第六話
いやー、三日間って、こんなに長いとは思わなかった。
正直、初日は「え、寝すぎ!?」って自分でツッコミ入れたくらい。
私、美沙。だけど今はちょっと違う。
頭の中に、一万年の知恵が詰まった魂が入ってるから、まだ肉体と完全には仲良くなれてなかった。
肉体と魂が、いわゆる「合体テスト」って感じ。
初日は、ひたすら寝た。
授業中に寝るとか、もう常識外れレベル。
でも魂の方は、「寝ろ、寝るんだ」と指示してくるから逆らえない。
布団の上で「ここが魂の宿る場所……なるほど、フカフカ」とかブツブツ言いながら寝る。
二日目。
「起きて冥想しろ」と魂が言う。
冥想って聞くと、ちょっとお寺っぽいけど、私はベッドの上でゴロゴロしながら「ふーん、ふーん」と息を整えるだけ。
でもこれ、意外と効く。
体の動かし方、声の出し方、目の焦点の合わせ方、全部魂が教えてくれるから、
「あ、私の体ってこう動くんだ」って、感覚が戻る。
三日目。
完全に合体。
目を開けると、世界が違う。
体が軽い。手も脚もスイスイ動く。
しかも頭が冴えてる!
過去の記憶も全部理解できるから、あのとき友達に言われた嫌なこととか、全部「なるほどね〜」って冷静に分析できる。
「え、私……超天才じゃん!」
冗談抜きで、数学の公式が頭に勝手に浮かぶし、英単語もスラスラ覚える。
音楽もスポーツも、なんでもできる気がする。
机の上の教科書を見ただけで、理解できるとか、もう脳が勝手に暴走してるレベル。月曜日の朝、学校に行く私、美沙。
教室に入った瞬間、クラスメイト全員の視線が一斉に私に――
「お、おはよう、美沙ちゃん……?」
「あれ、昨日までと違う?」
ええ、違いますとも!
三日間寝まくり、冥想しまくり、魂と完全に合体した私は、もう別人。
体も頭も、すべて思い通りに操れるのだ。
まずは国語の時間。
先生が黒板に「現代文の読解」と書く。
みんなが「えー……」とため息つく中、私は教科書をチラ見するだけで全文理解。
「え、えっ、もう答え出るじゃん……」
手を挙げた瞬間、先生もビックリ。
「美沙さん、正解!」
クラス中、ざわめく。
次は数学。
複雑な方程式も、私の頭の中ではスイスイ解ける。
紙に書く前に解答が完成して、まるで未来予知能力みたい。
厚も後ろで「な、何だよ……こいつ……」と青ざめている。
昼休み。
友達が「美沙ちゃん、放課後のバスケ部どうする?」と聞く。
私「いいよ、今日からレギュラーね」
体育館に入った瞬間、みんなの目が点。
ドリブルもシュートも、今までの私からは想像できない速さと正確さ。
友達「え、マジで美沙ちゃん何者!?」
私は笑いながら、「えー、ただの女子高生だよ~」と手を振る。
さらに音楽の授業。
ピアノの前に座った瞬間、即興でクラシック曲を演奏。
周りが「うわぁ……」とため息。
心の中で魂が「人間界の音楽レベルは低すぎる」とか言ってる。
放課後。
部活のバスケで、一瞬でスコアトップ。
図書館では歴史の年号をすべて暗記。
友達「美沙ちゃん、ちょっと頭おかしいよ……」
私「普通だよ~、今日から天才美沙だから」
そして透。
「ちょ、待て……俺より全部できるじゃん!」
私はにっこり笑って、冷蔵庫から持ってきたプリンをパクリ。
透「くっそー、負ける気がしない!」
その日の帰り道、私は鏡を見て自分にウィンク。
「これが、新しい美沙ちゃん。覚えときな、世界!」
放課後。家に帰ると、義兄の透が友達と外で大ゲンカしたらしく、顔を真っ赤にしてイライラしている。
「ったく……クソが……」
独り言を言いながら、透は洗面所に入ってきた。
私、美沙はその瞬間、歯を磨いていた。
「ふーん、今日も兄貴は元気に暴れてきたのね」
心の中で、冗談めかしてツッコミを入れる。
ところが厚は、いきなり私の肩をグイッと押した。
「どけよ、美沙!」
その瞬間、過去に虐待された記憶がフラッシュバック。
「あ……またあの時みたいに押されるの……!」
私は深呼吸して目を閉じる。
そして――超能力発動。
洗面所の棚に置かれた シャンプーのボトル を手を動かさずに浮かせると、厚の頭にドカン!
「うわあああっ!!」
厚は仰向けに倒れ、しばらく動かない。
私は心の中でガッツポーズ。
「これで少しは懲りたかな……」
翌日。
厚は目を覚ましたが、頭がぼーっとして記憶はすっぽり飛んでいる。
「ん……? あれ、昨日のことは……夢……?」
普通に朝食を食べながら、私に向かって挑発的に言う。
「おい、美沙。昨日は一時的に頭が沸いただけだぞ。あんた、また成績一番取ったらしいな……くそ、あいつ……」
私は心の中でため息。
「こっちも負けてられないわ……」
昼食後、母が差し出したリンゴを机に置いた。
「ふふふ、これでどうだ!」
超能力でリンゴを透の頭上に浮かせ、ドカン!
「うわっ!!」
またしても厚は昏倒。
周りのクラスメイトも「え、何今の!?」とザワザワ。
私はにっこり笑うだけ。
「ちょっと、これくらいで懲りてね」
数日後、厚は外で友達と話していると、頭がズキズキ。
「あれ……最近、俺、なんかしょっちゅう頭痛いぞ……」
友達「え? 何したの?」
透「いや、知らんけど、なんか誰かに殴られてる気がする……」
家に帰って監視カメラを確認すると、そこには――
私、美沙が超能力でリンゴやシャンプーボトルを操って透に直撃させている映像がバッチリ。
透は目を見開き、唖然。
「え、ちょ、これ……美沙!?」
「まさか……超能力者になってたとは……!」
私は心の中でニヤリ。
「ふふ、やっとわかった? 兄貴、これからは優しくしなさい」
その後、透は学校でも家でも頭が痛く、友達と話すときも「最近、俺って何かに攻撃されてる?」と疑心暗鬼。
クラスでは「美沙ちゃん、怖っ……」とささやかれ、ちょっとしたヒーロー扱い。
私は心の中で、軽く笑いながら、日記帳にこう書く。
今日も兄貴はボコボコにされて、混乱中。
やっぱり私、最強すぎ……?
こうして、美沙の超能力と機転で、家と学校での小さな戦争は静かに、しかし確実に、私のペースで進んでいくのだった――
ねぇねぇ、ここまで読んでくれてありがとう〜!
美沙ちゃん、超能力で兄貴ボコボコだけど(笑)、読んでくれたあなたも楽しんでもらえたかな?
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次回も美沙ちゃんのドタバタを見逃さないでねっ!