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俺がパン咥えて走っていると幼馴染みが……って、逆だよそれはっ!

作者: タイラ・ヒラ・タイラ

頭を空っぽにして書きたいように書いたバカ話(コメが多目のラブコメ)。


コメ=ネタです。面白くなかったらごめんなさい。

「…………っ?」

 俺は何故かズキズキと痛む頭痛によって目が覚めた。

 まじで痛い。この痛みは物理的な痛みだ……何故?

 そう思いながら俺はベッドに寝転がったまま天井を見つめた。

 視線の先にある天井は……

「知らない天井?」

 事態が把握できず、どこぞの朝チュン漫画で有りそうなセリフをつぶやいた。

 すると!

「どうやぁ……じんばいじだんだよぉっ!」

 幼馴染みの水樹綾乃(みずきあやの)が泣きながら飛び付いてきた。そして、彼女の肘がベッドに横たわる俺のみぞおちにヒットした。

「……っぅぅ」

「あっ。ごめん」

 バスケ部のエースでモデル並のスタイルとルックス。そして、高身長なスペックを持つ綾乃の体重がのった一撃に悶絶する俺。

 普段の彼女はキリッとして非の打ち所がない才媛と言われているのだが、何故か俺の前ではポンコツとなりこうしてちょくちょくと物理的なダメージを与えて来るのだ。

 物理的なダメージ?

「……思い出した」

 今朝、俺の身に何が有ったのかを。

 そして、どうやらここは病院のベッドの上のようだ。


「何故、あんな事をしたんですか。綾乃さん?」

「……」

 俺は綾乃に真相を尋ねる。すると彼女は悪さがバレた子供のようにうつ向き黙り込んでしまう。

「最近、特におかしいぞ。本当にどうしたんだ?」

「……だって。とうやがいけないんだよ」

 かぼそい声でそれだけ伝えると綾乃は再び黙り込んでしまった。


 えっ。待って待って。ちょっと待って。

 俺のせいなのか? 綾乃に何かやらかしたのか俺?

 綾乃の告白に焦り、彼女の様子がおかしくなった辺りの記憶を引っ張り出してみる。

 …………

 いくら考えても心当たりが無い。綾乃とはいつも通りの日常を過ごしていたはずだ。何かやらかした記憶は無い。

 駄目だ。わからない。いったい俺が何をすれば綾乃があのような行動を取るきっかけになるというのか。




 俺は綾乃のおかしな行動を順に思い出す。



 初日。いつも通りに近所のT字路で待ち合わせ。二人で並んで歩き出してすぐに綾乃はハンカチを道路に落とす。そして、そのまま数歩先に行き、立ち止まりチラチラと俺とハンカチを交互に見つめること十数秒。彼女はハンカチを回収すると再び歩き出す。

 そして、先程よりも大きな動作で再びハンカチを道路に落とす。その繰り返しが学校に着くまで続いたのだった。

 俺は彼女の行動が意味不明過ぎて最後まで彼女の行動に突っ込みすら入れることが出来なかった。


 翌日。俺がいつものT字路に差し掛かった時、T字路の死角から飛び出してきた綾乃がラグビー部のタックルばりの強力な一撃を放つ。この一撃で俺は2メートル程ぶっ飛び、壁に頭を打つ。めっちゃ痛かった。

