特別編 Part 2
屋敷に入ると、床が軋んだ。
別に体重が重いとかではなく、屋敷そのものが古いから。
屋敷の明かりをつけようとしたが、電気が通っていないのか明かりは付かず、仕方なく光魔法を使った。
「光魔法あまり使いたくなかったのだけど……」
邪神と繋がっているのであれば、魔法を感知する魔法が張られている可能性がある。だから使いたくなかった。
廊下を伝っていくと、大広間に出た。大広間には豪華なシャンデリアなどがあり、まるで何かの会場の様な雰囲気を醸し出していた。
それにしても、まだ人影はおろか、気配すら感じていない。
何か裏があるに違いない。そう私は確信した。
「不気味ですね。少し寒気がします」
「さあね。唯一分かることといえば、此処は反逆者の拠点ということだけ。いつ反逆者が襲ってくるのかわからない。まぁ、取り敢えず進みましょ」
「それも、そうですね」
私達が入ってきた廊下の反対側に廊下があり、其の廊下に進んだ。
この廊下は、来客用なのか他の部屋が無数にあった。
廊下の奥に、明らかに怪しいドアがあった。
「開けるよ?」
私はドアを開けた。すると、何処からか声が聞こえた。
「総員、攻撃準備!」
誰かがそういうと、私達を囲むように無数の魔法陣が現れた。
「対象は2名。放て!!」
言葉が発せられると、魔法陣から各属性の魔法が放たれた。
私は咄嗟に反魔法を張った。
魔法による煙で視界が真っ白になったが、その視界の中でも一際目立つ赤い光があった。
あそこね……。
攻撃が止み、私は赤い光の元へ行った。
そこには、一人の男が立って指示していた。
「なっ!? 馬鹿なあの量の魔法、普通なら防ぐ間もなく死ぬはずなのに……」
「ごめんね。私、普通じゃないいの。なんたって、大天使官長だから」
「ふっ、其れが何だ。たった一回の攻撃を交わしただけではないか。闇魔法 毒霧」
魔方陣から紫色の霧が出てきた。
「反魔法 |毒隔空間《スパール・エポエア」
神経性の毒ね……。反魔法張って良かった。
毒霧は部屋中に蔓延した。その毒により、先程の魔法を使った天使達がバタバタと倒れた。
レナを守っている反魔法は毒耐性がある。毒霧程度の魔法なら弾く筈だけど……やっぱり心配。
『レナ! 最悪毒が入ってきたら、移動魔法で逃げて』
思音声通信を使い、レナに警告を出した。
『了解です』
霧が止むと、男は新たに魔法陣を描く。
「ほーう、毒霧を凌いだか……だが、これならどうだ? 封印魔法 反魔法」
そう言うと、薄紫色のオーラが魔法陣から出てきた。そのオーラと反魔法が接触すると、反魔法が割れた。
「このエリア内では、反魔法は使えない。火魔法 火鞭。反魔法が使えない今、貴様には防ぐ術がない。これの意味が分かるか? THE ENDだ!」
男は右手に、火を纏った鞭を持っていた。
反魔法が使えないとすると……、火魔法だから、水魔法で対抗するしかないかな? 多分、水魔法を使うって読まれてる筈……なら、炎反射。
炎反射を使うと、朱色の板が現れた。
男が鞭を降ると、その振った際に生じた風が炎に変化した。
「なっ……反魔法だ、と。 反魔法内では、反魔法は使えない筈なのに…………。何故だ!」
「確かに、 反魔法内では、反魔法は使えない。逆を言うと、反魔法以外は使えるって事」
「どういうことだ?」
「まぁ、簡単に言うと、一応、今創ったの。魔法をね」
男は驚愕した。其れも其のはず、魔法というのは、何年も時間を掛けて創る。魔法創りに長けている者でも数秒で魔法を創るということは、非常に難しい。しかし、私は違う。主要世界を創り、他にも数多の世界を創った、世界創造主の一人。数秒で魔法を創るなんて容易い事。
火鞭と炎反射がぶつかる。しかし、火鞭の炎により、朱色の板に罅が入ったが、炎反射の自己修復機能により、罅が修復された。
その事を知らずに、男は私を罵倒する。
「どうだ? 魔法とはいえ、即席だ。さぞかし、魔法耐性と魔力消費量は釣り合わないだろう…………馬、鹿な……」
「あれ? さっきまでの威勢はどうしたの。起源魔法 序章」
半径1mの魔法陣を描く。その魔法陣から灼熱の青い炎が噴射された。
「確かに、反魔法内では、反魔法が使えない。そう、使用者もね。この意味が分かる? 直ぐに魔法を創れない貴方は魔法を防げない」
遠距離なら、避けれる可能性がある。それを踏まえて近距離で使った。
青い炎は男を燃やした。しかし、 男は少し火傷をした程度だった。そう、摂氏1000度を超える炎で。
「この俺に火は効かん。俺には邪神様の加護がある」
後、1ヶ月程で、天界の主が一周年を迎えます。