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天界の主  作者: 月花
第2章天魔戦争編
52/72

個人練習 day6 ver.アナ・day5 ver.センキ

 アナだけで10000字書いてしまいました。

$6日目$


 (10)時という、何とも微妙な時間にアナは起きた。実際には(8)時に起きていたが、二度寝をしてしまい、拾時に起きてしまった。

 アナの脳内にある予定表には、(6日目……休み【本を読む・練習を多分する】と書かれていた。

 アナは予定が出来ても、手帳など実際には書き表さず、覚えるだけと、大胆な行動を取る為、友達との集合時間には遅れ、課題すら出し忘れる事があった。その事にキレた当時のアナの担任は手帳に書けと注意をしていたが、いくら注意しても書かないアナにうんざりして、4ヶ月後には注意をしなくなった。軍の七不思議の一つとして何故、怒られてばっかのアナが大天使長に成ったのかというのがある。アナは軍学園を卒業後、一般軍事教養課程を可で修了し、第41治療部隊に配属、配属されて3年で戦地へ赴き、計29名の治療を一人で担当したことにより、曹長から少尉へ昇格。その後も順調に治療をし、被災地モーデン救助作戦の時には中佐にまで昇格していた。この時点で、アナは100歳程だった。


 アナは「んん~~っ」と背伸びをしながら起き上がった。が、直ぐに布団掛け、目を閉じ、寝てしまった。三度寝である。サンやセンキが居たら、叩き起こされていただろうが、今は居ない。その事を良いことにアナは夢の世界へ再度行ってしまった。


$6時間後$


 拾肆(14)時、アナはやっと起きた。起きた、というよりかは、起こされた。と言った方が良いかも知れない。アナの視界にはバケツを持ったセンキが居た。センキの持っているバケツには水滴が付着している。そして、アナの服、体は濡れており、布団も濡れている。これが意味するのはーーセンキがアナにバケツの水をかけたということ。

 アナが起きた事を確認すると、センキは言った。


「寝すぎ。姉ちゃん」


 水をかけられたアナは少しセンキに対して怒っていたが、久しぶりに「姉ちゃん」と言って貰えたことで怒りが打ち消された。


「何で~? 良いじゃん、別に。個人練習でしょだったら、私の好きにして良いじゃん」

「いやいや、個人練習と言っても、拾肆時まで寝ちゃあ駄目じゃないか? 後、姉ちゃんは魔法の練習をした? 昨日は負傷者の手当してたって聞いたし、今日しか無いんだ。分かる?」


 昔の口調になったセンキは対し、アナは昔の光景を思い出した。

 あの懐かしい光景。姉ちゃんと言って、家が近所なだけの私に懐き、たまに一緒に登校してあげたり、遊園地行ったり、本当の姉弟みたいな感じだった日々を。


「…………魔法は明日練習すれば良いんじゃん」

「え、明日は作戦会議って、ルドルフが言ってたぞ。知らないのか?」

「嘘……そんな聞いてないよ」

「いや、俺はちゃんと言ったぞ、手帳とかに書かない姉ちゃんが悪い」


 確かに、センキは4日目の夜にアナに7日目は作戦会議と言っており、その時アナは「おっけ~」と言っていた。


「そんな~~」


 アナの眼から涙が一滴流れた。


「まあ、とにかく着替えて。俺は後ろを向いとくから」

「本当? 少しでも此方を向いたら怒るからね」

「分かったから」


 センキは言った通り、後ろを向いた。センキが後ろを向くとアナは着替え始めた。何時もの服では無く、練習用の汚れても良い服に着替えた。


「着替え終わったから、良いよもう」


 センキの視界には、紺色の作業服を着て、胸ポケットには治療部隊の徽章(きしょう)を着けたアナの姿があった。しかし、アナはズボンではなくスカートをはいていた。通常、作業服は作業しやすいように、長ズボンで、たまに半ズボンの天使が居る。だが、アナは大天使になった時、特注で作業服のスカートを作って貰った。以降、アナの作業服はスカートに変わった。


