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第13話 新しい義手



 とりあえず、新しい義手をつけることに。


 新しい義手は今までと同様、見た目はさほど変わらない。

 遠目で見たら普通の人間の腕、近くで見たら肌色のよく似せて作ったとわかる義手。


 ぶっちゃけ、俺もイネスも見た目はそんなに追い求めていない。

 長袖の服を着ることも多いし、右手だけ手袋もしてるから、側からは見えないからだ。


 だからイネスが一番重要視して作っているのが、その性能。

 俺が思った通りに、コンマ数秒のズレもなく動いてくれる腕。


 つけるのは簡単、ただくっつけるだけ。

 そうすれば義手が俺の身体と反応して、勝手にくっついてくれる。


「どうですか?」

「うん、今のところは問題ないぞ」


 右腕を軽く回して、指を動かして握り込んだり、開いたり。

 今までと同様、ほとんど俺が思った通りに動き、ズレなど気にならない。


「じゃあちょっと、実験室に行きますか」

「そうだな、性能を試さないと」


 ということで、俺とイネスはこの部屋を出て実験室へと向かう。


 この建物はイネスの研究所で、魔王軍最大の研究所でもある。

 さっきの部屋はイネス専用の研究室で、イネス以外には俺しか入ったことはないらしい。


 これから行くところは、研究して開発した魔道具などを、実験するところだ。


 建物の中を移動していると、他の研究者とかにすれ違う。


「あっ、イネス様。先日は私の研究を手伝っていただき、ありがとうございました」

「う、うん……す、少し手伝っただけだから」

「いえいえ、イネス様がいなければ、あの研究は頓挫していたところです。本当にありがとうございました。また何かありましたら、イネス様にご相談してもよろしいでしょうか?」

「い、いいけど……その、暇だったら……」


 イネスはすれ違った研究者と、そんなことを話していた。

 その研究者と別れた後、俺は笑みを浮かべてイネスと喋る。


「イネス、だいぶ他の人と会話出来るようになったな」

「えっ、本当? ボク、まだ全然、シモンさん以外の人と喋る時、目とか見れなくて……」


 今は隣で歩きながら喋っているが、俺の顔を見上げてしっかりと目を合わせてくれている。


「大丈夫だよ、自信持て。いつか他の人とも目を合わせて喋れるようになるから」

「う、うん……頑張ります!」


 イネスは俺と会った頃は、本当に誰とも喋れなかったからな。

 今では俺や四天王のアダリナとは普通に喋れるようになったが、やっぱり他の人と喋る時は緊張してしまうようだ。


 イネスは頑張って他の人とも会話をしようとしているから、いつか物怖じせずに話す事が出来るだろう。

 あー、なんか本当に息子が成長するのを見守る気持ちになってしまう。


 そうこうしていると、実験場に着いた。


 外ではないが、地面は土で出来ていて、戦闘を想定した実験場なので結構広い。

 俺やイネスの屋敷が丸々入ってしまうほど広いので、結構暴れても大丈夫だ。


 壁や天井は白く、あれも一応魔道具の一部で、衝撃や魔法などを吸収するものとなっている。


 だからここでどれだけ暴れても、心配はない……まあ限度はあるが。

 魔王のリディが本気を出して暴れれば、ほぼ間違いなく吸収しきれず破壊してしまうと思う。


 まあ俺はそれほどの力はないから、思う存分力を試すことが出来る。


「最初は適当に土人形で試しますか?」

「ああ、そうだな。頼むよ」

「わかりました」


 イネスがそう言うと、手を前に出して魔法を発動する。


 すると地面から人の形をした、土人形が出てくる。

 その数は十体、全部の人形がしっかり動いていた。


 イネスの魔法で的となる土人形を出してもらったのだ。


 この魔法も結構難しく、普通の魔法使いだったら一体を出して動かすのが精一杯だろう。


 あの土人形を動かすのは、自動ではなく手動に近い。

 頭の中で一体一体、どういう動きをするのか指示を出す感じだ。


 それを十体も出して動かすのは、容易ではない。


 俺だったら五体ぐらいが限度だ。

 それをイネスは、軽く十体を……前よりも数も多くなっている。


 しっかり四天王になってからも、俺が教えた魔法の練習をしているんだろうな。

 はぁ、本当にいい子に育って……。


「おっと!」

「あっ、シモンさん、まだ始めちゃダメでした?」


 考えごとをしていたら、すでにイネスが土人形を動かして俺に攻撃を仕掛けていた。

 危うく普通に喰らうところだった。


「いや、大丈夫だ。しかしイネス、土人形の数もそうだけど、動きもよくなってるな」

「あっ、わかります? シモンさんが新しい義手をつけたら必ず試すと思って、土人形を強くするために練習したんですよ」

「マジか……大変だっただろ?」

「いえ、シモンさんのためならこのくらい、へっちゃらです」

「本当にありがとな、イネス」

「えへへ……」


 そこらの兵士以上にいい動きをする土人形、十体。

 やはり一人で訓練をしていても、人を相手に実戦ですることはなかった。


 これは本当にありがたい。


 イネスのご希望通り……全部、破壊してやるか!



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