夏風の下で
夏風の心地よい感触を感じながら、街灯の灯りの下を2人でゆっくりと歩いていく。私にとって、この些細な時間は私たちの時間を適切に描写している。路地横の花を見た君は、それを美しいと言った。確かにそれは綺麗だ。しかし、もしも君と一緒にいなかったら、私はそれを一瞥だけして、足を止めることはなかっただろう。君はそんな薄情で無気力だった私に、精力を与えて、この世界の美しい側面を見せてくれる。比喩でも何でもなく、君はまさに私の人生のモチベーションだ。君ともっともっと、この世界の美しさを一緒に見てまわりたい、そんな人生を過ごせるように自分の時間を有効に使いたい。そして一歩一歩、一日一日を噛み締めながら君と人生を過ごすことが私の願いだ。
別れる直前、君は私にありがとうと言った。私と一緒にいてくれてありがとうと、涙を流しながらそう言った君は、何よりも美しかった。しかし、本当にお礼を言わなければいけないのは、私の方だ。私の人生を色付けたのは、紛れもなく君だから。何も描かれていなかった私の心のパレットを、君との時間が鮮やかに彩ってくれる。だから私は二重の意味で、君の描く絵の一番のファンだ。君が実際に描く絵も、君が私の心に描く絵も、心の底から愛している。そして願わくば今後もずっと、君の絵を一番近くで楽しみたい。私の心のパレットに限りはない。例え君が少し満足のいかない絵を描いても、それを消そうとしたりする必要はない。他にある空白のスペースにまた新しい絵を書き直せばいい。そうした描かれた、人生という作品はどれだけ美しいものになるか計り知れないけれど、それを楽しめるのはこの世界で私たち二人だけなのだ。
君と別れた後の駅までの道のりも、私の世界は美しいままだった。なぜなら私の心は君との思い出で溢れているから。 そしてその美しさは私に少しばかりの鳥肌をもたらして、私はこの幸運に何よりも感謝して、そして誓った。この幸運を無駄にしないように、逃がさないように、私のできることは全てやろうと。だからありがとう、私の人生をこんなにも意味のある、美しいものにしてくれて。愛してる、どんな時もずっと。