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天界の主  作者: 月花
第2章天魔戦争編
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クロとフォレス

「そうだな。数十年振りか。見覚えのある顔もある」


 クロはサンを睨む。そして、サンもクロを睨む。


「ドウラ。俺はあの剣使を殺る」

「分かりました」


 クロは上空に赤黒い魔法陣を描く。


「久し振りだな、中尉君ーー違うな。今は大天使長か。ワースの時は世話になった。恩返しだ」


 クロがパンッと手を叩くと、赤黒い魔法陣から紫色の炎が現れた。


「炎魔法 魔炎天鏖滅(ダエンサヴァ)


 クロが詠唱すると、紫色の炎がサン目掛けて放たれた。

 サンは神剣エルを横に持つ。


「剣技魔法 炎攻撃防御反射(スミホ)


 神剣エルから青い光が溢れだす。その光はサンを覆うように集まり、紫色の炎を受け止めた。それだけなく、その炎を反射した。


「反魔法 炎耐性(ホタ)


 クロの目の前に青色の結界が張られる。その結界は紫色の炎を受け止め、無くしてしまった。


「俺とワースは部隊配属からのバディとして長らくやってきた。だが、貴様ら剣使によってそれは終わってしまった……」


 クロは怒りに任せ、背中に背負っていた剣を抜き、サンを斬ろうとする。


「俺はっ! あの時、総帥に助けてもらわなければとっくに死んでいた……王だけだ俺を分かってくれるのは。だから、王の命令は絶対に遵守する! 例えこの身が崩壊しても」

「クロ! 貴様らの理由は何だっ!?」


 斬りかかって来たクロを神剣エルで跳ね返し、訊いた。


「俺らは王の意のままに任務を遂行する。これは、新兵に言っている言葉だ。俺も将統括に成るまではその理由を聞かされてなかった。一つ言えるのは、王はこの世界を欲しがっていないという事だ」

「それは一体!?」

「続きを聞きたくば、俺を倒してみろ。魔剣魔法 炎舞(エン)


 クロの持っていた剣の剣身が燃え始めた。クロが剣を振ると、燃えた検診から炎が放たれた。サンはその炎を交わす。しかし、クロはサンに休憩の隙を与えずに攻撃する。


「これで終わりだ……」


 クロは剣を地面に刺す。すると、その地面が燃え始め、それはサンの所まで延焼した。流石のサンもこれには敵わず、直撃してしまった。


「はっはっはっ……ワース。お前の仇は討ったぞ。安らかに眠れ」

「お、俺はまだ……フォレスの事を忘れていない!!」


$23年前、第1剣使部隊部隊舎隊長室$


 隊長に昇格したサンは第1剣使部隊部隊舎隊長室のいすに腰かけて居た。サンの目の前には襟に金色の星2つと縦線が一本入った階級章をつけた天使が立っていた。


「事後報告書を読ませて貰った。この報告書は本当何だな? フォレス」

「はい! その報告書に書かれている内容は事実です」

「分かった。この報告書は俺の方で総隊長に渡しておこう。お前は下がーー」

『緊急命令。フェスト地区周辺に多数の魔使反応を確認。ただちに第1剣使部隊、第2部隊は現場に急行せよ。繰り返す。緊急命令。フェスト地区周辺に多数の魔使反応を確認。ただちに第1剣使部隊、第2部隊は現場に急行せよ』


 アラームが鳴り終わると、サンに音声通話(デン・コノフ)が掛かって来た。


『第1剣士部隊はフェスト基地に到着後、魔界軍の討伐を頼む。お前ならやれるだろう。サン少将』

「畏まりました。第1剣使は全員でしょうか?」

『今回の数は三個中隊ほどだ。全員出動させろ』

「はっ!」


 サンは敬礼し、音声通話(デン・コノフ)を切った。


「フォレス。ただちに全第1剣使部隊員に出動命令を。拾時卅分(ひとまるさんまる)に演習場に集合。出動できるように準備と通達しろ」


 フォレスは「畏まりました」と言い、第1剣使部隊部隊舎隊長室を出た。


「最近、若くして中佐になったとされる奴が創った設置型音声通話(デン・コノフ)は凄いな」


 サンは感心しながら、出動準備をした。


拾時卅分(10時30分)、第1剣使部隊演習場$


 100を超える隊員が全員班ごとに集合していた。サンは朝礼台に立ち、概要を言った。


「先程、アラームがあった通り、フェスト地区で魔使の出現が確認された。そして、魔使討伐を我々第1剣使部隊が任された。皆、準備は良いな? では、転移!」


 サンら第1剣使部隊はフェスト地区へ転移した。


$同時刻、フェスト基地$


 転移した第1剣使部隊は、サンの命令を聞いていた。


「八班は羅故(らこ)方面を担当。エルド班、一班はフェスト基地周辺を担当。二、五班は方正(ほうせ)方面を担当、三、四班は花瑠(はる)方面を担当、俺とフォレスそして、六班は佐向(さこう)方面を担当する。では、各自班長の指示の元動け」

「「「はっ!」」」


 全員敬礼し、各班ごとに分かれた。


「よし、佐向(さこう)方面に先ずは向かう。俺についてこい」


 サンらはフェスト基地を出て、佐向(さこう)へ進んだ。


「分かってはいたが、森しかないな……」


 フェストの佐向(さこう)は、森林地帯。その為、サンらは常に周囲を警戒している。


「カサッという音ですら聞き逃すな。後ろから襲われる可能性があるぞ。怪しかったら、俺にウンと言え」


 サンらは森林地帯を抜ける為、歩き続ける。20分ほど歩くと、平原に出た。


「一度、ここで小休憩を取る。交代制で見回りを実施」


 六班の班員らは、地面に座り、水筒の水を飲んだ。

 小休憩はおよそ5分ほどの休憩で、軽食を食べる時間すら無い。しかし、水を飲める為、班員らにとっては、至福の時間である。

 5分後、サンら休憩を止め、歩き始めた。すると、サンは後ろ側に気配を感じ、咄嗟に「全員、反魔法を使え」と命令した。

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