個人練習 day5 ver.サン
$5日目$
サンは他の二人より早く起きた。
サンは布団から立ち上がると、鞄から白色の戦闘服を取り出し、今来ている服を脱ぎ、白色の戦闘服を着た。
「此れを着るのは、ロウシ振りか」
サンが着ている白色の戦闘服には所々にシミが見られる。これは、サンが魔使と戦った時に付着した物だ。
サンは一度寝専11室を出て、外の様子を確認した。空は時間の関係上少し赤黒く、被災した3室より11室は大分離れている為、外の様子も昨日や一昨日と変化は無かった。
サンはホッとしたのか、11室に戻り、中でコーヒーを飲んでリラックスした。コーヒーを飲み終わると、サンは今日の練習内容を考えていた。
「さて、今日は何をするか……剣の技術を極めるか剣技魔法練習。両方するという手も有るが、それだと、練習一個当たりに対する練習量が少なくなる……後は5日と6日で分ける手か。しかし、もしかしたら6日は何かが有るかもしれない。例えば、センキに剣技を教えたりする可能性がある。どうするかーー」
サンは剣使部隊総隊長で魔界軍第4前哨基地となったオーラス奪取作戦の指揮官を行った時、他の可能性を考えておらず、その為多数の死者を出してしまった。
$20年前、剣使部隊本隊舎指令室$
「第2剣使部隊半壊! 総隊長、如何します?」
具現化魔法でオーラス奪取作戦を実行している剣使部隊と通信している女性がサンに問い掛けた。
剣使部隊本隊舎指令室は前方に実行部隊に作戦指令をする隊員が4人、その後ろに丸いテーブルが置いてあり、それに地図を広げ作戦を考える総隊長、サンが居る。
「では、第19部隊と第2を入れ換え、潜伏班に緑信号を送れ」
「分かりまし……た」
「どうした?」
「いえ、先程情報本部から最大信号が発信されました。その次に……待ってください。これはーー」
作戦を指令しようとした女性の額から汗が落ちた。
「ーーワレシンエンヲモツモノナリタダチニココヲハナレロサスレバワレワレモスグニココヲハナレル。と信号を受信しました」
「シンエン? どう言うことだ? それに暗号化している此処にどうやって発信した?」
「分かりません。ですが、本作戦は一度撤退した方が策かと」
サンはシンエンという言葉を探すため、指令室にある禁書を読んだ。その禁書の123ページには(深淵魔法……起源魔法の上位魔法。使用者はあまりいない)と書かれていた。
「第9部隊に救援要請を行え! これはまずい」
「9ですか!? それは無理かと。この状況で彼らに救援要請すると、総隊長の座を下ろされますよ」
「俺は構わん。それより今は実行部隊の人数を減らさない用にするのが最善だ」
「……分かりました。では、第9部隊に救援信号を送ります」
女性は机に置かれてる黄色の魔法陣に魔力を注ぐと女性の目の前に青いパネルが現れた。女性は現れた青いパネルを操作し、第9部隊に救援信号を送った。
「しかし、この作戦に狂いは無い筈だ。それなのに何故……」
「第9部隊から。いえ、この信号は……」
女性は本棚から信号強度辞書を取り出し、先程届いた信号強度と辞書を照らし合わせる。
信号強度は通信距離が近い程数値が低くなり、遠いと高くなる。他世界との通信の場合は文字になる。これ等の信号強度は具現化魔法の青いパネルの右下に表示される。
「先程、届いた信号強度は362。辞書に依りますと、350~400はミラムコド区です」
「ちょっとまて、ミラムコドはーー」
「はい。魔軍の本拠地がある場所です。つまり、この通信は魔軍からの通信という事に成ります」
「通信内容は?」
「はい。では、読み上げます。ワレハシンエンイヤゴクエンヲツカウモノナリイマカラワレハオルラニシンコウスルーーと」
