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⑫異界世紀末記―最後の聖女―  作者: 邑 紫貴
第五章:適性者 オリアンヌ

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①起:魔法の適性


私の対。ガーネット。

どんな事があっても、あなたは私が守る。

だからこの世界も救わないと、あなたを守ったことにならないから。

あなたが望むのが死であっても。生きてもらう。

それが私の願いだから……


双子。それはこの世界ではとても珍しい事。

母さんは命懸けで私たちを産んだ。

それも女神レイラリュシエンヌ様の加護だと、両親は事ごとに告げ。

それなのに姉、ガーネットに聖女の適性が無いと分かれば。

存在を消したかのような扱い。


「姉さん、教会に行こう。」

お昼に、幼少の子ども達は教会に集まる。

お昼のパンと飲み物をもらい、食事の後は年齢によって分けられて読み聞かせ・読み書き・計算を学ぶ。

学園に入る前には、一通りの職業に触れる。

魔法が使えない者もいるから。

姉さんは覚えていない。私から魔法を奪ったこと。

適性が無いんじゃない。

神殿の神官たちの方が未来を知っていた。

そう私に適性があるなら、双子の姉に何らかの能力があるかもしれないと。

可能性を否定しなかった。

誰にも知られず、私だけが知る。

私の魔法を奪ったどころか、聖女や魔法使いマリーとも違う適性。それは。

「オリアンヌ、行くわよ。ほら。」

差し出された手、私はその手を握りしめ。

引かれるまま、後を付いて行く。

彼女を守らなければ。死なせはしない。

ふと気づく。

「ガーネット、サボリはいけない。今日は読み書きの方、こっちは何もない。」

連れられるのはいいのだけど。

時に。いや多々、向かう場所が違うのだ。それも意図的に。

「え?ダメ?天気がいいし、川の魚が食べたいわ。」

さっき配られたパンを食べたのに。

お腹はいっぱい。双子じゃなくても分かる事。それでも。

「行く。」

適性とは何だろうか。聖女とは。

ガーネットは川に近づき、水に触れた。

無意識だろう。

その辺りから一面に広がる浄化の魔法。

視えるのは私だけ。

今、神殿で適性を調べたとして、それは果たして。

私には分かる。

適性はあるけれど、聖女ではない。

彼女を守っているのが女神レイラリュシエンヌ様の加護であるなら。それは。

「オリアンヌ、来なさいよ。一緒に魚を捕って食べましょう。」

本当に食べるんだ。私は、そう思った。

あぁ、魔力を使うからか私より消化が早いのかもしれない。

ならば。同量どころか、両親から不遇の扱いで。

私の見ていない時、彼女はお腹を満たせているのだろうか。

気づくのは遅かったのだろうか、いや。まだ能力を奪われたばかり。

魔力操作を覚えれば。

無意識で使って消費するのを抑えなければ。

「ガーネット、水から出て離れて。魔法を使うから。見ていて。」

まだ全てを奪われていない。

見れば、きっと吸収されるかもしれないけれど。

制御か発動の条件は知るだろう。

本来なら、私と一緒にお母さんから学んでいたはずなのに。

私はゆっくり詠唱を丁寧に唱える。

きっとこの魔法を使うのは、今日が最後。

それなら、欠陥のない魔法として譲渡したい。

足元に広がる魔法陣。

発動条件は揃った。魔法陣も完璧。

手のひらを上に向け。魔力が手の上で雷の属性を形作っていく。

大きさを、ゆっくり小さくして調整。

それを川に放つ。

「すごいよ!オリアンヌ、さすがね。綺麗だわ。それに、魚もたくさん。ありがとう。」

素直なガーネットの笑顔。

それを向けられるのは私だけ。

お礼を言いたいのは私。

あなたは無意識で奪っていく。私の適性を。

ありがとう。私があなたを守る。命に代えても。

「さっきの魔力量なら、火は通ってないよね。焼こうよ、オリアンヌ。昨日みたいに火を出して。」

火は、昨晩あなたに奪われたのだけど。

思わず笑みが漏れてしまう。

昨日、晩御飯の時に姉さんの前で見せたから。もう使えない。

それにお母さんに手伝っているところを見つかって、家で魔法を使うことを禁じられた。

ガーネットの前で使うこともないだろう。

奪われていない魔法は、機会を見て渡そう。

「駄目だよ。ガーネットは火を起こす練習をしながら、私に教えて。」

「魔法を使えるオリアンヌ、あなたには必要ないでしょう?」

「生活に必要な事が、軽んじられていいわけがない。この世界に存在するなら。」

ガーネットはため息を吐き、口では面倒くさいと言いながら。

足元の木々を拾う。

「オリアンヌ、乾いた枝を拾うのよ。新しいのは煙が出るの。……有害な。」

視線は遠く、初心者の森の方角。

あなたは私の見えないものを視ていた。


その日、初心者の森で冒険者の不始末による火災があったのだと聞く。

冒険者のお父さんも、近くにいた。

一気に燃え広がった炎。

受けた依頼が違えば、お父さんも死んでいたかもしれないと。

数日、雨が降らず乾燥していたのだとギルドで報告された。

亡くなった人の中に、勇者のお父さんがいたのだと知ったのは後の事。

その火災を食い止めたのは、水による魔法。膨大な魔力。

私から学んだ制御の応用をいとも簡単に。

被害を食い止めたのはガーネット。




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