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定休日をつくりましょう


 レオリオとギルのバトルは一時落ち着いた。私のことを困らせたくないから、とレオリオが一旦引いたのだ。


 ギルが引かなければ騎士団を廃止する、と言わないのも、そんな卑怯なことをして私に嫌われたくないからだろう。


 帰り際、彼は「君から来てもらえるように頑張る」と言っていた。その点から、やはりレオリオは誠実ではあるのだ。


 果樹園とカルロスのほうは、ちゃんとギルに説明して納得してもらえた。私の趣味も兼ねているのだ、没収されたら困る。これから土に触れるのが楽しみだ。


 カルロスはといえば、さっそく果樹園で採れたフルーツをカゴにまとめて持ってきてくれた。あの果樹園は魔石を使ってエリアによって温度と湿度の調節がされていて、季節関係なく色々なフルーツを楽しめるらしい。これから世話をすれば他のものもちゃんと実をつけるだろう、と言われた。


 一通り落ち着いて、ちょっと考えてみると最近働き過ぎていたな、と思った。マーカスもイマリアもずっと働いている。だから、私は昨日二人に


「定休日を作りましょう」


 と言った。


 昼も順調だし、夜間の営業も始まった。常連客も結構ついた。材料費が掛からない分、そこまで無理をする必要もない。前世、こんな不思議なことをしていれば告発されていたかもしれないけれど、ここには材料費をどこかに報告しなければいけない、という仕組みもない。だから、取り敢えず、定休日を週に一日作ることにしたのだ。


「エラさん本当に良いの? なんだか落ち着かないわ」


 食堂の窓際のテーブル席に座って、イマリアはチラチラと目を泳がせた。


 定休日作ります宣言をした次の日、つまり今日、イマリアは私と食堂でお茶会をしてくれることになった。マーカスは隣町に行くと言っていたけれど、イマリアは急に休みが決まったので予定がない、というので私が勝手に誘ってしまったのだ。


 失敗した、これでは彼女の休みにならないかもしれない。


「イマリア、ごめんなさい。休みの日まで私の顔を見ないといけないなんて」


 ほら、よく言うじゃない。サラリーマンとかOLが、なんで休みの日まで上司の顔見なきゃいけないんだよ、って。そう思われてたら、と思うと自分から先に言ってしまった。


「そ、そんなことはないわよ。ただ、落ち着かないだけ、なんだからっ」


 まだまだイマリアのルビーのような瞳は泳いでいる。彼女はとても真面目だし、働き者だから、何もしない日は落ち着かないのだろう。

 

 火の魔石を使ったオーブンでマカロンを焼いて、ダージリンティーを淹れてあげたのだけれど、なんだかダメな気がする。


「イマリア、やり直しましょう」


「へ?」


 私がはっきり言うと、驚いた顔ではあるけれど、やっとイマリアが私のことを見てくれた。


「お菓子作りしますか?」


 ——さて、これでどうでしょう?


「本当!?」


 私の作戦は成功した。目をキラキラと輝かせて、イマリアはもう席から立ち上がってしまっている。


「べ、別に最初からそう言ってくれても良かったんだからね?」


 胸の前で両腕を組んでイマリアは照れ隠しをするようにツンツンと言った。


 ツンデレ、本当に可愛い。癒される。私がべた褒めしてからグリーンの服をよく着てくれているし、いちいち顔を真っ赤にするところが可愛い過ぎる。


「では、エプロンを貸しますね。キッチンにどうぞ」

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