「それで、第9部隊から返事はまだか?」
「はい。まだです」
サンは少しイラつきながら、爪を噛んだ。
「総隊長! 第9部隊から了承が来ました! 本日拾伍時零零分より救援してくれるそうです」
先程、通信をしていた女性の右側で通信をしている男性が言った。
「わかった。では、第4、7、11、24剣使部隊に拾伍時零零分に成ったら、退避しろと言ってくれ」
「畏まりました」
サンは少し安堵した。
「此方、アナザー本部。拾伍時零零分から、カルチャー、エレファント、アイル、ルクシオンは天牌を失効する。繰り返す。拾伍時零零分から、カルチャー、エレファント、アイル、ルクシオンは天牌を失効する』
男性は、退避命令を出した。命令や報告の際には、各部隊に割り振られた偽名使う。偽名にはアナザーやヴィーナなどがある。アナザーは剣使部隊の総称で、ヴィーナは第41治療部隊の偽名である。
天牌というのは退避命令。
「少し、俺は仮眠を取ってくる。その間に何かあったら、仮眠室まで呼びに来てくれ」
「分かりました」
流石のサンでも2日間不眠不休は難しい。その為サンは休憩できるのは一段落着いた今しかないと考え、仮眠を取った。
サンは仮眠室のベッドに横に成ると、数秒も経たずに寝てしまった。
$ザクロ休養基地$
「まっ、今日は剣技をメインで行い、余った時間で剣技魔法の練習でもするか」
練習内容が決まったサンは早速、練習場へ向かった。
サンは練習場転移すると、先日ルドルフから貰った即席魔法陣を使い、木の人形を創った。その後、サンは木の人形と助走用に15m程離れ、腰に佩けてある聖剣に手を置いた。サンは「はぁ~」と息を吐くと、聖剣を抜きながら勢い良く走った。木の人形との距離が縮まるとサンは聖剣の剣身の向きを横から縦に変え、その勢いのまま木の人形の頭部を真っ二つに斬った。
サンは別の場所に新たな木の人形を置いた。
今回、ルドルフから貰った即席魔法陣の数は6枚。その内、剣技に4枚、剣技魔法に2枚を使おうとサンは決めている。
$2時間後$
2時間、サンはひたすら剣技の技術を磨いていた。
即席魔法陣を4枚使用し、サンは日陰で休憩している。
「少々、疲れた。此処等で一旦朝食を摂るか」
そう言い、サンは持ってきた鞄から事前に用意していたお握りを弁当箱から取り出すと、直ぐに食べ始めた。
お握りを完食したサンは弁当箱を鞄にしまい、聖剣と天剣を持ち替えた。
サンはため息を吐くと、立ち上がり、剣技魔法の練習へ向かった。
即席魔法陣を使い、木の人形を創ると、サンは天剣を鞘から抜いた。
そしてーー
「すぅ~。天剣魔法 爆雷!」
空気を吸い、精神を落ち着かせるとサンは天剣を木の人形、目掛けて投げた。その瞬間、天剣の剣身が鉄色から黄色へと変換し、雷の様に光った。いや、実際にあの天剣は雷を纏っていた。その証拠に今まで雲一つ無かった空に積乱雲が現れていた。
天剣フレニー。それがあの天剣の名だ。爆雷や爆雷雨等の専用魔法としか使えなく、カヤノやパタラルタ等と違い、汎用性も無いため使いたいと思う者は少ない。
爆雷は当たった場所に雷を降らせるだけでなく、その雷は触れると爆発する。そのため爆雷を使うのは密室している室内や木々が生い茂った場所が適しているが、生憎ザクロ休養基地の周りは平野。サンは爆雷を使う前に引力を使っていた。引力は対象物を自分のところに戻ってくる様にする魔法。それを使い、サンは天剣フレニーが木の人形を貫く毎に引力を使い、自分の手元に戻ってきたら、もう一回投げる。それを繰り返すことで平野でも雷による爆発を何回でも使うことができるようにした。
天剣フレニーが木の人形の右腕を貫く。その1秒後、木の人形に雷が直撃。その結果、木の人形は炎上し、焦げた。
