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アキの身に何が起こったんでしょうか・・・リョウとジークが唖然とする様子が目に浮かびます。

文章書くのって難しいですねぇ。。。

「アキさん これから少し買い物をして、そのあと自宅へ戻りたいんだけど、一人でも大丈夫?」


昼食を食べ終え、洗い物を手伝っているとスコーンに声を掛けられた。


「はい。大丈夫ですよ。こちらのことは、気にしないでください。時間も気にせずご自宅へ戻ってくださいね」

「本当?助かるわ、ごめんなさいね、急に。夕飯の下ごしらえは終わってるから、私が帰ったらお茶にしましょう」

「ありがとうございます。今日のお茶も楽しみにしていますね。夕食は私もお手伝いします」


この家に世話になるようになり、家政婦をしてくれているスコーンの勤務時間が延びていた。

ケガをしているアキの世話が加わったことも要因であるが、心配性のリョウが彼女が家に一人でいる時間を減減らすため、スコーンに頼んでいるからだ。


リョウの出社後に来てもらい、リョウが帰宅するまで居てくれる。

彼女は快く了承してたと聞いて安心した。

短い時間しか過ごしていなくても、身寄りの居ないアキにとって、もう家族のようで。

二人と過ごす時間はとても居心地が良かった。


ジークの屋敷にいるときもまた同じで、ジークやミランジェ、屋敷で働く使用人までも、皆親切だった。ジークやミランジェと共に食事をし、お茶を飲み、知らなかった家族の団らんを教えてくれたのも二人。


ジーク様、、、お元気かしら・・・

あんなに可愛らしいミランジェが、

家族がいない私が代わってあげられればよかったのに。

私には、悲しむ人なんていないんだから。

それも悲しいけれど。


ミランジェは5歳だった。

クルクル跳ねる少し癖のある赤い髪。二重の大きな青い瞳。ふっくらとした唇から零れる、可愛らしい笑い声。5歳という幼さで、周囲にいるすべてに幸せをもたらすことができる、表現のしようがないほど愛らしい少女。


幼子が亡くなったあの日は、父親のジークの帰宅が早いと朝食時に聞かされ、朝からとても喜んでいた。

本当に嬉しそうに、何度も何度も帰宅時間を確認する姿に皆が笑顔になって。


『お母様と同じように、お父様が帰宅されたら玄関を開けて、一番におかえりなさいっていうの!アキも一緒におかえりなさいっていうの!お願いしてもいい?』

『もちろんよ、ミランジェ。一緒にお迎えをしましょう。きっと喜んでくださるわ』


そんな楽しい幸せな会話をしていたのは、ついこの間。

これから先も永遠にこの幸せな毎日が続く、、、

そう誰もが思っていた。

そう誰もが願っていた。


コンコン 

コンコン


物思いにふけっていたアキの耳にノックの音が聞こえた。


誰か来た!

どうしましょう、リョウ様には、扉を開けるな!って口が酸っぱくなるほど注意をされているし・・・

スコーンさんもいない、このタイミング。

ここは、居留守を使ってみよう。

リョウ様のお宅でトラブルを起こすことは避けなくちゃ。


音を立てないよう動きを止めて、相手が立ち去っていくのを待つ。


コンコン

コンコン

ドンドンっ


最初は遠慮がちだった二回のノックは、三回目にはさらに強くドアが叩かれた。


どうしよう。

居留守ってわかったのかも。


アキは怖くなり、あとずさりしながら玄関ドアから少し遠ざかった。


「アキ・・・いらっしゃいませんか?ジークです。聞こえていたら返事をしてください」


ジーク様?!

なぜ、こちらに?!


返事をするのは簡単なのに、どうしても躊躇してしまい、言葉が口をついて出てこない。


「アキ、もしそこにいらしゃるなら、聞いてください。先日は不躾な態度をとってしまい申し訳ありません」


どうしよう。。。

返事をしたら扉を開けなちゃいけないし、、

ジーク様不在の今、部屋にいれるわけにはいかないし。。


「少しで構いません。話をする時間を私にいただけませんか?」


「ジーク様・・・・」


「アキ、やっぱりおられましたね。良かった、返事をしてくださって。少しで構いません。時間を頂けませんか。高熱が出てケガをされたと団長から伺いました。今の体調はいかがですか?大雨の中、貴方の居場所をなくし、ケガをさせたのは私が原因です」


「お気になさらないでください。ジーク様のせいではありません。私が、私がジーク様のお気持ちを汲んで差し上げられなかった、私の責任です。近々荷物を取りにお伺いいたします・・・・今まで大変お世話になりました」


「アキ・・・違うんだ!聞いてほしい」


ジークは縋りつくように、手のひらを扉につけ、そのまま扉をたたく。

注意をひかなければ、アキが隠れるように部屋の奥へと逃げてしまうのはわかっている。


「本当に気になさらないで――――――」


意識が遠のき、何かが混ざっていく感覚がする。

ジーク様のドア越しの会話のせいかしら?


自分の思考とは別の思考が混ざって。

頭が痛い。。。混ざっ・・・て・・・・

返事が、でき・な・・い。

ど・・・してぇ


扉を背にし、重くて立っていられない体を扉にもたせ掛け、そのままズルズルと座り込んだ。

座っていることさえも苦しくて、体はドンドン傾いていき、とうとう床に寝転がってしまう。


「アキ?アキ?!大丈夫ですか??」


気づいてくれてる・・・・?


