光を纏って瞬いて
瞬きの瞬間すら勿体ないような、そんな輝きだった。
朝に輝く太陽よりも眩しく、
夜に光る星よりも美しい。
そんな彼女は私の友達だった。
この国に彼女あり、
傾国の美女と言うわけではないが、
素朴な微笑みは希少なもので、
そう……たとえば狐の皮衣……
私達の産み出すクマのような望にそったもので無くても、
動的な可愛らしさと言おうか、
元気の良さとはまた違う、
そう、それこそ瞬き、羽ばたき。
揺れる洋服の裾をほんの少し土で汚し、
カタカタと靴底を鳴らして石畳を行く様子は、否応なしに目を奪われた。
「ロエル、ソルテル!早く!」
「ええ。分かってるから、走ると危ないよ!」
「俺もか?」
三人の友達の大切な一日をそれはもう楽しもうと、そ死ね記憶に残そうと心に刻んでいた。
全てをしっていても、
何が起こるか分かっていても、
それでも、
それでも、
最後くらい、楽しんでもいいよね、神様。
…………、否、
神に頼まれても困る。
神は見てないからさ、天使に頼んでみ?どうにかしちゃるけん。
まあぁ~、力を貸してやらんこともなぁいかなぁ~。
あ、こんちは、天使でぇ~す。
いえい!
最近影薄かったって?言わない言わない。
天使は輝くリングの力で、いつでも何所でもスポット浴びているのです!!
天使だから、天使だから!!
さてと、何度も言うけどさあ、神様ってあんまり此方を見てないわけ。
神とはいわば神聖ーな方々なわけ。
そう言う方達はさあ、あんまり混沌としたものを好まないの、
んで、好まなけりゃ消せるし、なくせるのが神様の力、それでも神様達はその程度の我が儘で生き物を消すのが忍びなく、仕方なく天使達に管理を任せ、見ないように過ごしているの。
ん、まあ、時たま気まぐれで助けたりとかするらしいけど、
それってほんとに稀だからね。
よくある、神が下りてたって奴のうちのほんの小さな小さな一部分。
後はまあ、人間の第六感とかそこらへんじゃね?
天使は人間のことよく分からないのです。
だからさあ、ロエルさんのように神に祈る方々を見ると、ほんの少しだけど胸が痛むわけ。
信じて祈りを捧げても、こっちの上司は彼女たちのことをば、ただの人の一人としか思ってない。
祈られたってみてないし、
と言うか、聞いてないし。
ってな感じで、テキトーにあしらうのが大体。
そんなのは少し、可哀想だと思う。
かたっ、と音がする。
聴覚が鋭いロエルは、すぐに気が付いたように其方を向いた。
家の石壁と石壁の間。
暗い隙間から呼ぶ、
「ロエル?次は何を食べればいいのでしょう?」
「ん?ん~。シャドーっていうお菓子あったよね?」
「ああ、あれなら教会が売ってるやつが一番美味い。」
「へえ、どんなものですか?」
「小麦粉とバターと砂糖を混ぜて、捏ねて、焼いたやつに蜂蜜とか、砂糖漬けの花とか果実をのせたやつだ。」
「とても、甘そうですね。」
「否、教会のやつはレモン風味のクリームを挟んであるから、意外とあっさりしている。」
「なるほど。博識ですね。」
「毎年きているからだ。」
案内してください、とナレッジドが言うと、ソルテルはああ、と答え付いてこいと言うように歩き始める。
出来るだけ人通りが少ない道を選び、ゆっくり歩いてくれているところ、ソルテルの優しさが滲み出ていた。
ロエルはそれを見てクスリと笑う。
それから、誰にも聞こえないように、否、誰にも聞かさないように呟いた。
「勿体ないな…。やっぱり勿体ない。うん、勿体ないよ。」
噛み締めるように言うと、小走りで二人の後を追う。
背後からの視線を気にしないようにし、
誰が追ってきているかは何となく予想が付く。
一人じゃあない。
せめて、一番都合が良いやつに捕まえて貰えるように、
そっと敵を惑わす。
「アエラ姉さん。聞こえてる?」
ロエルは、ここではないどこかに話し掛ける。
耳に付いた貝の形のアクセサリがほんのり青く光った。
『ロエル。これ、すっごく可愛いんだけど?ねえ、クマに通信機付けるの間違いだよ?電話みたいに耳に当てたら、お腹のふわふわ加減が気持ちよすぎて辛い。』
「………クールにね。姉さん。」
『分かってる。分かってるけど……ほわわ』
ロエルは思った。
こいつもう駄目かも知れない。と、
そして、
「王子様。女の子を付けるのは不躾じゃない?」
「ばれてたの?」
「当たり前。隠す気ないでしょ。」
「まあね。」
影からふと姿を現した王子に、小さく礼をした。
「ばれてたって事は、もう分かってるの?」
「………さあ。でも一つ、私に用があるなら、コッチが行くまで動かないで。」
誰かが、つばを飲み込むのが分かった。
緊張からか、恐ろしさからか、
少なくとも、当事者からしたら目を背けたいような嫌な雰囲気だった。
「……何言ってるの?そんなの良いと思ってるの?」
温和な王子が表向き柔らかく問いかける。
ロエルは裏も表も読んで、それでも尚王子の意とは真逆に動く。
「良いか悪いかなんて、今更愚問だとは思わない?私はまだお祭りを楽しんでるの。そっとしておいて頂戴。」
「……ふふっ。こっちはもう三人も刺客を殺したよ?誰の刺客で、如何して私がここにいるのが分かったのか、ぜひ聞き出したいね。」
王子の影の中、何かが蠢いた。
それは、死体を抱えた黒い服の男達だった。
「暗殺部隊なんか呼び出して、ほんっと趣味悪い。」
「君のための特別仕様。喜んで貰えると思ったのだけど?」
***
瞬き(またたき)と、瞬き(まばたき)って同じ漢字だと言うことを、今日しりました。
難しい。