「まあ、爆雷を使ったところで、ドウラには効かんだろうな。ドウラが佐や尉を召還した時用に練習しといて損はないか」
サンは焦がれてしまった木の人形の隣に、即席魔法陣を置き、新たな木の人形を創り出した。
「此れが、最後か……なら! すぅ~はぁ~。起源魔法 天剣」
サンは天剣フレニーをしまい、新たに天剣プレニテンプを出し、詠唱する。その瞬間、天剣プレニテンプの刀身が神々しく緑色に光だした。サンはその天剣プレニテンプで空間を斬る。空間を斬った際に発生した波動によって、木の人形の胴体が切り離された。
即席魔法陣を6つ全て消化したサンは一度、本土に戻る為、ザクロ休養基地本部へ行こうとしたが、襲撃後だったことを思いだし、本部には負傷者が運ばれていると考え、別の本土帰還用魔法陣がある、ラット基地へ向かった。ザクロ休養基地からラット基地までは直線距離でおよそ15km。サンは移動魔法が使えない為、勿論歩きである。
$1時間半後、ラット基地周辺河川敷$
1時間半歩き続け、ようやくラット基地周辺まで来た。
基地周辺には必ずと言って良い程、川や湖がある。それは、物資の運搬や船を使った出撃等に便利だからである。実際にサンも此処まで来るのに、ザクロ休養基地の周辺にある川に沿って来た。ザクロ休養基地やラット基地。ヘブン・エンター軍事基地本部には同じユーフテス川という長さ315.39kmの川が通っている。この川は本土、ヘブン・エンター両方の中で一番長い川。
サンはラット基地に着くと、門番に入場許可証を貰い、ラット基地本部へ向かった。
此処、ラット基地は第17剣使部隊、第2治療部隊、第84輸送部隊、第25部隊、第98魔導部隊、第36情報部隊、第76警衛部隊が配備されている。因みにザクロ休養基地は休養基地の為、どの部隊も配備されていない。
ラット基地は各部隊の隊舎、本部、仮家、附属軍事病院、食堂、魔法練習場、特別魔法練習場兼体育館等の施設でつくられている。因みに本部は左上にある。
サンは本部に入り、基地長室へ向かう。階段を3階上がり、一番奧にある基地長室のドアをノックし「大天使長のサンだが、基地長エルバルトに話したい事がある。入っても良いか?」と言った。するとーー
「はい! どうぞお入り下さい」
と、基地長エルバルトの秘書らしき女性が応答した。サンは女性の入室許可を得ると、ドアを開け、中に入った。
基地長室の内装は、前方左右に棚、中央に来客用のソファーと机、後方には執務用の机と椅子、角には観葉植物の木が1本ずつ置かれている。
サンが基地長室の中に入ると、基地長エルバルトは、執務用の椅子から立ち上がり、サンにソファーに座るように言った。
サンがソファーに座ると、秘書らしき女性が紅茶を持って来た。
サンは紅茶を秘書から受け取り、3口程飲むと、基地長エルバルトに本題を話した。
「早速、本題に入るが、ザクロが襲われたのは知っているか?」
「はい。100ほどの魔使が攻めてきたと、ザクロ基地の基地長フラウ・ミクロラから聞きました」
「その結果、現在、ザクロ本部は溢れんばかりの負傷者が居る。故に、本土帰還魔法陣も機
能していない」
「それで、ラット基地に来た理由と言うのは?」
「少し前、此処に配備した帰還魔法陣を使いたくてな」
「一応……指定転移魔法陣なら、第 84 輸送部隊の隊舎の地下1階にあります。ですが、此処の指定転移魔法陣はワリファッツ駐屯地に繋がっています。サン様の目的は本部だと思われますので、少し遠いかと」
「それについては、問題無い。そこからは軍営使民転移魔法陣を使う」
天界本土には、使民が移動などに使う使民転移魔法陣が各区や国にある。使民転移魔法陣には軍が運営する軍営使民転移魔法陣の他に国が運営する国営使民転移魔法陣、政が運営する政営使民転移魔法陣がある。
