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天界の主  作者: 月花
第X章 特別編
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特別編 Part 3

 邪神……、やっぱりね。でも、どうやって連携を取ったの? 天界襲撃時に邪神を天界に忍ばせた? でも、聖天結界(ルビ・フォコニア)内に邪神が入ったなら、反応がある筈……。それがないということは、暗黒結界? そんな事より、今は目の前の男を倒さないと。


「あぁ、邪神様よ、どうかこの私にお恵みを、精神召喚魔法 邪神召喚(ギメラ)


 男が邪神召喚(ギメラ)を使うと、彼に黒い粒子が纏わり付く。


「生誕を司る邪神、ザーナメント・フラード様よ、俺、いや、私に邪悪なる力を分け与えよ!!」


 黒い粒子は男に吸収された。全ての粒子が彼に吸収されると、彼は発光した。


「眩しっ」


 発光が終わると、そこに居たのはあの男では無かった。そこに居たのは女性だった。


「此処が天界ね。んーっと、それじゃあ、久し振りに暴れるわ」

「貴方は?」


 質問すると、彼女はすんなりと答えてくれた。


「私は生誕を司る邪神 ザーナメント・フラード様よ」


 あの男には魔力が精神汚染しない程度にはあった筈……。てか、自分で様とかつけるんだ。


邪神召喚(ギメラ)にはね、自分の身体に邪神を召喚するタイプと自分を邪神に変貌させるタイプの2種類があるの。今回は後者の方。まあ、こんな事を話したって、無駄ね。何故なら此処で貴女は死ぬから。邪剣ナティーバ!」

 

 フラードは腰に佩けていた邪剣を抜いた。


「皆、この一振りで死んでしまう。そう、貴女もね。邪剣魔法 流産(ウォン)


 フラードが邪剣ナティーバを振ると、途轍もない程の赤い粒子が此方目掛けて飛んできた。


 確かに、フラードが言った通り、此れを直に受けたら(・・)の生命体なら死んでしまう。


「反魔法 聖天結界(ルビ・フォコニア)。変化魔法 球体(ソドム)


 私の目の前に、半透明の結界が現れる。そして、その結界は私を覆う様に丸く、球体になった。


「先程、貴女は言いましたよね? 今回の邪神召喚(ギメラ)は、自身を邪神に変貌させる、と。つまり、元々の体の魔力は一緒ということ、 聖天結界(ルビ・フォコニア)は対象の魔力は絶対に弾く。私に魔法使った時点で、貴女はもう、負けという事」

「私は、負けたりはしない。あのお方の為にも。召喚魔法 邪神ザーナメント・フラード!」


  フラードの周りに黒い結界が現れる。


「……魔、法牆壁……!?」


 結界に罅が入ると共に、強風が結界の中からふいてきた。


「やっぱり、自分の身体が一番ね」


 結界の中から、女性が出てきた。


「初めましてじゃないわね。こんにちは、ルビエル。生誕を司る邪神 ザーナメント・フラードよ」


「あの男は?」

「死んだわよ、私の召喚と引き換えにね」


 召喚魔法は対象の魔力と引き換えに召喚する。しかし、男は邪神召喚(ギメラ)反魔法(フーリ・スカ)といった、強力な魔法を使い、男自身の魔力はもう底をついていたいた筈、その状態で、召喚魔法という魔力消費量が多い魔法を使ったのなら、魂の魔力すらも使われた可能性がある。ということは、男にあった魂はもう……ない。


「魔力の量も種類もさっきまでとは、違う。貴女はどうやって防ぐのかしら? 邪剣ナーモ・バイザス」


 フラードの目の前に、青と赤の粒子が現れ、その粒子は剣の形に集まった。


「ナーモ・バイザスよ、主に姿を見せるがいいわ」


 フラードがそう言うと、粒子があった所に剣が現れた。


「この()はね、ナティーバと一緒に邪神界の氷山に刺さってたの。さあ、ナーモ・バイザス、あの天使の魂を斬りなさい。邪剣魔法 生誕(ナーモ・バイザス)


