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6 ランチタイム

食堂はあるが、人数が多いこの学校において、席の取り合いは必須。

その時に役に立つのが彼女の力であった。

人でごった返した中、座席に座る三体の人形。

クマとウサギとネコ。

人間と同じくらいの大きさのそれらは可愛い見た目と反してまがまがしくさえ思えた。

そんなところに人が近付くはずもなく、皆、避けるように歩いていた。

「よっ、しゃあ!お昼だあ!」

「アエラ、いいのでしょうか。このような場所取り。」

「いいのいいの。場所取りと言うより、皆が近づかないだけだし。これ、幻覚の魔法だよ?」

アエラが手を触れると、幻覚の三匹は消え去る。

近くにいた生徒がぎょっとしたように見た。

「あら、そんな使い方がありましたの?」

「凄いですわね。」

「ソフィアン。これは、間違った使い方です。感心しない。」

マリアナは文句は言いながらも持ってきた食事のトレーを机に置くと、スカートを持ち上げて椅子に腰掛けた。

それを見ていたアエラはにやりと笑って不躾に頬杖をついた。

「邪魔そうだねぇ、マリアナ。私のスカート貸してあげようか?」

「………結構ですわ。はしたない。」

「酷い言いようだね。」

そう言う彼女は膝下までしか無いスカートの裾を持ち上げた。

隣でソフィアンが小さく悲鳴を上げる。


と言うのも、この世界では、踝まであるドレスが貴族の普段着である。

一般人とて、太股が見えていたら売春婦か、貧乏かと言われるものである。

それほどまでに女性の足とは秘められた部位であった。

にもかかわらず。

この女は貴族の娘であるのにその常識を全く無視し、長いスカートは邪魔だと言う理由で履かないのである。

妹のロエルはズボンしかはかない。

どういうことですか。

郷に入りては郷に従え。

こっちが勝手に連れてきたとはいえ、もう少し柔軟に対応してほしいものである。

お願いだから。


「足を見せないの!はしたないですわ。私のドレスを貸して差し上げましょうか?」

「いらなぁ~い。マリアナのドレスは胸元開きすぎ。」

「………それは、胸のサイズがあっていないのでは?」

「私の胸が小さいとでも言いたいのか!」

「そう言うわけでは。」

「そうですアエラ。マリアナが特別大きいのです。くっ……」

ソフィアンが口元を隠す。

マリアナは、かぁー、と頬を赤らめると、周りに配慮した声で二人に怒る。

「む、胸の話をしないでくださいませ!はしたない。」

「だぁ~れも聞いてないって。初心だねぇ。」

「ほんとに。」

アエラは呆れたように肩をすくめ、ソフィアンはクスリと笑った。

「この初心さには、王子様もデレデレだわ。」

「ええ。羨ましいですわ。マリアナをものに出来る王子様が。」

「うう………。」

恥ずかしそうに唸ると、マリアナは下を向いたまま動かなくなった。

耳まで真っ赤に染まっているのが、前からも見えた。

ありゃ、とアエラは呟く。

これは、揶揄いすぎたかも知れない。

この子がそのことについて揶揄われるのはあまり好きでは無いことも知っていたのだが、

面白い反応見せてくれるものだから、つい。

何時ものことなのだが。

少し反省すると、素直に謝罪の言葉を口にする。

こんなところで親しい友達を無くすのは惜しい。

「あー、マリアナ?ごめん、いいすぎた?」

「ええ、私も。」

「………。」

何も言わない。

困ったアエラとソフィアンは顔を見合わせた。


「おやおや、どうしたんだい?」

「っ!!」

後ろから声をかけられたマリアナが体を硬くする。

「あ、王子様だぁ」

「ご、ご機嫌麗しゅう。」

「やあ、アエラにソフィアン。何時も僕の婚約者に仲良くしてくれてありがとうね。」

王子はマリアナの肩に両手を置くと、にこっと笑った。

これは、そう言うやつなのだ。

今マリアナが顔を真っ赤にしているのを知って近づいて、過度なスキンシップをしている。

婚約者の肩に手を置くことくらいが過度と言えるのかどうかはさておき。彼女からしてみたら過度であることは間違いないが。

全く、言い趣味している。悪い意味で。

さて、そんな王子と仲良くしているのが、また癖のあるやつで。

「おい。にどこか行くな、俺は腹かを減ったんだ。……お、アエラ。」

「お兄さま。」

アエラが兄を感知すると、彼女の首元からクマが飛び出る。

『にゃぁ~~!!寂しかったにょだぁ~!!』

口も動かさない、魔法式録音腹話術でクマを喋らせると、兄の顔にクマの人形をべったりと貼り付けた。

「………。」

「テオドール。大丈夫?剥がそうか?」

「いいですよ、王子様。これで兄は楽しんでいるのです。」

「そうなの?」

何も言わないが、朝ぶりのクマの柔らかさと可愛らしさを、言葉を無くすほどテオドールは堪能しまくっていた。

それこそ、息もできないほど、鼻の骨が折れそうなほど、熱烈なものであっても。

「相変わらず君たちはおかしいね。」

「?王子様もクマいる?」

「遠慮しておくよ。まだ僕は鼻が惜しい。それに。」

薄く微笑むと、マリアナの茶色いくせっ毛をすくい上げ、口元に寄せる。

「今は、こっちのほうが良いかな。」


ソフィアンまで顔を真っ赤にして絶句している。

マリアナ関しては、もう呼吸すらうまく出来ていないように思える。

周りの聞いていた人々の口からも、ほぅ…と恍惚としたような吐息が漏れる。

二人を除いて。

「うげ、よくそんな歯が浮くようなこと言えるな、」

「王子様、顔良いんだから。砂糖の大量摂取でみんな糖尿病だよ。厄災じゃん。」

「わぁ~。そこまで言われるのは初めてだよ。」


異世界から来た奇人兄妹は惹かれるどころか引いていた。

全力で。




***

こんにちは。まりりあです。

読書が趣味なんですが、読んだ本は本棚に戻すことなくその辺に放り投げてしまうのです。また少ししたら読むと思ってそのままおいておくんですけど、家族がそれが嫌らしくて、めっちゃ怒られました。

怖い……。

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