ドラゴン
その場で全員固まった。
何日分の食料だよ・・・・
「・・・・なにかまずかっただろうか・・・シェフが作るドラゴンの肉がおいしいので捕ってみたのだが・・・」
その場の金縛りがいち早く溶けたのが百合様。
「まぁ・・・・なんて素敵なの!!!こんなに大きなドラゴンを仕留められるなんて・・・
きっとデューク様なら私を守ってくださるわ・・・・」
目をきらっきらさせながらデュークに走り寄っていた
それを見た王子はむっとした様子だが大きさでは圧倒的に負けてる以上ぐうの音もでない。
この世界のドラゴンは言葉を話すとかそんなに理知的なものではなく魔獣の一種だ。オオトカゲに分類される。中には話すのもいるのかもしれないが、いつも聞こえるのは内容のないものばかりだ。
「デューク様、いかがなさいましょうか、ドラゴンの皮は高く売れるため、分けて肉は干し肉と今後の食料に取っておきましょうか?」
「・・・ああ、お前は調理のスキルまであるのか・・・」
快く了解してもらえてよかった。
そうなのだ、ここの世界は何かに特化するとスキルと言われる認定証みたいなのがもらえる。僕が持ってるのは厳密にいうと調理ではなく魔法に特化した言わば捌きのスキルなのだが まああえて説明を避ける。
できれば亜空間四次元ポケット見られたくないので、神聖な儀式のためとか何とか言いながらみんなをテントに戻した。
「よし、ドラゴン、最後まできれいに食べてあげるからね、安心してお休み・・・・
流れる星よ・・・血肉をわがものとし、その肉を分け与えよ・・・」
祈りながらイメージする、皮と骨、肉を分けていくイメージ
別に詠唱はなんでもいいんだ。僕の場合すべてイメージ、魔法も全部『祈り』
きっと今世ではいい人生を歩めるように神様からの贈り物なんだ。
だから、僕は祈りを忘れない。前世はお肉食べれなかったもん・・・だから全部食べてあげるからね
パキッ
後ろで音がして振り返る、そこにはデュークが立っていた。
「・・・お前はドラゴンのために泣けるのか、なぜだ・・・?」
腕をつかまれのぞき込まれる。僕の顔は布で覆われてるからみえない
「・・・泣いてないです・・・僕はそんなに・・・」
言葉が出なかった。
気が付いた時には抱きしめられていた
「・・・僕に触れて気味悪くないのですか・・・だれも触れないというのに・・・」
「あいにく気味が悪いと思ったことは一度もない。お前の周りは空気がいつもきれいだ・・・」
馬上でのこと
「・・・妖刀が俺に話しかけてきた。滅多に出てこないやつなのに、お前のことが気に入ったらしい
今度手合わせしたいそうだ」
・・・・ごめん被る・・・・
「それって絶対私勝てませんよね・・・第一私は補助魔法しか使えないのに・・・・」
「俺もそれは思ったのだが、こいつが言うには、俺と互角かもしかしたら・・・だそうだ
だから俺もお前に興味を持った」
嫌なことをいう・・・攻撃魔法は使えないが、分解能力やほかの魔法を駆使すればもしかしたらこの刀は折れるかもしれない・・・
「デューク様買い被りですよ。私にそんな力はありません。たまたま馬の声がきこえるだけ・・・」
「・・・もしも、魔王を倒したら・・・いや・・なんでもない・・・」
あれは何を言いたかったのだろう。悲しい顔だった。