「それで、私は何をするの? ……まさか、一緒にするとか言わないよね」

「………………その通りだけど? 姉ちゃん、誰かが居ないとサボるじゃん。何時も」

「まあ、良いけど……」

「じゃ、転移するよ」


 センキは魔法陣を床に描く。


「移動魔法 軌道(イリア)


 センキが詠唱すると、二人は光に包まれ、転移した。


$天界本土 華廻(かえ)地域。天界軍旧練習場$


 二人はもう使われてない天界本土にあるジュラ駐屯地の特別魔法練習場に転移した。

 特別魔法練習場は体育館ような建物で100m×100mという正方形の形をしており、特別魔法練習場ではたまに、別の駐屯地の部隊と合同練習をする場所と成っていた。しかし、ジュラ駐屯地のほぼ全ての建物が老朽化し、特定立ち入り禁止区域に指定されてしまった。老朽化は特別魔法練習場も例外ではない。ジュラ駐屯地が特定立ち入り禁止区域指定された時の公文書には、

(本土、ジュラ駐屯地全域を特定立ち入り禁止区域に指定する。今後、ジュラ駐屯地の立ち入りは大天使長、若しくは大天使官長が発行する許可証を取得しないといけないこととする)

と書かれており、センキやアナは大天使長であるため立ち入りが自由。故に他の者が居ないジュラ駐屯地を練習場として選んだ。

 センキは特別魔法練習場の電気を付けに行くために地下の電源管理室へ向かった。地下に行くには、一度特別魔法練習場の外に出て、出入口の反対側の扉を開け、中にある螺旋階段を下らなければならない。無論階段には電気は無い。その為、センキは懐中電灯を手に持ちながら階段をミシミシと鳴らしながら下った。


「埃が凄いな。ゴホッ、ゴホッ」


 ジュラ駐屯地が特定立ち入り禁止区域に指定されてから、約40年が経過している。その為、埃が多く、木材の耐久度も低くなっており、猫ですら階段を下ると、軋む。

 階段を下り終わると、一直線に続く廊下が見えてきた。その廊下には電源管理室の他に魔法牆壁起動室等がある。センキは廊下の床を軋ませながら、電源管理室に辿り着いた。


「ここが、電源管理室か……」


 センキは電源管理室の扉を開け、中に入った。電源管理室の内装は、色々な機械が置かれており、それを順番に起動し、机にあるスイッチを押すと電気が着く仕組みになっている。センキは機械を起動し、スイッチを押すところまで終わらせた。


「後は……このスイッチを押すだけかーーって、何だこの量」


 スイッチがある基盤には電源起動用のスイッチの他に、特別魔法練習場前(前)、特別魔法練習場(後)、舞台裏電源等と書かれたスイッチがあった。


「一応、今日使うのは……特別魔法練習場(全)と舞台裏電源、魔法牆壁起動室、トイレくらいか」


 センキは先ず、電源起動用のスイッチを押し、その後、順番に舞台裏電源、魔法牆壁起動室、トイレ、特別魔法練習場(全)と押していった。最初に押した電源起動用のスイッチを押すと、勝手に電源管理室の電気も着いた。センキはスイッチを全て押すと、電源管理室から出て、次は魔法牆壁起動室に向かった。

 センキは魔法牆壁起動室に入った。魔法牆壁起動室の内装は、真ん中に直径10mの固定魔法陣が描かれているだけだった。センキがその固定魔法陣に魔力注ぐと、突如として固定魔法陣が光り、白色の魔法牆壁を創り出した。魔法牆壁が起動したことを確認すると、センキは魔法牆壁起動室を出て、廊下を渡り階段を上った。そして、特別魔法練習場出入口まで歩いた。


「姉ちゃん、ごめん。遅くなった」

「良いよ別に。それより、今からどうやって魔法を練習するの?」

「ああ、それなら……」


 センキは特別魔法練習場の壁に設置されているスイッチを起動した。すると、木の人形が現れた。


「木形じゃん。って、でもこれだと……」


 アナは現れた木の人形を見て、一つ疑問が生まれた。それはーー治癒魔法や呪縛魔法の練習用の木の人形ではなく、属性魔法の練習に用いられる木の人形なのは何でかということ。


