育を受けた。


「使命を全うする事を誓います。」

そう、命令は絶対。

反逆もまた無だから。

追放されたのに。これから人を殺す。

愛も裏切りも……

「命は灯。風によって揺らいで消える。」

人間と違って痛みはない。肉体がないから。

天上での存在は途絶え。消滅。

そして転生。痛みと有限の命の肉体を持つ人間に。

人として生まれ、双子として育つ。

聖女の適性があると言われ、当然だと思った。

ガーネットに素質がないと告げられ、私の中に答えのない疑問と違和感。

ガーネットを守らなければ、そう思った。



「オリアンヌ、あなたの魔法を見せて欲しい。」

何故、ガーネットがそんな事を言ったのか。

本人も興味本位で、意味などなかったかもしれない。

私が選んだ魔法は水だった。

畑に居て、水まきをしている途中だったから。

省略した詠唱と適当な魔法陣。

手のひらを上にして、水の球体を形作る。それを上空に揚げ、分散するように魔力を込めた。

雨のように降り注ぎ、それが光を受けて虹が生じた。

「綺麗。」

ガーネットの笑顔。

そして私には、水魔法を失った自覚。

生じたのは言い表せない恐怖。

今思えば。自分に刻まれた使命。それを補おうとしたのかと、ガーネットを見つめ。

その時から抗う事は止めた。

ガーネットに奪われない剣技。

それを極める方が先だと思ったから。

魔王の復活。この世界、レティッシラ。

あぁ、私達が管理していた星。

女神レイラリュシエンヌ。名は消滅したはずなのに。

倒さなければならない魔王。リューテサッセウス。あなたを殺すのは私。

この世界の秩序は乱れている。世紀末。

最後の“女神”が、この世界を救う。



「オリアンヌ、暇か?」

「暇に見えるか?」

「あぁ、だから聞いている。」

神殿の書物庫。

過去に、ここで魔王討伐に関する記述が発見された。

それは魔族による病の蔓延に関するもの。

対抗する効力のある薬が書かれた巻物。その複写を読んでいる最中。

剣を私に向け、不思議そうに首を傾げる騎士フリック。

「はぁ。フリック、少しは巻物を読め。」

「え、無駄だよ。だって読む暇があるなら、少しでも動いた方がマシ。」

無駄ではないだろ。

こっちが首を傾げたい。

「で?暇より、動いていない今は無駄な時間ではないと?」

「一人で動くより、有用な人材を連れてきて戦った方が効率も良い。」

即決力と行動力。それと。

「フリック、あなたの望む聖女はいない。私は聖女ではないし、期待されても困る。」

「オリアンヌ、君には素質があるけれど。俺の望む聖女ではないことぐらい、見ればわかるさ。ほら、気分転換に来いよ。迷いがあるのはお前だ。」

見透かされているとは。

ため息を吐き。

「手加減はしない。傷が増えても、面倒がらずに治せよ。命取りになるぞ。」

「わかった、約束するから早く行こうぜ。ほら、時間が惜しいだろ。」

急かされるようにして、その書庫を後にする。

手には写しの紙一枚。それを懐に入れた。



日々は過ぎ。

学園生活を終え、魔王討伐の冒険が始まる。

活躍の期待された魔法使いマリーは行方知れず。

補填として学園の魔法を教えていたレジェス先生が呼ばれた。

すると。レジェス先生は、ガーネットを推薦する。

周りの誰もが言葉を失った。

私はガーネットに適性が無いと言われて、油断していたんだ。

神殿も適性を否定していなかったのに。

ガーネットは断ると思っていた。

希少な双子と言われて舞い上がっていた両親でさえ、ガーネットを押し留めようとしたのに。

「行くわ。オリアンヌは誰にも渡さない。」

それは私の言葉。

オリアンヌを置いて行くと誓ったのに。

勇者ジークハルトは、私を見ない。彼も決意を新たにしただろう。

王子ユーリス。聖騎士となったフリックと私。

同行するユニアミを遠くから見守るロレイン。


旅は予定が決まったように順調で、魔王の城まで後一歩。

最終決戦の前夜。

「オリアンヌ、寝ないの?」

私一人の見張り場に、姿を現したのはロレイン。

神官ライオネル様が施した結界の向こう側。

「私に殺されに来たの?それとも私を殺す?」

「迷っているよ。オリアンヌ、俺の探し物が見つからない。もしかすると魔王が持っているのかも。」

「……ロレイン。それなら、私はあなたを殺しても意味がない。あなたは私の探している物を持っている?」

「持っているのはユニアミだよ。そろそろ発動する。今回も、違った。揃わなかったんだ。」

私達は繰り返す。







to be continued


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