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不安で犬になっちまったんじゃ……


 ◆ ◆ ◆


「エラちゃん、すごいな。助かったよ。な、ギル?」


「ああ、協力に感謝する」


 レオリオが帰ってから、すぐにシルバとギルが立ち上がって、片付けの手伝いをしに私のほうに来てくれた。


「ありがとうございます。私も少し自信に繋がりました」


 私の料理は魔法解除や回復効果だけじゃなくて、ちゃんと人の心も動かすことが出来るんだって……。前世、誰にも美味しいと言ってもらえなかった、私の料理が誰かの役に……。


「だが、あまりあの男にはむやみに近付くなよ?」


 カウンターを拭きながら、ギルがぼそりと無愛想に言った。


「大丈夫ですよ」


 そう言いながら、ふふっと笑う。ギルは一体何を心配しているのだろうか。私は地味だし、美人でもない。おとぎ話に出てくる王子様みたいに整った容姿を持つレオリオが私のことなんか気にするはずがない。お店が夜も開いて、料理が食べられるということだけ決まれば、それでもう満足だろう。


「あれ?」


 急に目の前からギルの姿が消えた。もしかして、と思ってカウンターの向こう側に行ってみると彼は犬になっていた。


「ギルのやつ、不安で犬になっちまったんじゃ……」


 シルバは言うけれど、きっと偶然だ。そういうタイミングだっただけだと私は思う。


 そして、この機会を逃す私ではない。


「もふもふ……」


 呟きながら、ギルに手を伸ばしていくけれど、彼はまるで「あいつにはむやみに近付くな、分かっているのか?」と言っているかのようにグルルッと威嚇してきた。


「分かってますよー」


 ふわふわの誘惑に勝てず、私はギルを豪快にもふもふし、肉球をふにふにしながら、ちょっと適当に答えてしまった。そして、突如として大事なことを思い出す。


「あ……」 


 夜間のメニューばかり考えていて、全然ギルに頼まれたものを考えられていなかった。さて、どうしようか……。

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