魔使襲撃 day4
お待たせしました。
ルドルフ達は数多転移で魔使が襲撃してきた3室付近に転移した。
其処では、部隊Cと魔使が戦っていた。部隊Cは約30人に対し、魔使は少なく見積もっても100人は居る。
「隊長。前衛壊滅しました!」
「くそ、駄目だ。数が多すぎる。我々だけでは、奴らを全員殺せん。大天使長達の助けが来るまで、持ちこたえれるか……」
「ほう、中々数が多いな」
後少しで、部隊Cが壊滅するというところで、ルドルフ達が合流した。
「重傷者はこっちで、治癒するから来て~!」
アナが重傷者の治癒をし、他3人が魔使と戦うという作戦だった。
「後は大天使長に任せろ」
「分かりました!」
部隊Cの隊員は、アナのところで治癒を受けた。
「センキ! 奴らの動きを鈍らせれるか? 動き回れたら、魔法の命中率が低下する」
通常、魔法を使うには詠唱有りだと凡そ、3秒。その間に目標が動き、逃げられたら、その魔力は水の泡になってしまう。だから、動きを極限まで遅くすることで、少しでも命中率を上げる為にルドルフは言った。
「了解だ。呪縛魔法 対象動最遅」
魔使達の地面に魔法陣が展開される。すると、手を握るだけでも、10秒は掛かる程まで、速度が低下した。
「これなら、いける! 炎魔法 広範囲爆発」
ルドルフの背後に16の魔法陣が展開され、そこから、火の弾が発射された。
その火の弾が地面に着弾すると同時に、広範囲に及ぶ爆発が起きた。その爆発により、殆どの魔使が殲滅された。
サンは腰に佩いてある聖剣を片手に持ち、深呼吸した。
「聖剣魔法 未来斬」
サンが未来斬を使うと、視界が白黒になった。白黒になると同時に、聖剣の剣身が白く光った。
サンは魔使目掛けて、聖剣を振った後、指パッチンをすると、視界が元通りになった。
「貴様等の未来を先程斬った」
そう言い、サンが聖剣を鞘にしまうと、魔使達の体が2つに別れた。
三人が戦っていた様子を見ていた、部隊Cの隊長。クウォレカ・クリスは感心していた。
〈凄い……此れが、大天使長の力。到底、俺が辿り着ける領域ではない。そもそも、辿り着こうとするのが間違えだな〉
クリスの故郷、モーデンは此処、ヘブン・エンターの観光町として栄えていたが、100年前の戦争で魔界軍に襲われ、廃都となってしまった。
当時のクリスは6歳。何とか生き延び、物陰に隠れる日々を過ごしていた。軍の救助が来ないまま7日が過ぎ、クリスは餓死寸前だったところを当時の大天使長に救われた。
$100年前$
「君、名前は?」
その一言で、完全に閉じ切ったクリスの心が再度開いた。
「く、クウォレ……」
乾いた声で最後の力を振り絞り、クリスは言った。
「無理に言わなくて良い。其れより水を飲んだほうが良い」
襲撃により、町の浄水システムは完全に停止し、飲み水も満足に手に入らなかった。
大天使長は魔法で水の入った水筒を出し、クリスに渡した。
クリスは渡された瞬間、涎が止まらず、全て飲む勢いで飲んだ。
「そんな勢い良く飲むと、体に悪い」
案の定、クリスは咽た。
クリスは大天使長に水筒を返し、名前を話した。
「……クウォレカ・クリス」
「ありがとう、おーい此処に生き残りが居たから、治癒してやってくれ」
大天使長は大声で他の天使を呼んだ。
すると、女性が駆けつけてきた。
「はい、何でしょう?」
「此処に生き残りが居たから治療してやってくれ。アナ中佐頼むぞ」
「畏まりました」
アナは敬礼し、クリスに手を差し伸べた。
「おいで」
クリスはアナと手を繋ぎ、軍の簡易拠点へ行った。
$現在$
クリスはルドルフ達の元へ向かった。
「貴方方が助けに来なければ、我々の部隊は全滅していました」
クリスは頭を下げ、感謝の言葉を述べた。
「いや、良いよ、別に。頭上げて」
ルドルフが言うと、クリスは頭を上げた。
「で、此れからどうする?」
「ん~。奴が来るまで、残り3日だからな、残りは休みにするか」
「ルドルフ大天使長様。奴とは一体誰でしょうか?」
「キロ・ドウラだ」
「き、キロ・ドウラ……」
クリスの頬に涙が流れた。
「ん? どうした」
「いえ……申し訳御座いません」
クリスは手で涙を拭いた。
「部隊Cは一度、本土に戻り、本格的な治療を受けろ」
「ですが、キロ・ドウラはどうするのですか? 我々も戦わせてください」
「駄目だ」
クリスの願いをサンはきっぱり断った。
「傷者が戦っていたら、逆に迷惑だ」
「……わかりました。其れでは我々は、アナ大天使長様の治癒を受けた後、直ぐ様本土へと帰還します!」
「ああ、分かった」
「それでは、失礼します」
クリスはアナの治癒を受けに行く為、元の場所に戻った。
「そういえば、ミクロラは?」
「確かに見当たらないな……」
「ミクロラちゃんは、ザクロ休養基地本部で用事があるみたい」
何故か、アナだけミクロラの居場所を知っていた。
「成る程……ありがとう。アナ、重傷者の治癒は後どの位だ?」
「もう直ぐ終わるよ」
「何故だ? おかしい……」
サンは未来斬で斬った死体を見ていた。
「どうした? サン」
「いや、通常未来斬で斬った場合、死体は真っ二つになる。だが、今回は粉々に塵となっている。ルドルフの広範囲爆発では、跡形ものなく消え失せる……ということはーー」
「別の誰か。第三者の仕業……ってことか」
「信じがたいが、それが一番有力だ。ルドルフ、ドウラはこの様なことを出来るのか?」
「多分な。俺が見たのは反魔法、起源魔法と魔剣だ。その様な素振りは見せなかった……だが、奴は魔界軍のトップ、ルサノの左腕だ。その様な技も使えるだろう」
サンは天界の中でも群を抜いて剣技に優れている、そのサンを超える程の剣技を持ち合わせているのか、定かではない事に加え、ルドルフと戦った時の力が本気という事も分からず、サンの頭はパンクしていた。
天魔戦争のよりも前にも、魔使は幾度となく天界に襲撃しています。




