守ってあげるの活用法
言葉を聞いて、エリックは目を見開いた、そして、
「あ、ああ、そうだとも!ナレッジドは世界一可愛い。」
「だよな。」
素直と言うより、妹可愛さに盲目的になっているエリック。
さっさとこんな不粋なものはずそうと、妹の顔にかかるヴェールに手をかける。
それを制したのは、アエラ。
ちょっとちょっとと手を伸ばして、エリックとナレッジドの間に入る。
「待ってよ。美しいのだから隠すのでしょ?」
「……そう。だが、テオドールは……」
「そもそも美しすぎる故に隠すのでしょ。自分から見せつけるなんてして如何するの。」
「それもそうか」
やっぱりこのままだな。と、
あまりにも兄が目の前であれこれするので、ナレッジドはなにも手が出せないでいた。
ロエルと、ソルテルは傍観に徹している。
アエラの言葉に、またまた考えをあらためたエリックにテオドールが話し掛ける。
最早、アエラとテオドールの知恵の絞りあい。
エリックを挟んだ知能戦争が起きていた。
「まて、隠せば隠すほど、見たくなるのが人の性。気になった誰かに暴かれでもしたら一貫の終わりだぞ。」
「そうならないように守るのが一緒に行く兄である王子様の仕事でしょ?妹に手を出したら承知しないと言うことを見せつけるべきだわ。」
「………どちらも正しく聞こえる。」
呆然としたようにエリックは両手を突いてしゃがみ込んだ。
いつものエリックから即断即決出来ているのに、
愛しの妹の場合は別らしい。
馬鹿だなあ。
天使は段々面白くなってきたよ。
そのまま十分ほど続いた口論は、結局テオドールの一言で終わる。
この頃には、いつも冷静なテオドールも、思わず叫ぶほど白熱しており、
二人の頭について行けていないソルテル、ナレッジド両名は首をかしげ、
末の妹は上二人の不毛な争いに頭を抱えていた。
「結局、正直に見せるのが一番だ。そしてそれは政治の世界でも言える、そうだろ。エリック。」
「なっ………政治を持ち出すのは卑怯ですよ、兄様。」
「………どういうことかな。テオドール、続けてくれ。」
あちゃーと、頭を抱えるアエラ。
流石一行の王子というか、政治という単語にピクリと反応したエリックは、テオドールに話をするよう促す。
それを見越してはなった発言か、テオドールは一つ呼吸を置くと、冷静な声で話し出す。
「変に薄っぺらなヴェール一枚で隠すより、大々的に誰にでも公開した方が、無駄な口論や反対意見を生まずに会議が上手くいく。人を束ねる王として、民にかくしごと無く、真摯に対応するべきだとは、君の帝王学の先生は教えてくれなかったのか?」
「………なるほど、そんな話もあった。そしてわたしもそう思う。」
「なら、もう決まりだろ。」
「ああ。テオドール、喜美はいい友だ。」
「それほどでもない。」
テオドールと、エリックは、軽く握った拳を互いにぶつけ合う。
友情の印、的なあれだ。
「と、云う訳で、アエラ、すまない。君に作ってもらったケープとヴェールは無駄になってしまった。」
「……はぁ。まあ、いいです。兄様に口論で勝とうとするのが間違っていたの。」
私より頭良いんだし、と、アエラは少し諦め気味に微笑んだ。
「二つは、後でアレンジでもして使います。楽しんできてくださいね。」
「ああ。」
やっと終わったのか、と、ソルテルは息を吐く。
ナレッジドは、兄からヴェールをとってもらい、一度目を瞬かせた。
何の時間だったのかしら、と言うふうだ。
なにげ、この姫様が一番上手なのかも知れない。
エリックは、妹の頭をそっと撫でると、小さく謝る。
「ごめんね、騒がせて。星祭り、きっと楽しいよ。」
「……兄様がそうおっしゃるのであれば、楽しいのに間違いありませんね。楽しみですわ。」
花が綻ぶように微笑むナレッジドを、王子は今一度抱き締めた。
少し、窮屈そうだ。
「うっわぁ……シスコン乙。」
「姉さんは何も言わないで。」
「エリックは妹好きすぎだろう。」
空気をぶち壊す三人兄妹は、早々にその場を離れていった。
星祭りは、一晩だけあるお祭り。
キラキラ光る星に、大切な人を見出し、眺める日。
誰と一緒でも、
どんな星空でも、
星は不思議と色鮮やかに、人の網膜に映るもので、
天の上からは見えない星を、
人は精々楽しむのであった。
***
こんにちは。まりりあです。
梅雨ですねえ。
雨が降ってジメジメで、最悪です。
星は……もう少ししないと綺麗には見えないかな?
夏の星座より、冬の星座の方が好きなまりりあです。
では、また次回。
これから先、少々不定期な投稿が続きます。あしからず。




