俺はポーカーフェイスしているはずなのに!!
俺はしがない若輩サラリーマン、岩面一徹。
昔から表情の変化に乏しく無表情男と呼ばれ、ポーカーフェイスキャラを貫いてきた。
ただ何故か、両親にはいつも「嘘ついても目を見ればバレるんだからね!」とか言われ、実際すぐ見破られた。親の業というやつか。
そんな俺も就職し、ある時先輩から飲み会に誘われた。
お前のポーカーフェイスを治してやる!とのことだが、余計なお世話。
仕事は不真面目、飲み会だけは熱心なうざい先輩。
正直ムカつくから爆破したい。
そう思いながらも、俺は仕方なく先輩に付き合ったが――
べろべろに酔った先輩は隣に座り、顔を近づけてきた。
あぁ、うざい。爆発しないかな。
――すると突然、先輩の顔色が変わった。
「お前俺のこと、超うざいと思ってるだろ」
へ?
俺はいつも通り、無表情だったのに。何故分かった?
「そういうの、分かっちまうからな。
気をつけろよ」
納得できないまま、数か月が経過。今度は社内に、好みの女性を見つけた。
胸の大きさ的に、俺のドストライクだ。
仕事で一緒になるたびドキドキして、どうしてもそういう想像をしてしまう。
しかしある日。
彼女が書類を落とし、俺が拾い上げた。そして至近距離で目が合ったのだが。
「!!!」
瞬間、彼女は真っ赤になってしまった。一体何が?
すると。
「岩面さん……そんなに、私のことを?
嬉しいけど、少し、恥ずかしいです」
何が何だか分からない。俺はポーカーフェイスを貫いていたはずだが。
そしてあれよあれよの間に俺と彼女はお付き合いを始め。
やがて結婚し、子供が出来た!
数年後。
いつもの仕事から帰ってくると、娘が俺を出迎えてくれた。
「パパ、お帰りなさい!」
はしゃぐ娘を抱き上げつつ、台所の妻の背中を眺める俺。
妻は相変わらずナイスバディだ。娘が寝たら久しぶりに……
そう思っていると、娘が頬を膨らませた。
「あっ。パパ、またママ押し倒そうとしてるー」
「えっ?」
思わず娘を見つめてしまった。
にこっと無邪気に笑う娘。
「パパの目、見れば分かっちゃうんだ。
イライラした時は人を爆破するのが見えるし、機嫌のいい時は服を脱いでるママが見えるの。
パパの想像したこと、目の中に全部映ってるんだよ!」