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正体不明の存在

午後一番の戦いから数刻。

電気使いラクトと話ながら図書館へ来たアエラ。

ガタゴトと図書館内の机を運び、椅子をだし、立体読み聞かせの準備を整える。

途中から来た委員達や、その場に居残されたラクトも手伝いにはいる。

とにかく、時間がギリギリだった。


「時間ギリギリだ。だが、よくやった。」

「むっふぅ~。なんて言ったってこの仕事に誇りを持ってますから!」

「ああ、それは認めよう。さて、開演だ、図書館の扉を開けるぞ。」

「ええ。」


副委員長が指を鳴らすと、独りでに扉が開く。

その向こうには……


「わぁ~!パチパチ!!」


………。

たった一人。

黄色いワンピースの少女と。

「あ、失礼します。」

その保護者とみられる女性。



「わぁ!来てくれてありがとうございます。お嬢ちゃん、お名前は?」

「私?私は、リリカ!」

「そっか、リリカちゃん。楽しんでいってね!いっえーい!」

「いえーい!」


アエラと楽しそうにハイタッチする少女。

副委員長が親御さんを一番見える席へと案内した。

女の子は、椅子の前に引かれた絨毯の上に座る。

うん。こうしてみると、アエラの頭の中はほぼ女の子と同レベル……んんっ……

失礼。

さて、こうして立体読み聞かせは一人のためだけに始まった。

途中、何人か出たり入ったりしたが、

誰よりも心待ちにしていた少女達は、結局来られなかったのである。



『こりぇからはじまりゅのはぁ~、とっても不思議にゃおはにゃしにゃ~』

『そうそう、世にも不思議にゃお話しさぁ~』


台の上に現れたネコとクマの人形に女の子は手を叩いてキャッキャと笑う。

母親はその不思議に驚きつつも、我が子の楽しそうな様子に顔を綻ばす。

アエラもそれを見てまんざらでもなさそうだ。


「むかぁ~しむかし、あるところに~。」

委員達の語りが始まる。

アエラ特性の人形は魔力を籠めるだけで設定どおりの動きをとる。

魔力に自信のある生徒は人形に魔力を注ぎ、他の生徒は語りをする。

それでも、あまる生徒は『さくら』よろしく客席に座って歓声を上げる。


「そこで少女は森の主、くまさんに会いました。」

がぉおお!と、クマの声がする。

リアルなそれに真ん前で見ていた少女は肩をふるわせ、小さくヒッ、と悲鳴を上げた。

「およ?」

隣に座っていたアエラのドレスの裾を握る。

その様子に気が付いたアエラは。

何時もは浮かべないような優しげな顔をして、

「大丈夫、クマさんはこっちには来れないから。」

そっと少女の頭を撫でる。

実の妹の頭を撫でるように。

小さなアエラの手のそれでもあまりあるほど小さな少女の頭を髪を整えるように梳く。

それに落ち着いたのか、少女は笑ってもう一度話の中に引き込まれていく。


「……あれ、彼女の本性か?」

「え?」

本棚の影、少し離れたところから見ていた副委員長が、斜め前に立つラクトに話し掛ける。

何のことかと振り返ったラクトに顎でアエラを差しながら、

「あいつ自身、みたいなところがあるが、それでも姉なのか、と。」

「まあ、実の妹もいますしね。」

「……彼女の妹は、彼女より大人っぽく見えたが?」

廊下ですれ違った姿を思い出す。

つり上がった目は、彼女に似た顔立ちだがきつい印象で、

下手したら何か睨んでいるようにすら見える。

「ああ、ロエルちゃんはそうですね。上二人がのんびりした性格なのに反して、きっちりした努力家だからね。」

「反面教師、ってやつか?」

あははっ、とラクトは笑い、相づちを打つ。

「まあ、そうですね。でも、彼女と兄は強い。彼等の精神の強さ化け物ですよ。それに妹は追いつけない。でも彼等と共にいれば同じ傷は負う。」

「……つまり?」

「彼女は、傷付きやすい妹のたった一人の姉ってやつです。」

ああやって、頭を撫でているところを昔はよく見ましたよ。

と、ラクトはもう一度笑った。

まあ、昔は、の一言を付け加えて。

「そうか。」

副委員長は、女の子とともに読み聞かせを嬉々として楽しむ委員長をいつになく穏やかな顔で見た。



「………ん。」

アエラが小さな声を上げた。

すぐ近くにいた少女は不思議そうに見上げる。

何でもないというようにアエラは笑って頭を撫でた。

「全く、煩くて読み聞かせも出来ない。」

アエラはそっと呟くと、


ドアの前にいた人々を廊下に閉じ込めた。




***

こんにちは。まりりあです。

今日は、とてもいい天気だったので、窓から空を眺めていたら、近くを通った人に、何眺めてるの?と聞かれました。

なので、こんなに晴れているのに外で遊べないなんて勿体ない。

と言ったら、笑われました。

以上。

今日のひと言でした。

では、また次回。

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