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カフネ  作者: えこ
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4話 嫌な夢

隣の家、同じ幼稚園。

彼女と出会ったのはそれくらいの時だった。

内気で周りと馴染めない僕とは違って、彼女はいつでも笑顔を絶やさず友達も多かった。

漫画やアニメであるような家族ぐるみで仲がいいなんてことは特段なく、顔を合わせれば挨拶をする程度。

それから彼女と共に小学、中学は地元の学校に通い、追いかけるように同じ高校、大学へと進学した。

いつしか抱いた彼女への恋心は歳を重ねるごとに大きくなった。

3歳も年上な彼女は僕なんかちっとも眼中になくて、きっとそれは今でも変わらないんだと思う。


「凪くーん!」


彼女が少し離れた場所で笑顔で手を振る。

僕に駆け寄るなり、何か話したそうにしているのがわかった。

どうしたんだろう、と話を待っていると、後ろから知らない男が顔を出した。


「あのね、私結婚するんだ」


パッと目が覚めて体を起こす。

隣には彼女がまだ丸まって眠っていた。

そこであの話は夢だったのだと理解する。

嫌な夢だった。

彼女が他の男と結婚するなんて、考えたくもない。

先日行ったカフェで働いている大学の同期が、このような経験をした話を聞いていたのがきっと夢に影響したのだ。

外はまだ少し暗い。

時計を見ると針は5時半を指していた。

小さく溜息をついてベッドから立ち上がる。

キッチンへ向かって冷蔵庫を開け、冷えた水をコップに注いで一気に飲み干す。

ベッドに戻ってきたはいいが眠れる気配はない。

また嫌な夢を見るかもしれないと思うと、寝つけそうにはなかった。

仕方なくSNSを開いて時間を潰すことにした。

タイムラインをボーッと流し見していると、隣の彼女が目を覚ましたようだ。


「......何してるの?」

「SNS見てた」

「へぇ......」


そこまで深く興味はないのか、彼女は受け流すと再び瞼を閉じた。

深堀されないのはこちらとしてもありがたい。

今日もまた新しくポストを投稿し、スマホを閉じて枕元へと置いた。

今日は彼女も会社に行かなければならないし、僕も講義がある。

また半日以上会えない時間が出来るが、寂しいなんてことはない。

彼女はここに帰ってくるし、それになにより......。

そんなことを考えていたらいつの間にかまた眠りについていた。

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