馬の上から
聞きたいことはたくさんあった。
なぜ、精霊持ちとわかったのだろうか・・・
なぜ、僕にしかわからない妖刀の意思がわかったのだろう。。。
僕は魔術を駆使して微かな感情の変化を読み取っている。そんな芸当ができる人間を見たことがない。
デュークは剣術には優れていても、魔術はわからないはずなのだが・・・・
馬の上は腰をがっちりホールドされている。
「・・・細いな・・・この小さな体のどこにそんなに魔力があふれているのか・・・」
どどど・・・ドキドキするからくっつくのやめてほしい!!
僕一応男の子で通ってるのに・・・
でも冷静な自分もいる。
必ずこの男裏がある。僕に近寄ってそれから、何の利益のために。。精霊持ちを知っているのも怪しい。
長く王都にいたため、疑心暗鬼・・・用心しないと心も体も奪われる・・・
身に染みてわかってる・・もう、僕は傷つかないって決めてるんだ・・・
先頭を歩いていたロンの馬が振り返った。
「なぁ・・・お前、精霊持ちってホント?? 俺の愛馬の言ってることもわかるっての??」
なかば馬鹿にしたように、挑発的な態度で来る。
どうしたものか・・・知らないふりをするのもいいがデュークの件もある・・・・
ここは話に乗っかろうか・・・
「・・・いいですよ・・あなたの愛馬が何を考えてるのか言いましょう
・・・・まず、納屋に連れ込むのはやめてほしい。あそこは僕の寝るところであってあなたのではないって。そして、この前連れてきてたメイドのローナは第三王子のお手付きでもあるからやめときなって言ってます。」
ロンは顔を真っ赤にして、なんだって!?あのあばずれ・・・・
と顔を手で覆っている。
「はぁ・・・・わかったよ。お前のことは好きではないが、一応精霊持ちということは認める。
しかし、平民にかわりわねえ。。俺はそこは貫くぜ・・・・」
「了解いたしましたロン殿。私も何もかも信じてほしいとも思ってませんので、こんな姿ですし・・
道中攻撃魔法の代わりに補佐させていただきますのでよろしくお願いします。」
冷たく言い放ち、ちらりと聖女を見る。聖女は精霊持ちと分かったとたん殺す勢いで睨んでくる。
たぶん、本来備わっている聖女の加護、精霊が付いていないのだろう・・・
こればかりは精霊に嫌われたらおわりなので、しかたない・・・
今夜の目的地まであと少しだったのだが、百合殿が、もう無理です!!腰が痛くて死んでしまいますわと
騒ぎ立てたため、仕方なく近くの森でテントを張る。
料理係は僕、香辛料を入れたり煮込んだりと大好きなのである。
きれた香辛料を取りに山へ入る。その時聖女と二人になってしまった。
気を付けていただけに、油断した・・・・
「・・・ねえあなた・・・転生者でしょ??・・私の邪魔するの??・・」
魔王はこいつではと錯覚するほどの気迫・・・・
「・・・聖女百合様、わたくしには何のことだかわかりません。
精一杯百合様と皆様にお仕え申し上げる所存でございます・・・」
「ふん!!白々しい!化けの皮を剥いであげるから・・・ノア・・・」
小石を投げつけ去っていった。