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第11話 久しぶりの休日



 アダリナとのダンジョン探索から、数日が経った。

 あれからアダリナから仕事を手伝ってくれ、という連絡はない。


 噂に聞くと、どうやら嫌いな書類仕事とかも頑張っているようだ。


 あいつはやれば出来るんだよな。そのやる気が全然出ないというのが問題だが。

 今回は長続きしているようだ、今度お菓子でも送ってあげようかな。


 そして今日、俺は久しぶりに仕事の休みが取れた。

 これでゆっくり屋敷の中で、アダリナのように一日中寝てられる……というわけではない。


 というか、俺は一日中寝ているような自堕落な生活を出来るような性分ではないのだ。

 すでに仕事ではないが、予定は入れている。


「いいですねー、シモン様。私は仕事があるのに、他の四天王の方とデートですか」

「……いや、お前も前に休みを取ったじゃん。というかデートじゃねえよ」

「まあそうですね。私は月に二回、シモン様は一回ですからね。ほぼ同じ仕事量、休みは一日違い……それなのに、給与はどのくらい違うのでしょうか? おそらく二倍以上は違いますよねー」

「……どちらが望みだ。休みか、給与か」

「どちらもです」

「……休み三日、給与はボーナスを三回から四回に変更は?」

「いってらっしゃいませ、シモン様。楽しい休日をお過ごしください」

「いい性格してるな、お前は」


 そんな話を部下と話してから、俺は屋敷を出た。



 向かった場所は、四天王のイネスの領地だ。

 今日はイネスと約束をしていて、彼の屋敷でまず集合となっている。


 なんで俺の部下はイネスとの約束を、デートと言っていたのか。


 あいつはイネスが男だと知っているだろう。

 まあ、どう見ても男には見えないのは確かだが。


 イネスの屋敷も、アダリナと同様に俺の屋敷よりもだいぶデカい。

 四天王についたのが一番最近なので、屋敷を建てたのもつい最近、ほんの一年前とかだろう。


 二十年も前の屋敷と、新築の屋敷、どちらが豪華で綺麗なのかと聞かれれば、そりゃ新築だろうな。


 まあイネスは俺にとって娘……じゃなかった、息子みたいなものだ。


 イネスがそこまで出世したことは、本当に嬉しい。


 ……まあ、少し寂しい気持ちもあるが。


 屋敷について門番に声をかけ、イネスを呼んでもらおう……と思ったのだが。


「シモン、さんっ!」

「おおっ!?」


 いきなり後ろからそんな声と共に、誰かに突撃された。

 ビックリしたがそこまでの衝撃ではなく、俺の背中に乗ってくるように飛びついてきたので、咄嗟にその誰かを落ちないように抱えてしまう。


「えへへ、お久しぶりです!」

「イネスか……久しぶり」


 俺の顔の横から覗き込むようにして、イネスは可愛らしい笑みを見せてくれた。


「いきなり突撃してきて、ビックリしたぞ」

「ふふっ、ごめんなさい。驚かせたくて、後ろから抱きついちゃいました」

「ったく、仕方ないな」

「なんか久しぶりに、シモンさんに背負ってもらってる気がします……」


 今の体勢は、後ろから飛ぶように抱きついてきたので、イネスが俺の首に両腕で後ろから抱きつき、俺はイネスの両足の太ももの裏を持って持ち上げている状態だ。


 つまりまあ、おんぶをしているということだな。


「最後にしてもらったのは……もう二年前ですね」

「そんな前だったか? はぁ、時が過ぎるのも早いなぁ」


 よくイネスをおんぶしていたことはあったが、もう二年前のことか。


 イネスがまだ今より少し小さかった頃かな。


 男性の悪魔族で、一七〇センチに満たないのは、イネスぐらいしか見たことがない。


 まあまだ十六歳だから、これからもうちょっと伸びるかもしれないが。

 身長が低いことも相まって余計に女性っぽく見えるのだが……イネスが落ち込むからもしれないから、言ったことはない。


「もうボク、重くなっちゃいましたか……?」

「ん? いや、確かに四年前からすれば重くなったが、それでも全然軽いぞ。しっかり食べてるのか?」

「しっかり食べてますよ。元気は食事から、ってシモンさんも言ってましたからね」

「おっ、よく覚えてるな」

「もちろん、シモンさんが言ったことは、全部覚えてますよ?」

「全部ってことはないだろう」


 イネスと一緒に過ごした時間は、約五年ほどだ。

 イネスが十歳の頃に出会ったので、それからイネスが四天王になるまでの五年間、俺の屋敷で一緒に暮らしていた。


「そろそろ降りるか?」

「うーん……もう少し、おんぶしてもらいたいです」

「あははっ、そうか。じゃあこのまま目的地まで歩いていくか」

「ふふっ、本当に昔を思い出しますね。このままシモンさんの背中で寝ちゃいそうです」

「背中でお漏らしはやめてくれよ?」

「そ、それはボクが小さい頃の話ですから! もうしませんよ!」


 そんなことを話しながら、俺達はイネスの屋敷を離れて目的地に向かった。


 イネスは成長したようで……ずっとおんぶをしていても寝ずに、お漏らしもしなかった。





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