「……分かりました。それではご案内致します」
そう言うと、基地長エルバルトは秘書に指定転移魔法陣の準備をしろと命令するように言った。それを受けた秘書は具現化魔法で第84輸送部隊に命令を出した。
基地長エルバルトが立ち上がると、次にサンが立ち上がった。
サンらは階段を下り、本部を後にすると、ラット基地の入口の近くにある第84輸送部隊の隊舎へと向かった。
その隊舎に着くと、基地長エルバルトは入口に居る輸送部隊の隊員に入舎許可を貰う。それを使いサンらは隊舎の中へと入った。
第84輸送部隊の隊舎の地下へ行くには、特定の結晶を起動させないといけない。普通は一日中探しても結晶は見つけれないが、エルバルトは基地長故に場所を知っていた。エルバルトはサンに「少し待っていて下さい」と言い、結晶を起動しに行った。
5分後、エルバルトは結晶を起動させ、戻ってきた。
「結晶を起動してきたので、佐向階段に地下へ通じる階段が現れた筈です」
サンらは佐向階段へ行くために事務室などがある本館へと向かった。
第84部隊輸送部隊の隊舎は医務室や事務室などがある本館と部隊員の寮がある別館の2館構成。
本館の佐向階段へ着くと、エルバルトは付近にある結晶に手を触れる。すると、佐向階段に魔法陣が浮かび上がり、今まで床だった場所に階段が現れた。
現れた階段を指して、サンに下るよう言った。
「この階段を下ると、指定転移魔法陣のあるラット基地機密保管室が有ります」
サンはエルバルトの言うがまま、階段を下った。
サンらは階段を下り、廊下を歩き、最奧にある扉に着いた。
その扉の前には第84輸送部隊の警衛班が駐在していた。その警衛班はサンらを見た途端、敬礼をし、エルバルトが「門を開けてくれ」と言うと、警衛班は扉を開けた。
扉を抜けた先にある部屋……ラット基地機密保管室の内装は、地面に直径5mはある紅色の魔法陣と書類を入れる為の本棚が無数に置いてある。
「第84輸送部隊警衛六班は指定転移魔法陣の最終起動確認及び転移先のワリファッツ駐屯地へ転移連絡を行え」
エルバルトがそう言うと、第84輸送部隊警衛六班は起動準備に取り掛かった。
「起動確認まで、10分程度掛かりますので、其方の椅子で寛いでいて下さい」
エルバルトは指定転移魔法陣から2m程離れた椅子と机が置いてある場所ににサンを案内した。
10分後、最終起動確認、転移連絡を済ませた第84輸送部隊警衛六班が終了報告をしに、サンが寛いでいる椅子のところまで来た。
「第84輸送部隊警衛六班。起動確認及び転移連絡が完了しました。本日、壱肆時卅分より、転移を開始します!」
「……分かった。それまでは、少し此処で仮眠する。時間に成ったら起こしに来てくれ」
「は、はい。畏まりました」
第84輸送部隊警衛六班の配員は敬礼し、その場gから離れた。
現在の時刻は壱壱時廿肆分。転移開始時刻まで3時間程ある為、昨日の疲れを取りたいと思ったサンは仮眠した。
$壱肆時廿分$
サンを起こす為、第84輸送部隊警衛六班の班員はサンが寝ている椅子まで来ていた。
第84輸送部隊警衛六班の班員は息を吸い、その息を吐くと同時に叫んだ。
「サン様! 起きてください。もうじき、予定時刻です!」
第84輸送部隊警衛六班の班員は叫び終わると、直ぐ様敬礼した。
第84輸送部隊警衛六班の班員が叫ぶと、サンは飛び起きる様に起き上がった。
「ん、あぁ……分かった。準備するとしよう」
サンは椅子から立ち上がると、指定転移魔法陣の中に入り、白い魔法陣に触れた。その白い魔法陣に触れると、サンに過去の記憶が流れた。
$1ヶ月前、ヘブン・エンター軍事基地本部第3会議室$
