え?馬鹿なの?
「へっへ~ん!どうだぁ!私の超スーパー凄い技はぁ!」
「……ちっ、……」
鼻高々と言った様子でアエラは無い胸を張る。
それを見て、ソフィアンは忌々しげに舌打ちをした。
上品なデザインのドレスの裾を握りしめている。
「どう?もう技はないの?」
「あなたに用意したのは。」
「じゃあ!私の勝ち?戦いはおしまい?」
「……………。」
何も言わないソフィアン。
見かねた大会を進行している生徒会の生徒が両者に声をかける。
「あの、一応言いますと、この大会の勝敗の決まり型はどちらかが戦闘不能、もしくは、戦意喪失した場合のみです。この場合はまだ勝負は決していません。」
「え?そうなの?」
「はい。」
「へ~。お嬢さんは物知りだねぇ~。」
感心したように言うアエラに委員ちゃんは顔をしかめる。
そりゃあ、そうだろうなぁ。
同い年なのにどう考えても上から目線だし。
「あのですねえ。選手として、せめて大会要項位読んでおいてください。」
「あ、あれ。無くした。」
「っこの馬k………あ、いえ。必要なら、生徒会室まで取りに来てくださいね。」
「うい~。」
もっと、バシ!っと言ってくれて良いですよ。
馬鹿って言っても良いから。
言ってやってよ。
「とにかく!早く戦いに戻ってください。試合は続いているのですよ?」
「……アエラ、良いかしら?」
「ありゃ。ごめん。」
後ろから、ソフィアンに呼ばれ、アエラは振り返る。
はいはい、続けよう~。
と、アエラはスカートの裾を叩きながら首を一度回す。
周りにいたクマのぬいぐるみがくるりと回った。
「さて、もう投了でも良いと思うんだけど?」
「私が、怪我もないのに諸手を挙げると?」
「怪我したいの?ソフィアン………うわぁ………」
「あのねぇ!変な反応しないでください!」
適当なことを言うアエラに、ソフィアンはイライラと靴の先を鳴らした。
カツカツ、という音にアエラのため息が混じる。
「あのねぇ。出来れば早く終わらせたいし、怪我をさせるのもするのもいやだ。分からない?」
「それでは、全力で戦わなくては一体なんのための試合ですか!」
ネコのぬいぐるみが尻尾を振った。
耳に付いた鈴も鳴る。
「え~、肩慣らしと、新しい技の発表?」
「違います!これは、学園においての評価、ひいては国からの評価に直結するのです。」
「……………。」
ソフィアンの言葉を聞いて、アエラは小さくわぁ~お……と呟いた。
それから、きびすを返すようにソフィアンに背を向けると。
「や~めた!」
「はぃ?」
「やだよ。私は楽しいことにしか動かないの!誰かに評価されるためにやってるんじゃない。」
「アエラ、待ちなさい!」
「待たない。ソフィアンの勝ちで良いよ。それだと評価悪い?」
「それもありますけど、そうでは無くて。」
「だいたいソフィアンやマリアナのような可愛い子達を戦わせて実力を測るなんて、とんでもない!」
「え………ありがと……じゃなくて!!」
もう帰って寝る!と、怒るアエラのドレスの裾をソフィアンが掴む。
唖然としていた生徒会の子も、ほっとしたようだ。
前代未聞なのだ。こんな生徒。
と言うか、やめて欲しい。
「ただの授業ではいいですが、今回ばかりはあなたの好き嫌いで戦ってはいけないのです。」
「じゃあ、私の力と、私の時間を使って誰かのために戦えと?」
クマやねこの人形までもが、不機嫌そうに身を振る。
アエラの気持ちと人形達は、ここまで深く関係があるようだ。
「そうではありません。たとえば、ここで良い戦いをすれば、あなたの将来は安定したものとなります。親、兄弟までその恩恵は与えられるでしょう。」
「私はっ………!私は……」
何かを言おうとして、口籠もる。
言いにくいのか、言いたくないのか、唇の間で言葉が固まっている。
「親兄弟などどうでも良い、とは、言えませんわよね。アエラはとっても家族思いですもの。」
「わざと、なの?」
「ええ、勿論。」
ソフィアンはそっと笑った。
立ち止まったアエラの背中に手を当てる。
「全部、わざとです。わざとあなたの戦意を喪失させて、後ろを向かせました。わざと家族の話を出して、あなたを立ち止まらせました。全部あなたを倒すためです。」
ソフィアンの手がほんのり青色に光る。
「趣味悪い……いや、計算高いね。」
「まあ。それが、私の売りですもの。」
「たしかに。」
「で、如何しますの?」
「………あきらめる。私の負けだよ。」
両手を挙げてフリフリと振る。
それを見届けてから、ソフィアンは
そのまま光でアエラを貫いた。
***
こんにちは。久しぶりですねぇ。
今回は、書いては消してを繰り返した難産でした。
仕方ないから、アニメ見て気分変えたり、図書館に行ってみたり。と、楽しかったっちゃあ、楽しかったです。
さて、これから頑張りますよ!多分。




