特別編 Part 4
私は国長、キーナルドに事の顛末を話した。
「そ、そうですか……有難う御座います」
「倒したといってもまだ、安心はしない方が良いと思う」
あの男の右腕には六芒星の紋章が刻まれていた。
「何故でしょうか?」
「貴方も知ってるでしょ、暗黒結界、通称ブレッド=ジュランドの存在を」
「はい、存じ上げております。ですが、その暗黒結界と今回の反逆者と、どの様な関わりが有ると言うのですか?」
「暗黒結界はその物が魔法牆壁って事は知ってると思うけど、反逆者の右腕に暗黒結界と同じ星形多角形の紋章が刻まれていた」
暗黒結界はその名の通り、黒き結界。その結界の模様が星型多角形。
「そうですか、分かりました。これからも以前と同様。いえ、それ以上に警戒して参ります。ルビエル様達はワシャールの観光をしていかがでしょうか」
「うん、そうさせて貰うね」
私達は、【フレースラット】を後にし、【フレースラット】の近くに在った和食屋ちくわに入った。店内は木製で、座敷でご飯を食べる仕組みになっている。
「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」
店内に入ると、店員らしき天使に訊かれた。
「2名で」
「畏まりました。此方の席へどうぞ」
店員に言われるがまま、私達は店の隅の座敷に案内された。
「此方が品書きとなります。お決めになられましたら、此方の固定魔法陣に魔力を込め下さい。、そうすると、私達の方に連絡が行きますので」
店員はそう言うと、紙を数枚渡してきた。
「其れでは、ごゆっくり」
店員はその場から離れ、厨房に向かった。
「何にしよっか、レナ」
「どうしましょう? 私、和食を食べるのが初めてでして……」
「どんなのが、食べたいとかある? 例えば、魚とか」
「私、この【おでん】とか気になります!」
レナは、品書きの中にあるおでんというものを、指差した。
品書きにはこう書かれていた。
{卵、大根、はんぺん等の具材を煮込んだ料理です。
一人前料金 12銀。別途、1銀で味噌おでんに変更可能。
具材:卵、大根、はんぺん、竹輪、蒟蒻}
「いいんじゃない? じゃあ私もおでんにしよ」
私は席に付属している固定魔法陣に魔力を込めた。
「はーい。どうかされましたか?」
店員が此方に駆けつけてきた。
「注文良い?」
「はい、大丈夫です」
「えーっと、おでんを2人前お願い」
「畏まりました。少々お待ちください」
そう言うと、店員は奥の厨房に行った。
「それにしても、あまり人いないですね」
確かに、席は全然空いている。しかし、現在の時間は12時丁度お昼時。このお店が人気無いのか、それともーー。
考えていると、店員が料理を持ってきた。
「失礼します。此方がおでんとなります!」
店員は机に容器を置いた。その容器の中には、卵や大根が入っていた。
「容器は熱くなっておりますので、ご注意ください」
「ありがとう。それでは、頂きます!っと」
私は箸を手に取り、容器からはんぺんを取った。はんぺんにはおでんの汁が染み込んでおり、取った瞬間汁が垂れた。
「美味しそう……」
私ははんぺんを口に入れる。しかし、はんぺんが予想以上に熱く、舌を火傷してしまった。
「あっつ」
「大丈夫ですか?」
「え、ええ。水魔法 冷水」
冷水を使い、一時的に舌を冷やした。
30分間、私達はおでんを食べた。
「ご馳走様っと」
「美味しかったです」
私達は会計する為、店員を呼んだ。
「はーい。どうかされましたか?」
「お会計良い?」
「はい。えーっと、おでんが2人前なので、24銀ですね」
私は魔法で銀貨を24枚出した。そして、その銀貨を店員に渡した。
「はい、丁度頂きました」
私達は、和食屋ちくわを後にした。
「んーっと、美味しかった」
私は背伸びをした。
「さーてっと、ご飯も食べたし、帰ろっか」
「はい、分かりました」
私達は軌道で天界第一本部に転移した。
「あっ、そうだ。夜に天泉に行こ?」
「え、良いのですか」
「うん、だって、貴女は私の秘書でしょ」
「ありがとうございます!」
「それじゃあ、夜に」
私達は別れ、各自、自室に戻った。
夜になり、私は温泉にはいる為の準備をしていた。
準備が終わったところで、私は思音声通信でレナと通信していた。
『レナ~準備は出来た?』
『はい、出来ております』
『それじゃあ、天泉に現地集合で』
『畏まりました』
思音声通信を切った。
私は光速で天泉に転移した。
天泉は平屋の温泉で、露天風呂まで備わっている。ここで働いてる天使であれば、自由に使用できる温泉。たまに、大天使長も使用している。
私は天泉の入口でレナを待った。
暫くすると、レナが走ってきた。
「すみません、遅くなりました」
「いや、いいよ別に。それより、はやく入ろ」
私達は天泉に入った。そして、廊下を伝い、(大天使長及び大天使官長専用浴場)と薄く書かれたところの前に立った。
そこの床には、黄色い結晶が置いてあった。
私が黄色い結晶に触れると、その結晶が光り、壁に魔法陣が浮かびあがる。
「ソウルドンシ」
私がそう言うと、次の瞬間、魔法陣があった場所に扉が現れた。
扉を開け、私達が中に入ると、扉は消えた。
私は服を脱ぎ、タオルを巻いた。
浴場に入り、私は体を洗った。
「あ~気持ちいい。フラードとの戦闘で消費した魔力が回復していく……!」
一通り、体を洗い終えると、私は温泉に浸かった。
温泉に入ると、その温泉が身体に染み込み、日々の仕事で傷ついた身体が癒えていった。
「ふーぅ」
瞼が重くなっていった。
「あ! ルビエル様。危ないです」
「ん? ああ、ごめん。眠たく。ふぁ~あ」
私は欠伸をした。
何故か、レナの胸が何時もより、大きく見える。ズルい。主より大きくなるなんて。
私はレナの胸を揉んだ。
「え!? ちょ、おやめください。ルビエル様。もしかして、のぼせてますか?」
「ん~? のぼせてんかいないよ?」
「絶対、のぼせてますよね!? 一度上がりましょう。よっこらせと」
レナは私を抱っこし、更衣室の椅子に横にさせた。
私はそのまま、寝てしまった。
次回から、天魔戦争編の方を投稿致します。
書いてみて、私は食事の描写が苦手ということが、分かりました。以後、食事シーンは最低限にしようと思います。