表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カフネ  作者: えこ
22/22

最終話 呪い

「嘘、でしょ......」


ちせちゃんにある話をした。


「......本当だよ」

「嘘だ!絶対嘘!海にぃ意地悪してるんでしょ!」

「してない。本当のことなんだ」

「やだ、そんなの嫌だ!」

「ちせちゃん、落ち着いて」


葵が泣き崩れる彼女の背中を擦りながら、俺を見上げる。


「言わなくてもよかったんじゃねぇの?」

「言わなくても次第にわかることだったろ。仕方ないんだ」


俺が彼女にした話。

それは雛笠いとが亡くなったという訃報だった。

仲良くしていたからこそ、伝えなければならないと思ったのだ。


「酷いよ......いとちゃんが、死んだなんて......冗談でも酷い!」

「ちせちゃん。俺は冗談でこんなこと言わない。それはちせちゃんが一番わかってるでしょ?」


そう言うと瞳からボロボロと涙をこぼしながら、俺の顔を見つめた。

辛いのは俺も、葵だって同じだった。

二日後、彼女と葵を連れて葬儀へと参加した。

腫らした目をしていて、夜通し泣いていたのだと知った。

最後の別れの時、一人一人が一輪の花を棺桶に添えていく。


「いとちゃん......私、立派な弁護士になるから。天国で見守っててね」


そう言って彼女はまた綺麗な瞳から涙を落としていた。

後に親族から話を聞いたが、死因は自殺だったそうだ。

発見時は窓ガラスが割れており、家の中には石が転がっていた。

事件が終わり嫌がらせの首謀者が亡くなったのにも関わらず、彼女の家に嫌がらせをしに来る輩が居たらしい。

彼女のスマホを確認すると、SNSには大量のDMが届いていたとも聞いた。

そして彼女は包丁で頸動脈を自ら切ったらしい。

都会を出るまで後少しだったというのに、残念に思った。

この話は彼女にはしなかった。

彼女の精神面を守る為だった。

口が軽い葵にも勿論話すことなく、これは俺だけが知る真実となった。

そして彼女が残した一言の遺書。

そこにはこう書かれていた。











───"呪いから解放されたかった"、と。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


都会を出るまで後数日となかった雛笠いとでしたが、久住によるカフネは久住が死んでも尚誰かが受け継ぎ、嫌がらせは続いてしまうと悟ってしまったんですね。

だから迷わず久住という呪いから解放される為に死を選びました。

また、久住は語学を先行していた大学生。

"カフネ"はポルトガル語で"愛する人の髪を指で梳く仕草"、"頭を撫でて眠りにつかせる"という意味合いを持っていました。


裁判や弁護士など、知識不足で書き足りないとは思いますがご容赦ください。


以上で「カフネ」は連載終了となります。

最後までご愛読いただき、誠にありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