嘘
「お前・・・」
集中しすぎて気が付かなかった!!
顔・・・布してない!!
体は水の中だが、見られてしまった!!
どうしよう・・・・心臓がドクドク音を立てる。
なんでだろう、デュークにこの姿は見られたくなかった。
幼い時から化け物扱い。色素がなくて、目が魔族と同じ紫だから・・・
お願い・・・嫌わないで・・・・
何も言えずうつむいてしまう。と同時に自分の感情に戸惑う
嫌われたくない???もともと好かれてもいないのに・・・・
そうだ・・・僕は嘘が得意・・・・
顔を上げる
「お前は誰だ??人間か???」
声が震えてませんように、ちゃんと嘘がつけますように・・・・
デュークは一瞬驚いた顔をした
「・・・・お前は・・いや・・そんなことは・・・」
「お前は人間かと聞いている・・・ずいぶん強い魔力を持っているな・・・
うまそうだ・・・・」
目を細めぺろりと唇をなめた
息をのむ音がする
「・・・俺は・・・魔族を倒すものだ・・・お前は魔族か・・?」
よし大丈夫だ。自信を持て!うまくいっている。
心臓がうるさい。聞こえてしまうのではないか・・・
「そうだな・・・魔族でもあり人間でもある・・・お前は覗くのが趣味か・・・??」
クククと笑う
「なっ 違う!仲間を探しに来た。あまりに遅いので何かあったのかと・・・・」
デュークは探しに来てくれたのか・・・素直にうれしく思う。同時に申し訳なくも思う。
勇気が出ない。ノアだという勇気が・・・・
きっと嫌われてしまう・・
「・・・ここへは誰も来ていない。早々に立ち去れ人間。いずれまた会おう・・・・」
「魔とはこれほど美しいのか・・・・」
最後の言葉は聞き取れなかったが去っていったのを見守ってから、がくがくとひざから崩れ落ちる
心臓が壊れそうだ・・・・
醜い自分がとても嫌だ・・・眼だけでも違ったらよかったのに・・・
早く戻らねば・・・
さっと風の魔法で体を乾かし、布を巻いて、適当な薬草をつまみテントへ戻る
「遅かったな・・・・腹でも壊したか・・」
以外にも話しかけてきたのはロンだった。下品な笑みを浮かべている
「いえ、薬草が足りなかったので夜にしか咲かない薬草を少し・・・」
「へぇー、薬師でもあるのか・・・
なぁ・・・・昔の薬師の役割を知ってるか??
お前どんな顔してるんだ??案外細いし・・・」
腕をつかまれる・・・いやだ・・・・怖い!!!!
その時ロンの首に銀色の冷たいものが触れた
デュークが妖刀を抜いて首に当てていた
「やめろ・・・それ以上触れたらお前の首はないと思え・・・・」
デュークは視線だけで殺せそうな魔気を放っていた
「じょ・・・冗談だよ!!本気になるなよ!こんな小汚いの相手にするわけねぇだろ!!
ハハッ! お前は冗談くらい通じないともてねぇぞ!!」
そういいながらデュークの肩を揺らす。
デュークもやっと剣を収めた。
ロンは持ち場に戻ったがこちらをにらんでいる。とんだとばっちりだ。
今日は厄日だ・・・
手首がジンジン痛む・・・回復魔法をかけようかとしているとき
大丈夫かとデュークがすれ違いざまに手首に回復魔法をかけていった・・
僕は誰かから回復魔法をかけられたことないんだ・・・
心まで回復したみたい・・・ありがとうデューク
でも気を許すのが怖いよ・・・・