サンやルドルフ等の大天使長は勿論の事、ヘブン・エンターの基地長らがそこに集まっていた。
「今回、集まってもらったのはこれについてだ。センキあれを」
サンが言うと、センキはヘブン・エンター軍事基地本部第3会議室の机に白い魔法陣を描いた。
センキは描き終わると、魔法陣について説明を始めた。
「これは、指定転移魔法陣というものだ。この指定転移魔法陣は二つの指定転移魔法陣間で転移が可能となる。現在の本土帰還魔法陣は設置及び維持に莫大な資金、魔力が掛かる。しかしながら、指定転移魔法陣は設置には莫大な魔力が掛かるが、維持に必要な魔力は本土帰還魔法陣の約5%の魔力量で維持できる」
「質問があるのですが、指定転移魔法陣を設置するメリットは何でしょうか?」
「一つは、本土帰還が容易になる点だ。現在は本土とヘブン・エンターを行き来するには本土帰還魔法陣を使わないと行けない。その本土帰還魔法陣は現在、各地区で2つ程度しかなく、仮にその一つが何かにより機能を停止したら、もう一つで転移しなければならない。そこで指定転移魔法陣だ。指定転移魔法陣を各地区20程置いたら、本土への帰還もスムーズにできる」
センキが話終わると、少し老けた男性が手を挙げた。
「それなら、指定転移魔法陣ではなく、政営使民転移魔法陣を使えば良いかと」
「俺も少しそれは考えたが、政営使民転移魔法陣は、政の管轄故、色々と難しいんだ。普通、使民は天界第2本部に設置してある政営使民転移魔法陣や各支部に設置してある政営使民転移魔法陣を使うのだが、それらを設置しているルビエルが居ないから使用許可もおりない」
「他に質問がある者は……居なそうだな。では、指定転移魔法陣設置に賛成な者は手を挙げてくれ」
そうサンが言うと、此処に居る全員が手を挙げた。
「賛成18。反対0か……では、本会議を得て、指定転移魔法陣設置を承認する。大天使長以外は解散だ」
「え~何で~??」
サンは基地長達が全員居なくなるのを確認すると、一枚の紙を机に広げた。
「今回の指定転移魔法陣設置については、あの会議以外の目的がある」
「だからか! 何か不自然だな~って思ってたんだよ。別に政営使民転移魔法陣だったら、エル経由で行けば許可の一つや二つ降りる筈だからな」
「そうじゃん。ルビエルに政の管理もエルは任せられてるじゃん」
「そんな事は置いておいて、本題だが……指定転移魔法陣設置の目的については、言葉より地図を使いながらの方が分かりやすいか」
サンは話す事を止め、ヘブン・エンター軍事基地本部第3会議室の隅に置かれているヘブン・エンターの地図を机に広げた。
「この×印が魔軍の本拠地と思われる旧ヘブン・エンター第5支部だ。そしてーー」
サンは地図に◯の記しを書いた。
「この◯印が、指定転移魔法陣設置予定の場所だ。見ての通り等間隔に設置する予定だ」
「それは分かったが、他の理由は何だ? 別に等間隔じゃなくても本土帰還魔法陣があまり無いところに置けば良いんじゃないか?」
「さっき俺が言った、旧ヘブン・エンター第5支部は魔軍の本拠地と推測される為、現在はその周囲50mが立ち入り禁止なんだ。いや、立ち入り禁止というよりかは結界が貼られているから、物理的に入れないが……ようは魔軍を誘き出す為に指定転移魔法陣を使う」
「具体的にはどうやって?」
「それは追々説明する。今は指定転移魔法陣の設置の承認が先だ」
「まあ、俺は良いが……」
「俺も大丈夫だ」
「わ、私も良いよ」
「うん、大丈夫……」
と、ルドルフ、センキ、アナ、エルの了承を得た事により、指定転移魔法陣設置は可決となった。
$ラット基地機密保管室$
サンが指定転移魔法陣の真ん中に立つと、第84輸送部隊警衛六班班長が転移指示を出した。
