第1. 話 冒頭〜川に飛び込む〜瓶との出会い
ああ、終わったな、って思った。
橋の欄干に両手をかけて、夜風を全身で受けながら、私はぼんやりと川面を見下ろしていた。秋の夜、月明かりが水面に反射してキラキラ光っている。普通なら「わぁ、きれい」ってスマホで写真撮ってインスタに上げるところかもしれない。けど、今の私にはそんな余裕はなかった。
だって私、佐藤美莎――高校二年、いまから死のうとしてるんだから。
いや、正直に言うと、自殺未遂なんてニュースでしか聞いたことないし、「そんなことする人って本当にいるの?」って思ってたタイプだった。なのに、半年で人生がここまで転げ落ちるなんて、マジでドラマかよ。笑えない。
深呼吸して、心臓がドクドク暴れるのを感じながら、私はふっと体を前に倒した。空気が一瞬止まったように感じて、次の瞬間、冷たい風が耳元をビュンと通り抜ける。
――ドンッ!
「痛っっっっ!!」
水の冷たさよりも先に、頭に直撃した衝撃がやばかった。何これ、岩? と思ったら、そこには古ぼけた瓶があった。なんで川の底にこんなのあるの? ていうか私の頭、クッションかよ!
ズキズキするこめかみから血が流れて、ポタポタと瓶の表面に落ちた。その瞬間、瓶が――光った。
「……は?」
水中なのに、まるで蛍光灯みたいにピカーッと光り出して、私の血を吸い込んでいく。いやいや、ホラー映画の見すぎ? これ絶対呪われたアイテムだよね? っていうか、死ぬ前に呪いイベント引くとか私どんだけ運悪いの。
でも、逃げられなかった。瓶の表面にヒビが走り、バキィッと割れて、中からドロリとした液体が溢れ出す。それが私の口と鼻から、ズルッと体内に流れ込んでくる。
「ちょ、ちょっと待っ……うぷっ……!」
必死に抵抗しても、肺にまで流れ込んでくる感覚。熱い。水の冷たさとは逆に、体の奥がジリジリ燃えるように熱くなる。頭の中に、知らない声、知らない景色、知らない感情が次々と流れ込んできた。
――千年の記憶。
――一万年の知恵。
――失われた王国、血と戦火の歴史。
――そして莫大な財宝と、あり得ない知識。
「な、なにこれ……!? 私の頭……爆発する……!」
目の前が白く染まり、意識が遠のく直前、なぜか笑いが込み上げてきた。だってこれ、漫画とかアニメでしか見ない展開じゃん。しかも主人公ポジなの、私? いやいや、冗談きついって……。
――気を失う直前の最後の記憶は、水面に映った自分の顔だった。青ざめて、びしょ濡れで、でもなぜか少し笑っている。そんな顔。
――ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます!
実は、私はごく普通の高校二年生で、家に帰ってからこっそりノートパソコンでこの小説を書いています。友達にも家族にもナイショなので、正直めちゃくちゃ恥ずかしいです……。
でも、小さい頃から物語を書くのが大好きで、「どうしても自分の世界を形にしたい!」って気持ちだけで、毎日ちょっとずつ書いています。
私は勉強があまり得意じゃなくて、正直あんまり好きでもありません。でも両親からは「大学に行きなさい」って強く言われていて、もし大学に行かないなら、「ちゃんとした相手と結婚してから好きなことをすればいい」なんて言われちゃうんです。
そんな未来はいやだな、って思って、私は自分で経済的に独立できるように頑張りたい。だからこそ、この小説が、もしかしたら私の未来を変える最初の一歩になるんじゃないかって、ひそかに期待しています。
もし少しでも「面白い」と思っていただけたら、ぜひ感想を書いていただいたり、ブックマークや評価で応援していただけたら、本当に嬉しいです。
そのひとことが、私にとってすごく大きな力になります。
最後まで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました!
これからもどうか、見守っていてくださいね。
――佐藤美莎(高二・隠れ小説書き)