 ナーモ・バイザスは光だし、次第に鞭の様な形状になった。


「此れに当たったら貴女の魂は斬られ、魂回復(バンクト)でも修復不可能になるわ。そう、永遠に」

「つまり、そのナーモ・バイザスに当たらなければい良いということね」

「ふっ、どうかしら? 邪剣ナーモ・バイザス 奥技 魂斬(ソーフ)!」


 フラードがナーモ・バイザスを振る。ナーモ・バイザスは金属とは思えない程、柔らかく、剣身は私の方に伸びた。

 私はその剣身を交わした。剣身が私の直ぐ隣に当たると、その周囲の床がひび割れた。


「な、何故避けれたの!? 可笑しいわ」

「私はね、貴女より剣筋が良い天使とかを一杯見てきたし、戦ってきたの。さあ、次は此方の番だよ。魔滅剣ザン・フラナード」


 私の目の前に、神々しく光った剣が現れる。

 その剣を取ると、剣に魔力を吸われている感覚がある。いや、実際に魔力を吸われている。


「ふーん。邪剣に聖剣で対抗するんだ。全く、ナメられたものね」

「確かに、邪剣相手に聖剣で対抗するには分が悪い。でも、其れは普通の聖剣だけ。魔滅剣 奥技 魔滅(ザン・フラナード)


 魔滅剣の光が更に増す。


「魔滅剣は、あの戦争後、以後魔使からの襲撃に備え、旧大天使長達が創った聖剣。本来なら邪神には効果はない。でも、貴女は違う。ねぇ? 魔界軍総帥補佐官 ザーナメント・ワイ・フラードさん?」

「何で、その名前を……」


 私は輪と羽を出しながら言った。


「大天使官長にして、天界の主。貴女が忠誠を誓ってるサタンファーストデビルの姉。ルビーファーストエンジェル。だから、知ってて当然でしょ?」

「あのお方の姉……嘘よ。だって、あのお方、サタン様は俺が兄だと言ってたから!」


 やっぱり、サタンはそう言ってるのね。


「貴女が私がサタンの妹と思うのは勝手よ。大事なのは、姉なのか妹とかじゃない。今は目の前の敵を天界(ここ)から追い出す。いや、殺すだけ」

「でも、私が元魔使だからだけで、魔滅剣が使えるってことには成らないわ」


 時間を稼いでるのか、フラードは質問する。


「貴女があの時の記憶を持っているのなら、魂は一緒。貴女の魂には魔使の属性がまだ残ってる」


 私はフラードの前まで接近し、剣を振るが、ナーモ・バイザスによって、防がれてしまった。

 流石に、一撃では死なないか……。


「うっ……。魔力も無いし、此処は撤退するほか無いわね。召喚魔法解除」


 フラードは魔法陣を書こうとするが、途中で消えてしまった。


「なんで…………」

「起源魔法 邪神魔法(エビズ・ロック) 。邪神の魔法使用を封印した。選ばせてあげる。このまま死ぬか、捕まるか」

「殺して下さい。捕まったらあのお方に申し訳ないので……」


 そう言うと、フラードはその場に座り込んだ。


「わかったわ」


 私は振り、フラードの首を斬った。


「ルビエル様! 大丈夫ですか」


 レナが駆けつけてきた。


「大丈夫だよ。返り血は付いたけど」

「殺して良かったんですか?」

「ええ、フラードはまた蘇る」


 一応、軍には報告した方が良い。と言うことで、音声通信(デン・コノフ)で軍に報告した。


「軍にも、報告したし、帰ろっか」

「はい。ですが、血の方はどうするのですか?」

「ん? ああ、大丈夫だよ。水・風魔法 洗濯乾燥(マークアリ)


 水と風の混合魔法で血を洗い、濡れた場所を乾燥させた。


「改めて、帰ろっか」

「はい」


 軌道(イリア) を使い、私達は【フレースラット】の入口まで、転移した。

 中に入ろうとするが、前回とは違い、普通に通してくれた。


「身分証明とか要らないの?」

「はい、一度通したら、通した日は自由に出入りできます」


 危ない気がする……。本部では、毎回確認が要るのに。

 私達はそのまま、地下の国長室へと向かった。

次回で特別編は終わりとなります。その次からは、再度天魔戦争編の方を連載します。

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