町中心部にて
朝と昼の丁度間。
太陽が高い位置から照らしている。
黄緑のドレスと裾をはためかせ、
誰も姫だと気付かない町中心部をナレッジドは、楽しげに走っていた。
屋台の人や、祭りを楽しむ客達が彼女を見て顔を綻ばせる。
間違いなく、彼女はこの町で最も祭りを楽しんでいる者一人だろう。
「ロエラ!ソルテル!」
大きく手を振って、一緒に来ていた友の名を呼ぶ。
呼ばれた方も手を振り替えした。
「ほんっと、楽しそうだよね。」
「少しはしゃぎすぎじゃないか?」
「たまにの息抜き、でしょ。ナーレも、そこはわきまえてる。」
そうだな。と、いつも窮屈そうな友を見て言う。
姫という肩書きの重責は、残念ながら此方からうかがい知ることは出来ない。
只、こうしてみていると、
いつものナレッジドは、やはり、プリンセスであり、今日はたった一人の少女なのだ。
「いや~、妹があんなにはしゃいでいるの初めて見たよ。」
「何十年も兄弟やっているのにか?」
「学校に来る前は、それこそ月に数回頻度でしか会わなかったよ?彼女も、私も、やることは沢山会ったからねえ。」
「変なの。」
「貴族でも、兄弟仲が良くないところはよくあるよ?」
「それこそ意味が分からん。」
「他から見れば、君たちの仲の良さの方が異色さ。」
兄弟三人、人形で遊ぶ家族なんて見たこと無いよ?
と、王子様。
まあ、彼等兄弟は特別ですわ。
「兄弟だ。仲良くして然るべき。」
「その考えさ。希少だねえ。」
笑顔で手を振ってきた妹君に手を振り返しながら、エリックはテオの肩に手を置いた。
「兄弟同士の図りあい、殺し合いなんてのがよくある王宮で、妹の笑顔なんて見られない。あの笑顔は好きだな。」
「殺し合い……?殺したら、捕まるぞ。」
「それもそうだね。」
そういうことじゃ無いんだけどな。と、王子は天然の入った友を思った。
町を走っていたナレッジドは急に立ち止まり、不思議そうに首をかしげたままロエルとソルテルを振り返った。
「ロエル!!如何して屋台が光っているのですか?」
屋台の店先、飾りと共に灯された淡い光の塊を指さす。
「あー、あれはね、星見花って言って、魔法とかで作られた花なんだよ。星って名前が付くから、このお祭りだとよく使われてるの。」
「星見花は、作れるのですか?」
「ん。作れるよ。ナーレも作ってみたら?」
こうやって、と、ロエルがやり方を教えてみる。
形は自由。
只、咲いて欲しい花を思い、祈るだけ。
女神を愛した人間が、その花のような女神を再び求めたように。
ボンッ!と音が鳴る。
わっ、と、驚いた姫様の手のひらの上には、淡いオレンジの大きな花。
「大きな……花。」
「ナーレの綺麗!私のと色も形も正反対だね。」
そう言うロエルの手の上には青い小さな花が四つ、五つ。
「俺のとも違う。」
いつの間にか作っていたソルテルは、白く薄きピンクの挿された清楚な花。
三者三様の花を、姫様は暫く見てから、
「では、皆さんで交換っこしましょう。」
と。
「今、交換っこって言った?」
「言ったな。」
「うちの妹が可愛い。交換しよう、出なく、交換っこ………」
「……?可愛いのか?」
「間違いないね。」
友の趣味が恐ろしくなったテオであった。
「私の花は、ソルテルに。」
「俺のが、アエラか。」
「じゃあ、私のはナーレにね。」
それぞれ渡すと、ナーレは髪に飾り、アエラはドレスの胸元につけた。
魔法でで来ているからか、魔法同士の相性が良く、固定すればすぐに止まる。
「ちなみに、魔力が無くならない限り、存在しつつけるらしいよ。」
「そうなのですか。では、来年まで取っておきましょう。そして、来年にはまた三人で来て新しいものを交換っこしましようね!」
「気が早いなあ。でも、良いか。俺も、大切にする。」
ソルテルは、オレンジの花を服の右袖に柄として貼り付けた。
なるほど、
「あ!ロエル!あれはなんですか?」
「んー?なにあれ?ソルテル。」
「あれは、果物の砂糖漬けだ。パンや焼き菓子に挟む。」
「ジャムみたいなものですか?」
「ジャムより形が残ってて、歯ごたえがある。」
「なにそれ美味しそう!食べに行く。」
「あ、ロエル。私も。」
新しいものを目に映しては、たったと走って行く二人、
どこか気怠げに、でも楽しそうにソルテルも付いていった。
***
言い訳させてください。
最近出せなかったのは、忙しかったからです。
ネタ切れとかじゃないですからね。
では、また次回。