「うん。このままだと、属性魔法しか無理だから、ここにあるダイヤルを回すとーーほら、変わったでしょ」


 実際にセンキが壁に設置されているダイヤルを回すと次々に木の人形が、剣技、呪縛、破壊、治癒、封印、属性魔法用の姿に変わっていった。


「じゃあ、ここは治癒魔法用にして、あっちを呪縛魔法用にしよう」


 センキは2m離れたところにあるスイッチを押し、木の人形を出現させ、ダイヤルを呪縛魔法のところにまで、回した。


「よし、じゃあ、準備は整った事だし……練習開始!」


 センキは手を握り、降り挙げた。アナは「お、おお?」と少し乗り気ではなかった。

 アナは木の人形の目の前に立つとピンク色の魔法陣を描いた。


「治癒魔法 癒水(セス)


 アナが詠唱すると、魔法陣から瓶に入った水が現れた。その水はやや黒がかっている。

 アナはその水を手に取ると、木の人形にかけた。すると、次第に木の人形の焦げた左腕が癒えてきた。癒水(セス)には傷を癒す能力しかない。癒水(セス)の上位互換にあたる癒聖水(セスラナ)は、切断された部分と切断面を繋ぎあわせる能力がある。


「センキちゃん、一つ終わったけど……どうすれば良い?」

「もう一回ダイヤルを回せばもう一回できるから」


 アナはセンキの言う通りにダイヤルを360°回した。すると、先程治癒した木の人形が消滅し、新たにまた別の種類の木の人形が現れた。今回の木の人形は大量出血の治癒だ。


「血のやつか~私苦手なんだよな、大量出血の止血。手術はできるんだけど、止血用の魔法は……使いずらい。まあいっか」


 アナは木の人形に近づき、出血部分に魔法陣を描いた。実際には出血ではなく、特殊なインクが木の人形に付着しているだけで、血は流れていない。


「治癒魔法 止血草(リーリング)


 アナが詠唱すると、魔法陣から草が生えた。その草は出血部分を覆うと出血部分に密着し、次第に木の人形に着いた血が消え、出血部分の血も無くなり、治癒が完了した。


$数時間後$


 辺りは大分暗くなり、アナは息を粗くしながら倒れていた。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、疲れた…………」

「お疲れ、はいこれ」


 センキはペットボトルをアナに投げ渡した。


「ありがと」


 アナはセンキに渡されたペットボトルの中に入っているりんごジュースを飲んだ。

 りんごジュースがアナの口内を覆うと、アナは〈あぁ~幸せ……〉と力が抜けていき、寝てしまった。


$5日目$


 センキは起きて、周囲を確認した。が、誰も居なかった。センキは時計で時間を確認した。そこには((9)(30)分)と表示されていた。

 センキの手帳には(5日目、休み)と書かれている。その為、センキは起きるのが遅かった。


「はあ~、今日は何するか……」


 手帳には休みとしか書かれておらず、何をするのか、というのが一切書かれていなかった。


「あっ! そうだ、創魔法の開発をするか。被使(あいつら)に使っている今の創魔法では、失敗する確率が多すぎるから、失敗率を低くして、尚且つ今と同様の魔力消費量の魔法を創らなければな。その為には今の創魔法の魔法陣では、不可能だから、新たに魔法陣を創るしかないか」


 現在の創魔法で被使を創るには、リミット1、リミット2、リミット3、リミット4、リミット5、リミット6とリミットを徐々に終わらせないといけなく、基本リミット5の途中で失敗する事が多い。故にセンキはこのリミットを無くして、一回で創れる様にしようとしている。

 5日目を創魔法の開発にする事を決めたセンキは白衣に着替え、開発に取りかかった。

 魔法の開発は、先ず、魔法陣を創る工程から始める。その為、センキは机が置いてある作戦会議室に転移した。

 作戦会議室の中に転移したセンキは大きいテーブルに紙を広げ、その紙の左側に丸を描いた。紙の右側には数式らしき文字が書かれていった。センキは途中まで順調だったが、ペンを止め、魔法で本を取り出した。その本には(魔法創造 中編)(著者:ルビーファーストエンジェル)(定価:1金49銀98銅)と書かれいた。そう、この本は正真正銘あのルビエルが執筆した本だ。魔法創造 中編は全2492ページと多く、厚さも6cmと分厚かった。因みに上編、中編、下編合わせて総ページ数は7000ページを越える。