「只今より、42回目の指定転移魔法陣起動を行う。指定班員以外は直ちに結界室へ移動しろ。繰り返す。只今より、42回目の指定転移魔法陣起動を行う。指定班員以外は直ちに結界室へ移動しろ」
班員が移動した事を確認すると、次の転移指示を出した。
「エーラは指定転移魔法陣への魔力供給をバヒールはザイダリア確認! サン様。全転移準備が完了しました」
第84輸送部隊警衛六班の班長が「転移!!」と言うと、サンは眩い黄色の光に包まれ転移した。
$同時刻、ワリファッツ駐屯地$
ワリファッツ駐屯地の指定転移魔法陣室にサンは転移した。
「サン大天使長の転移を確認しました。ラットへお願いします
<久々の指定転移魔法陣は、少し吐き気がする……>
指定転移魔法陣などの移動魔法を使い移動すると吐き気や体調不良を催す場合がある。それらは慣れれば起きにくい。
「サン大天使長。今回は、どうして指定転移魔法陣で?」
「後々、正式な書類が各駐屯地に配布されると思うから、今回は簡単に話すな。ザクロ休養基地に魔使に襲撃された。その結果、ザクロの本部は混乱状態に陥った。故にザクロに設置されている本土帰還魔法陣は機能していない。だから指定転移魔法陣を使った」
「分かりました。それで今からどちらへ?」
「軍営使民転移魔法陣を使い、今回の件を報告しに、天界軍事基地本部へ行く。だから、もう行っていいか?」
「あ、はい。構いません。右手の方にある扉から出てもらって、そのまま廊下を伝っていくと、(機密)と書かれている扉を開け、階段を上っていただきますと、正面門から出れます」
「助かる」
ワリファッツ駐屯地指定転移魔法陣部隊の隊員に言われた通りに行き、正面門に向かった。
正面門の警衛部隊に事情を話し、サンは軍営使民転移魔法陣へ向かった。
軍営使民転移魔法陣は各駐屯地の近くに設けられおり、主に隊員や軍関係者などが使用する。各隊員には(軍営使民転移魔法陣__部隊特別割引券)が支給されている。大体10~30%ほど割引される。
軍営使民転移魔法陣ワリファッツ駐屯地前に着くとサンは、軍営使民転移魔法陣担当の隊員に(軍営使民転移魔法陣大天使長特別割引券)と天界軍事基地本部までの代金、60銀を渡し、転移許可証を貰った。そのままサンは軍営使民転移魔法陣を使い、天界軍事基地本部まで転移した。
(軍営使民転移魔法陣大天使長特別割引券)は元の代金から35%割引される。
軍営使民転移魔法陣ワリファッツ駐屯地前から軍営使民転移魔法陣天界軍事基地本部前まで転移したサンは軍営使民転移魔法陣天界軍事基地本部前の真横にある天界軍事基地本部まで向かった。
天界軍事基地本部に着くとサンは、第1警衛部隊の隊員に身分証を見せ中に入った。
天界軍事基地本部は5階まであり、1階には休憩スペースや売店などがあり、2階は図書室や事務室がある。3階は会議室が5室あるだけ。4~5階にもそれぞれ1室ずつ会議室があるほか、天界軍事基地本部に配備されている隊員の訓練できる部屋がある。
サンは天界軍事基地本部5階にある天界軍情報第1支部に入った。
天界軍情報第1支部の中は連絡用魔法陣や瞬時に全駐屯地に連絡ができる総合情報連絡魔法陣などがある。ちなみに天界軍情報本部は天界本土の中心にある。
「支部長は居るか? ちょっと話がしたい」
サンは天界軍情報第1支部のドアを開けていった。すると、天界軍情報第1支部にいた女性がサンに応じた。
「支部長は……今は外出中ですね。要件を私の方から伝えましょうか?」
「いや、その必要はない。機密事項だからな。何時頃戻ってくるかわかるか?」
「すみません。いつも支部長は神出鬼没なので。ちょっと連絡してみます。あっ、そこの椅子に腰掛けといてください」
