個人練習 day6 ver.サン
$6日目$
サンは二人より早く起き、朝食を食べ、練習場へ向かった。
空はまだ暗い。
練習場に着いたサンは、Tシャツを脱ぎ、上半身が裸という状態で始めた。本土でそんなことをしたら一発アウトだが、ザクロ休養基地にある練習場の周りは木々で覆われている為、バレない。
$2時間後$
「よっ! サン」
ルドルフが向かいながら、呼び掛けた事により、サンは練習を止め、タオルで汗を拭いた。
「なんだ、ルドルフ? 今練習中だから邪魔しないでくれ」
サンはドウラとの決戦が迫っている為、一分一秒でも練習に時間を費やしたく、ルドルフにやや怒り目に言った。
「今日は俺、剣技の練習をしようと思ってな。それで、サンが丁度居たから、なんか教えて貰おうかと」
(やはり、想定していた事が起きたか……まぁ俺が教えたら奴を倒すのが楽に成るのなら、教えても良いかーー)
「ーー分かった、では天剣か聖剣どっちでやるか教えてくれ」
「カヤノを試したいからな。じゃあ、天剣で」
(カヤノか、懐かしいな。彼奴が使っていたか…………)
「では、フォ……ルドルフ。お前が使える天剣魔法の中で、一番強いやつを使ってみてくれ」
「了解だ。今使えるやつだとーーあれか」
ルドルフは大きく息を吸う。
「起源魔法 火神。天剣魔法 通魔付与」
ルドルフお得意の通魔付与を使い、天剣カヤノに起源魔法 火神を付与した。その瞬間、天剣カヤノの剣身が燃えた。
ルドルフはそのまま、木の人形の方向に天剣カヤノを向ける。そのまま、振りかざすとルドルフから木の人形までの一直線が燃えた。
「これで良いか? ヤバイな。魔力を大分使ってしまった」
ルドルフは足をつき、休憩し始めた。
「通魔付与を使った剣技か……ルドルフ。お前は木の人形のところに1秒で行けるか?」
「はっ!? 行けるわけねぇだろ」
サンはさも当たり前の様に言った為、ルドルフは驚いた。
「そうか……俺は見ての通り、属性魔法が使えない。故に通魔付与は使ったことがないが、前に一度、俺の隊の1人が通魔付与を使った事があってな。まっ、そいつは死んだがな。そんなことより、そいつは通魔付与と属性魔法の同時使用をした。ルドルフなら同時使用をできるだろやってみろ」
通魔付与は昔の大天使長らが創った魔法で、二重魔法陣。その為、通魔付与の魔法陣を描くのは並みの天使では不可能。一般に出回っている【魔法辞典】にも載っていない。
魔法の同時使用は大天使昇級試験の必需科目で最低2つの魔法を同時に使用することが条件。
「同時使用か……魔法の同時使用なら楽勝なのだが、剣技魔法ってなるとーーまっ、やってみる」
「剣技魔法の同時使用なら俺が教えてやろう」
剣技魔法の同時使用とは、二つの剣技魔法を重ね合わせ、より強力な魔法を産みだすことを言う。
サンはルドルフに木の人形を創ってもらい、剣技魔法の手本を見せた。
「先ずは、見て貰った方が速いか……剣技魔法 効果上昇、聖剣魔法 氷」
サンは腰に佩いている聖剣を抜きながら言った。
サンは息を大きく吸い、木の人形の所に一秒も掛からず走り、その勢いを使い氷剣で木の人形の頭を切り落とす。すると、その切断面が全て凍り、次第に木の人形全体が凍った。
「どうだ? ルドルフやってみろ」
サンは
サンは息を大きく吸い、木の人形の所に一秒も掛からず走り、その勢いを使い氷剣をルドルフに投げ渡した。
「え、ちょ、マジで? せめてコツとか感覚くらいは教えてくれよ。てか、先ず何で同時使用をそこまで推すんだ?」
「ああ、ルドルフ。貴様は魔法を使う時にどっちの時に使う? 1.対象が近くに居る時。2.対象が遠くに居る時」
「まぁ1だな」
ルドルフは少し考えながらも答えを出した。
「では、選んだ理由を訊かせて貰おう」
「そりゃあ、近い方が敵も逃げにくし、遠くだと威力が弱まるからな」
「時間が経つと威力が弱まる。この事は剣技魔法を含めほぼ全ての魔法で言える。一見、剣技魔法は威力が弱らないと思うがそれは違う。例えば、聖剣魔法の固有魔法、じゃあ、今回使った氷なんかを例に挙げよう氷は時間が経つと凍てつく範囲が縮まるという研究結果があったり、後は……そうだな。仇に至っては時間が経つにすれ相手への復習心が薄れ、その結果仇自体の効果も薄れるという訳だ」
成る程……だから、効果の減少を最小限にするために同時使用を推してるってことか」
「まぁ、そう言う事になるな。コツについてだが……俺は知らないが以前、同時使用した言っていた奴が言うには属性魔法の同時使用と同じ要領でできると言っていた。真偽は確かじゃないが」
ルドルフは氷剣をサンに返し、天剣カヤノを鞘から抜いた。
天剣カヤノを構え、走りの体制を取り、ルドルフは走り出した。サンとは違い、1秒とは言わないが、5秒程で木の人形から3mの場所に着いた。そして、ルドルフは通魔付与と草葉を詠唱した。すると、天剣カヤノの剣身が赤から緑色に変化した。
(やはり……あいつとルドルフは似ているな)
ルドルフと過去のサンの隊員が酷似している為、サンはルドルフを見ると、過去の隊員の事を思い出してしまう。
サンの瞳から一滴の涙が落ちた。
緑色に変化した天剣カヤノでルドルフは木の人形の左腕を斬り落とした。
「はぁ、はぁ。ど、どうだ?」
サンは剣技魔法の同時使用ができたルドルフに拍手をしながら近寄る。
「見事だ、ルドルフ。やはりやれば出来るじゃないか」
「まあ、それは……そうだが」
「魔力ならここにセンキから貰った魔力袋がある。安心しろ」
「あ、あぁ。分かった……ちょっと、休憩させて、くれ……」
ルドルフは木影に行き、「1時間経ったら起こしてくれ」と言い、仮眠した。
「個人練習 day6 ルドルフ【2】」と大分酷似していますが、ご了承下さい。
前回、言い忘れていましたが、天界の主 天魔戦争編が一周年を迎えました!