 センキは魔法創造 中編の689ページを開き、テーブルに置いた。689ページは魔法創造の中の項目にある〔描き〕の〔魔力量〕にあたるページ。


「え~っと、あった。魔力量の計算は方法」


 魔法創造 中編に書かれている魔力量の公式を現在判明している数値に当て嵌め、計算した。


「これで、合計を出すと……よし! 出た、魔力量。総魔力量はーー75438か。一応、今の創魔法は68546だから、殆ど変わらないな。まあこれでいくか」


 魔力量が求まった事で、センキは魔法陣を描き始めた。


$3時間後$


 センキはまだ、創魔法の開発をしていた。

 数式が書かれれた紙はもう5枚目を突破しており、今は魔法陣にどういった要素を取り込むか。という事を考えていた。


「どうしよう。まあ、身体の創造は絶対だろ。あと、魔力もか。自我も創り。ああ、もうめんどくせぇ」


 センキは頭を掻いた。


「まあ、今日はこの辺にしとくか……お腹空いたから、本部で食料を貰いに行くか」


 そう決めたセンキはザクロ休養基地本部に歩いて向かった。ザクロ休養基地内は、特定の場所以外転移出来ないように結界が張られており、ザクロ休養基地本部は転移出来ない。逆に転移できるのは、この作戦会議室やトイレといった誰もが出入りできる場所のみ転移できる。

 作戦会議室は一番花瑠にあり、ザクロ休養基地本部と距離が大分離れている。

 20分程歩き、やっとザクロ休養基地本部の出入口まで来た。が、出入りにはコーンが設置されおり、貼り紙があった。その貼り紙には(只今、負傷者治療の為、一時ザクロ休養基地本部の出入りを関係者のみとさせて頂いております。食事に関してましては、ザクロ休養基地入口のテントに行って下さい。この件に関しての詳細はザクロ休養基地基地長 フラウ・ミクロラまで御願いします)と書かれていた。

 それを見たセンキは仕方なく、ザクロ休養基地の入口まで歩いた。

 ザクロ休養基地の入口まで着くと、数名がテントの前に並んでいた。センキはその列の最後尾に並んだ。

 暫くすると、列の最前列になり、テントの中に入った。テントの中は、奥に調理機材が置かれ、前側に横長の机があり、そこに鍋が置かれていた。

 センキは調理師から食事を貰い、横の机で食べた。


「ふぅ~。腹一杯。さて、何するか……」


 創魔法の開発をし、昼食を食べ、センキはやることが無くなった。


「まっ、一旦戻るか」


 センキは寝専11室に転移し、中に入った。


「まあ、本を読むか……」


 センキは魔法で本を取り出した。その本には(天才の俺は異世界では底辺 4)(著者:アラ・オード)(定価:77銀)と書かれていた。

 天才の俺は異世界では底辺は、主人公がある日突然異世界転生するが、現実世界では天才と称えられていた主人公が異世界では底辺だった。そんな主人公による異世界の常識を塗り替えるという話だ。


「やっぱ、いせてんはおもろいな」


 センキは残りの時間を天才の俺は異世界では底辺の読書に費やした。


$同日 廿時$


 一通り読み終えたセンキは明日の練習内容を考えていた。


「……明日は、どうしよう」

「ん? どうした。いきなり」


 起きていた、サンはいきなり考え出したセンキ心配した。


「いや、明日どうしよっかなって」

「成る程……では、アナを誘ってはどうだ? 多分あいつ、明後日は作戦会議に変更に成ったって忘れてるだろうし」

「まあ、そうするか」


 明日の予定が決まると、センキは手帳に、(6日目、アナと練習。場所:ジュラ駐屯地、特別魔法練習場)と書き込んで、寝た。

 文中に登場する【天才の俺は異世界では底辺】は以降登場するする事はないです。(多分)

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