「ああ、わかった。頼む」
サンは案内された椅子に腰掛け、支部長が戻るのを寝ながら待った。
$1時間後$
バンっという音によりサンは起きた。
「支部長!! 扉が傷つくじゃないですか!」
「す、すまん。ところでサン様は?」
「そちらにいらっしゃいます」
「サン様。すみません。お持たせして……」
支部長はサンの方を向き敬礼しながら言った。
「いや、別に良い。では、第2会議室へ行こう」
「分かりました」
サンと支部長は3階にある第2会議室へと向かった。
第2会議室の中に入ると、サンは紙を2枚出した。
「まずは、これを見てくれ。これには今回起きた件について書かれている。もう一枚の方はザクロの予想、本土の支援要請について書かれている」
サンが指した紙には(ザクロ休養基地【エダル】に起きた被害報告書。10月24日に魔界軍と思われる者達およそ100名により、ザクロ休養基地の休専3室付近【半径約38m】が戦地となった。幸い、部隊Cや大天使長らのおかげで死者は2程に収まったが、軽傷、中傷、重症合わせて26名の被害が出てしまった。その後、直ぐに本土のアングラポ国クエワ町の第298軍事病院院長。チューエ・リサを呼び現在も治癒をしている。ザクロ休養基地には治療室は一応あるにはあるが、狭いため、26名の治癒をするのは難しい為、ザクロ休養基地本部を一時的に特別治療室とし、治癒をしている。その関係上、本土帰還魔法陣が使用できない)と書かれている。
もう一つの紙には(本件の見解兼本土支援要請。10月24日に起きた襲撃事件に関してのザクロ休養基地見解としては、魔界軍の再活発が起きるのではないかと思う。理由としては、魔界軍は貴重な戦力を休養基地に無駄撃ちするような輩では無いからである。ザクロ休養基地にある本土帰還魔法陣を狙った可能性も考えられるが、魔界軍は本土帰還魔法陣の使い方を知らないと思う為、今回は省く。魔界軍は休養基地に襲撃できるほどの戦力を持っていると考えられる為、魔界軍が再活発するのではないかと考えた。本土支援要請。ザクロ休養基地【エダル】に起きた被害報告書にて記した通り、現在のザクロ休養基地はほとんど機能していない状態になっている。その為、本土の治療部隊1部隊。警衛部隊1部隊、総合部隊を1部隊を配備を要請する)と書かれている。
「成る程……分かりました。では、情報本部に伝えてときます」
「そういえば、内乱の方はどうなった?」
「はい。一応、第12部隊が治めています」
「それは良かった。では、俺はザクロへ戻る。この件は早急に頼むぞ」
「はっ! 畏まりました!」
支部長が敬礼したのを見ると、サンは第2会議室を後にし、階段を下り、天界軍事基地本部を出た。そのまま、行きとは逆の方法でサンはラット基地に戻った。
「あ、サン様! どうでしたか?」
サンの期間を心待ちにしていたエルバルトがすぐに訊いた。
「一応、ザクロの件を情報部に伝えといた。数日後、応援に来てくれるだろう」
「了解です。それで、今からどこに?」
「まあ、普通にザクロに戻って本部の手伝いしようと思っている」
「分かりました。それではお気を付けて」
サンはラット基地を後にし、1時間半あるいて、ザクロ休養基地帰って来た。サンはそのまま、練習場へ行き、今朝の練習の続きを開始した。
「朝に即席魔法陣を使ってしまったからな、剣を素振りするか……」
サンは腰に佩いている聖剣を鞘から抜き、素振りを始めた。
$3時間後$
辺りは昼の時と比べ少し暗くなってきた。
「もうこんな時間か……今日はこのくらいにして帰って寝るか」
サンは寝専11室に戻り、今日の疲れを癒すために寝た。
3ヶ月弱投稿を休んだ理由は私の活動報告をご確認下さい。




