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やっとお話が進み始めた気がします。10話くらいでおわるのかなぁ。
良かったら評価お願いします★
雑踏の音がする。
ざわざわとした雑踏の音に、工事や電車の音が入り交じる。
広い室内に流れる都会の喧騒は、騒がしくもどこかリズミカルで気持ちが落ち着く。
「あれ?ここ、どこだろう」
呟いた言葉は喧騒に吸収された。誰もがせわしなく動いている中で私は立っている。
左右を見渡すと同じように信号待ちをしている人がたくさん。
塾に行かなきゃ。・・・塾?
そうだ! 私、学校帰りに塾に行く途中で、、どうしたんだっけ??
私はこれから起こることを知っている。
今見ているのもは、その時の回想録。
私は学校帰り、制服でいつものように塾へ向かうために信号待ちをしていて。。。。
「あぶないっ!!」
誰かが叫ぶと、悲鳴と共に人々が逃げてゆく。
私はこれから起こることを知っている。
反対車線にいた車が暴走し、勢いよくトラックにあたり、その反動で信号待ちをしている群れに向かって突進してきた。
1台のトラックのヘッドライトが私に向かって突っ込んでくる。
眩しい・・・
私と同じように足がすくんで動けない人も隣にいる。
本当はほんの一瞬のことなのに、回想シーンは車の動きもゆっくりで。
そのライトが近づいてくるのをじっと見つめる。
足はアスファルトに張り付いたみたいに動かない。動けない。
がんっ!
私の体は宙に浮き、アスファルトに叩きつけられた。
トラックは、私と周囲の人を吹き飛ばし、そのまま突進して建物にぶつかり止まった。
そう。私・・・車にはねられて死んだんだ・・・・
短い人生だった。高校受験本番を目の前にしての事故。
やりたいことも沢山あった。将来の夢だって、部活だって、恋だって。
ジジ・・ジジジッ…‥‥‥‥ジッ・・
機械音のような音が途切れ途切れに聞こえる。
ジッジッ…ジジッ…ジッ
音の出所を探そうとしても体も頭もどこもかしこも動かない。
唯一動く個所は目だけ。
今にも意識が遠のきそうな中でキョロキョロと目を動かすと、目の前にお婆さんが立っている。
髪の毛を団子にして一つに結わえて、洋服も一風変わってる。
「うち、くる?このままだと死んじゃうけど」
<ウン>といいたいのに、声が出せない。頭を動かして頷きたいけど動かない。
お婆さんと目が合ってる状態で、数十秒。
「じゃあ、行こうか」
どこ?
どうやって行くんだろう?
そんなことをぼんやり考えてると意識が遠くなって。
視界に映るすべての色があせていき、セピアになり、最後はモノトーンに変わっていった。
「気づいたか?」
瞼を開けると横から声がした。
リョウ様の声だ。
「戻ってきた・・・・」
「水、飲むか?」
上半身を起し、私の手にコップを握らせてくれる。
コップを持つ手に力が入らず、手が震える。握り続けられずコップは手から滑り落ち下へ落ちる。
素早くリョウがコップを手にし、そのまま、口に運んでくれた。
反射神経すごい。。
ごくっごくっと喉を鳴らして滑らかな水が通過していく。常温の水が飲みやすくてすごくおいしい。
「あれから、どのくらい経ったんですか?」
「3日だ。気分はどうだ?」
「大丈夫です。たくさん寝すぎました」
にこっと微笑み、リョウを見ると安堵を浮かべた笑みを返してくれる。
目の下にはクマができ、うっすら伸び始めている髭あった。
「リョウ様は大丈夫ですか?」
「・・・・・俺も、大丈夫だ・・・」
抱きしめれた。
背中に回された両手。
私の髪に埋めるリョウ様の顔。
唇からこぼれる小さい吐息。
自然と視線が絡み、どちらからともなく瞳を閉じた。
「ふふふ、、リョウ様、髭が・・チクチクします」
「すまない、大丈夫か?最近剃るのを怠っていたな」
安堵の色が浮かんでいた瞳は、会話をするごとにさらに深みを帯びていく。
「ずっと、ついていてくださったんですね」
「覚えているのか?」
うん。全部ではないけど、少しずつ記憶が思いだしてる。
あのとき、車にひかれたのは、私だ。アキではない私。
そもそもこれって、どういう状況?
ちょっとまって、、、あの時のおばあさん、、、、スコーンさんに似てない??
ちょとまって、、、異世界転生?異世界召喚?
ジーク様の奥様のこともあるし、考えること多すぎる。
「記憶ないか?」
「あります。ジーク様の奥様、マドレーヌさんと共有していた時間は、なんていうか・・・・マドレーヌさんが外に出てるときは、声の届かない部屋の中にいる感じで。皆さんの顔、会話、表情、全部見えてましたし聞こえてました。私が体に戻ってこれた理由は・・・・わかりません。ジーク様は?」
「一度帰ってもらった……ジークの、家の方が良かった、、か?」
「目が覚めた時、リョウ様のお顔を見られて安心しました」
「そうか?」
「それとは別に、一度・・・ジーク様とお話をすべきだとは思っています。不安がいっぱいですけれど」
誰もが不安でいっぱいだ。二人の精神が今後どうなるのか。
いったんは、元に戻ったが、いつまたマドレーヌの精神が表面に出てくるか皆目見当もつかない。
「どうして・・・・・」
「こうなったんだ・・・・」
私の言葉を引きつでリョウ様が言葉を繋げてくれる。
やっぱり一度。。。家に戻った方がいいかもしれない。
何か・・・思い出しすかもしれない。
アキは、自宅へ帰ることを決意した。




