第七話 勝利
そして、私とアンリ王女の話し合いは順調に進んでいった。
彼女と、ヘンデルソン様の会合の場を設けた中、ヘンデルソン様はすぐに彼女の手を取った。
むしろ、そうするしかこの国存続の方法は無いのだ。
そして、私達は同盟の証として、証書を交換し、アンリ王女には自国に帰ってもらった。
これで、戦争がすぐさま始まった。
アンリ王女との契約通り、まずは国境付近の敵兵を上手く撤退しながら国内の奥深くに誘う。
そしてそこで、挟み撃ちにする。計画としては単純だ。
ここで、問題となってくるのは、どこら辺まで誘うのかどうか。
あまり奥に持ってきて負けるのも良くない。だが、アンリ王女が反乱を起こした時に、即座に返しては、アンリ王女側が負けてしまう。となれば、戦場はネルス森林だ。そこに敵兵を誘い込み、ゲリラ戦法を起こす。
兵力が違うが、今回は同盟を組んでるおかげで使える兵自体は多い。
それにだ、アンリ王女側にも兵力をそそがなくてはならない以上、援軍は来ない。
そうなれば押し潰すこともできる。
アンリ王女から聞いた情報で言えば、敵兵はだんだんと数を増やされる。
よって最初から全力で兵を送り込むわけではないそうだ。
正気が見えてきた。
あとは、自軍の兵を信用することだけね。
私には王宮で戦況を聞くしかない。
私自身は戦えないのだ。
それから悶々とした時間が過ぎていく。
ヘンデルソン様と無言で見つめ合う。
情報が入ってこない事には何もできない。
事務作業的な物しかできない。
「あの、ヘンデルソン様」
今の状況で言うべきことではないように思えるけど。
「いい知らせが来るまで暇ですね」
「ああ。悪い知らせが来ないと良いんだがな」
「そうですね。例えば前衛全滅とか」
「不吉な事を言うんじゃないよ。大丈夫だ。恐らくはな」
「後は、王女様次第ですね」
彼女は上手く事を運べているか。
そこだけだ。
「アンリ王女が勝てばその時点で勝率は、大幅に跳ね上がる。この戦争はアンリ王女が勝つが同化にかかってますから」
「そうだな」
そんな時、部屋にノックして一人の伝達兵が入って来た。
「どうしたんだ?」
「兵士たちが、森に敵兵をおびき寄せることに成功しました」
それを聞いて一安心。作戦の第一部は成功したと言っても過言ではない。
「よし! これで我が国の存続の可能性が高くなった」
陛下も喜んでいる様子だ。
そして、それからもいい戦況の知らせが続いた。
結果的に、万事うまくいった。
そして、無事に国が守られる運びとなった。
「へんでルソン様」
私は語り掛ける。
「無事に国を守り切ることが出来ましたね」
「そうだな」
へんでルソン様は頷く。
でも、満足は仕切っていないようだった。
「ただ、これで多方面にたくさんの借りが出来た。国は守れたが、これからも、戦いは収まっていかないだろう」
そう、ヘンデル孫様は苦しそうに唇をかんだ。
この戦争は勝ちだが、確かに術得tの問題を解決できたとは言えない。
「でも、これで不穏分子は排除出来ました。その点で言えば勝利だと思います」
実際ここからも問題は出てくるでしょうけど、今はピンチを抑えられたのが大きい。
そして、ここからこの国はもっと立派なものとなる。
そう、私は確信しているのだ。
そして、数か月後。私とヘンデル孫様との正式な婚約が発表されたと同時に、国王陛下が、国王の位を下りた。
そこで、ヘンデルソン様が王に、私が王妃になった。
ゲームではここから先の展開は知らない。でも、いいものになると思っている。
だって、ゲーム世界で迎えてた危機は全て乗り越えたのだから。