 そして、俺が痛みでのたうち回っているなかで綾乃は『何かが違う』とつぶやき、首を傾げていた。


 それから数日が経ち、昨日。

 再びT字路から勢いよく飛び出してきた綾乃をなんとか避けたら、何故か知らないが彼女が咥えていた1メートルは有ろうかというフランスパンにどつかれた。

 ちなみにフランスパンは二人で()()()半分こして美味しくいただきました。

 冷静に考えるとはじめから最後まで意味がわからん。


 そして、今日。寝坊した俺はフランスパン……じゃなくて、食パンを咥えていた走っていたところ、どういう訳か昂奮した闘牛のような勢いの幼馴染みのトツで病院送りに……


 そして今ここ。



 あの頃に綾乃が絡む様な変わったことって何も無かったはず。

 綾乃は関わって無いことを含めたとしても……

「クラスメイトの深雪からの嘘告白くらいだ……」

「それよっ!」

 考えに集中していた為にいつの間にか声に出していた言葉に強く反応する綾乃。お互いの鼻が触れるくらい綾乃は身をのりだし接近する。

 必死の表情で綾乃は尋ねる。

「深雪ちゃんの告白断る時にとうや。好きな人がいるって……」

「うえぇっ」

 あの時、誰が好きかは言わなかったからバレることは無いはずだが、流石に好きな人、その人からその時のことを聞かれるのは誰だって焦るだろう。

 綾乃にこの気持ちを伝えたいとは思うが……モデル並の美少女幼馴染みと平凡な俺。釣り合わない……告白して今の心地好い関係が壊れてしまうよりはこうして……ん?

 色々と繋がったかも。綾乃の様子がおかしくなったのは深雪の嘘告白の翌日くらいから……あり得ない考えに戸惑う俺。

 だが、その予想を裏付ける、

「とうや。迷惑かもしれないけど……今の関係も大好きだけどね。やっぱり気持ちを伝えずに失恋は絶対に嫌だから伝えるよ。

 私。綾乃は前からとうやの事がす、す。好きでした。付き合って下さい!」

 顔を赤くして捲し立てるように告白をする綾乃。

 俺は綾乃の告白に素直に答えを返す。

「俺も綾乃の事が昔から好きでした。すっかり綺麗になった綾乃に告白して、この関係が壊れてしまうのが怖くて……」

「そうよね。私のようなデカ……イ女なん……て……えっ?」

 本当に駄目元での告白だったのだろう俺の言葉に驚き硬直する綾乃に、

「ごめんな。情けない奴で……俺が綾乃に気持ちを伝えていれば……こんなにやきもきさせなかったのに……」

「どうやぁっ!」

 抱きつく綾乃。そして、お約束の肘が再び、

「ぐえっ!」

「ああ。ごめんなさい」

 俺の傍だけ綾乃はポンコツになるのだった。



 後日。

 いつものT字路で綾乃と合流。手を繋いで歩き出す。

 俺は彼女に気になっていた事を興味本意で尋ねた。

「あの時、何度も道にハンカチを落としていたのは何でだ?」

「ヒロインの落としたハンカチを拾った主人公がハンカチをヒロインに届けて仲良くなって……」

 右手に抱きつき綾乃は話を続ける。

 胸の感触がやばい。顔にでないように……でないように平常心。平常心。

「付き合うって王道でしょ?」

「確かに王道だな……内容が古いけどな」

 あと、ソレは初対面が条件だぞ!

 この一連の出来事はポンコツモードに入っていると予測して心の中で突っ込みを入れる。

「じゃあ、タックルやフランスパンは?」

 ポンコツモードの彼女との付き合いは長いので何となく予想がつく気もするが……

「パンを咥えて曲がり道でぶつかる。そして二人は恋に落ちる。王道でしょ?」

「王道だな……相変わらず古いけど。

 で。タックルとフランスパンは何故だ?」

 俺はジト目を向けながら再び問う。予想が合っていれば綾乃は何かやらかしているはずだ。愛しのポンコツ匂いがする。

 綾乃は頬に一筋の汗を浮かべてポソリと答えた。

「最初は、咥えていたパンを途中で全部食べちゃって、どうしようって焦っていたところにとうやを見つけて……。

 フランスパンは、家を出る時に食パン無くて、家にフランスパンしか無かったからこれでいいやって……

 最後はとうやが食パン咥えていたから条件そろっている。チャンスって……テヘ」

「いれいろ突っ込みたいが……俺がパン咥えてどうする。逆だよそれは!」

『テヘ』が可愛すぎて頬が熱くなる。俺は慌ててそっぽを向いて叫んだ。


 ~完~




無性にバカ話を書きたくなり書いてしまいました。最後までお付き合い頂きありがとうございます。



宜しければ他の作品もよろしくお願いします。


評価や感想等もお待ちしています。では。また別の作品で。

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