中の様子は見えなくても、アキに異変が起きたことを察したジークは、扉の先にいるアキへ声を掛け続けた。ドンドンとこぶしで扉を叩きアキの名を何度も呼んでいる。


・・・そんなに大声、ちょっと恥ずかしいです


絶え間なく続く、扉を叩く音はアキの背中から振動が伝わり、調子の悪さを加速している。


・・・大丈夫、大丈夫ってジーク様に伝えて安心させたいのに。。。

あまりにしんどくて、寝ていてもツライ・・・

助けて、、、誰か・・・


意識が遠くなっていくのがわかる。何度もドアを叩きながら私のことを呼ぶ声が聞こえる。


扉を叩く音が無性に腹立たしく感じ、次第に苛立ちがが募っていった。


ばんっ!!


気づくとアキは扉を開け目の前にいるジークの胸倉をつかんでいた。身長差があるので掴んでいるというよりは、掴まっている感じだ。


『ジーク!!うるさいっ!!扉を何度も叩く音が頭に響くのよっ!』


ジークは鳩が豆鉄砲を食ったように呆けてる。アキの変貌について行かれない。

目の前にいる女性は、アキのようでアキではなかった。


「アキ・・・?いや、まさか・・・マドレーヌか・・・・?」

「決まってるでしょう?ほかの誰だと思っていらっしゃるの?アキ?どなたなの、その方は」


別人の名を呼ばれ、憤りを感じているアキはジークの体を掴み続けたまま続ける。


「ここは、どこなの?ジーク。。。あなた、、ちゃんと食事しているの?私が旅行へ行っている間も一人で過ごせないなんて・・・・やっぱり私がそばに居ないとだめなのね。ミランジェはどこにいるのかしら?ねぇジーク、聞いてるの?」


ジークは驚き声が出なかった。目の前にいる人は、アキの姿そしてアキの声だ。

しかし、口から飛び出す言葉はマドレーヌ・カヌレ。愛しの妻だ。

マドレーヌによく似た口調、ハキハキと話しながら頬にできるエクボ。

そのエクボがアキにもあったか思い出せない。


「ねぇ、聞こえていて?ミランジェは一緒にはきていないの?もうすぐ6歳になるあの子にサプライズパーティを考えてるの。使用人も一緒よ。みんなあの子が大好きですもの。きっと私たちと同じように祝ってくれるわ!ねぇ、ジーク、私の話を聞いていて?」


言いながらジークの頬に手を伸ばし、彼を抱きしめようと手を伸ばす。ジークも同様に、アキの姿であるマドレーヌの肩と背中に手を伸ばし、思い切り抱きしめた。

妻を失った悲しみだけでなく、続いて娘まで失い、その空いた穴を埋めるものなどなく、日常に訪れる日々は、色あせ、ただ息をしているだけの生活だった。

それを補うように、ジークはアキの体をきつく抱きしめた。


「マドレーヌ、マドレーヌ・・・レーヌ、、、レーヌ、、、」


抱きしめた体はマドレーヌとは違うことを頭では理解していても、再び会えたことの喜びが勝り、気持ちを抑えることができない。

頭の片隅で「マドレーヌではない」とわかっていても、アキが知りえない内容を口にする目の前のアキは、妻のマドレーヌとしか思えない。


「ジーク、ジーク??本当にどうなさったの?今日のあなた・・とてもヘンよ。旅行中そんなに寂しかった?大切な友達が出産したと聞いたら、どうしても顔を見たくなって・・・わがまま言ってごめんなさいね。今度はジークも一緒にいきましょう」


涙が止まらない。

束の間の夢だとしても、今はこの幸せに浸りたい。

夢ならばどうか冷めないでくれ・・・・


「フフフ。。本当に困った方ね。5歳のミランジェのようになっているわ」


背中をポンポンと幼子を親すように安心させ続けてくれる。これもまた、マドレーヌが娘によくしている仕草の一つで、ジークはさらに確信した。


――― このまま、家に帰ろう。連れ帰って、元のように一緒に暮らしたい


「ジークッ!!」


ジークの名が呼ばれると同時に、アキから離され、門から続く道の両脇に植えられている植物の上に吹き飛ばされた。マドレーヌが日々、丹精込めて育てている花は投げつけられたジークの体によって、めちゃくちゃだ。

すぐさま、ジークに駆け寄り抱き着くアキを目にし、込み上げた怒りを抑えきれないまま、転がっているジークの襟元を掴むと、もう片方の手でアキをおさえ、力任せに殴りつける。


バキッ!!


すごい音がした。

はぁはぁと息を荒げるリョウ。痛みに悶えるジーク。

一瞬何が起きたか理解できなかったアキは、我に返るとリョウに押さえれている手を振りほどき、ジークへ駆け寄り抱きしめる。


「夫に何をするんですか?リョウ様!」


「・・・・・・」


オットニナニヲスルノデスカ リョウサマ

オットニ、、、オットニ。。。


リョウは自分の耳を疑った。

頭の中にリピートされるアキの言葉。

どういう状況にあるのか全く分からない。


ここにいるのは、本当にアキなのか?!


放心状態のまま、ジークとアキを眺める。


「ジーク!ジーク!あぁ、血が出てるわ。起きられる?リョウ団長様。急にいったいなんなのですか?こんな一方的に夫を殴りつけるなんて」


「これは、、、いったいどういうことなんだ?アキ・・・じゃないのか?」

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