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仲直り。

「ま、待ってください。ソフィアン!」

「マリアナ……」


走ってきたようで、マリアナはハアハアとあらい息をしていた。

首元や、額に汗が光っている。

淑女としてのたしなみとかで、あまりドレスで走ったりしないマリアナがこうと言うことは、とにかく焦っていたことが見て取れる。


「なぜ、」

「私は、あなたの友達だからです。友達が行ってしまったら追いかける。それが友達でしょう。」

「っ……」


口元をハンカチで抑え、静かに呼吸を整える。

マリアナの段々と整ってきた呼吸音に隠すようにソフィアンは呟いた。


「わ………わたしは…」

「うん?」

「私は、気遣われるほど仲いい位なら、全てをぶつけられるほど仲が悪い方がましです。」

「…………。」

「ずっと、ずっと、親しくしてきたつもりです。最後にどうしようもなくなったら、頼り頼られるような仲であると、自負してきました。ですが、それは私だけだったのですか?」

「それは……」


言い淀んだマリアナを見て、ソフィアンは眉をひそめる。

いやな顔をしたのでは無い。

傷付いたような。

それも、自分に。


「責めるように言いました。すみません。」

「いいえ。いいの。私は……いえ、私が悪いのですから。」

「悪いなんて、」

「はっきり言ってください。私が悪いって、私がこんなでなければ、私達はもっと良き仲でいられたって。」


木の下に立つソフィアンの元へ、マリアナが歩く。

一歩、一歩。

それをソフィアンはただ見ていた。


「あなたは決して、私のせいにはしないでしょう。それは、私の方が、いえ、私の家の方が階級が上だから?私が王子の婚約者だから?もしそうなのだとしたら……と、思うと、私は、あなたには自ら距離を縮められなかった。」

「そんなこと…」

「分かってる。だから、私が弱かっただけなの。私が……」


ソフィアンの髪をそっと撫でる。

泣き出しそうな笑顔で、マリアナはいった。


「あなたとは、対等であるって、思い込みたかったから。そうじゃないって言われるようなことはしたくなかった。でも、そうさせてしまったのは私の方だっのね。」

「マリアナ……!」


「私は、」

「私……」


一陣。風が吹いた。

マリアナの持つソフィアンの髪が揺れる。

二人の違う髪が揺れる。

同じようにからむように。


「ふっ……」

「ははっ……」

 

笑い出したのはどちらからか。

いつの間にか二人は、

おかしそうに笑っていた。


結局のところ、彼女たちは。

自分を守るためと言い、互いを思いやって。

どうしても離したくないと縋り付いて。


「依存、ですわね。」

「ええ、互いを必要とするあまり、自ら遠ざけるなんて、なんて、ふふっ、」


「「ああ、おっかしい!」」


お淑やかで通している二人が、アエラのように大笑いするのもだから、周りを通る人々が面白いものを見たという顔で通り過ぎていく。

それに気が付かないくらい彼女たちは、この空間、この瞬間を楽しんでいた。



「あはは!涙が出てきたわ。」

「ええ、こんなに笑ったのは、久しぶりです。」

「あら、前にもあったの?」

「ええ、アエラに落とし穴に落とされたときですわ。中等部の大会で負けた腹いせにって。」

「そんなことがあったの。」

「ええ、でも今じゃあ、アエラには勝てませんから、いい思い出です。」

「そうね。」

その通りだわ、とマリアナが笑う。



その時、あ、そうそう、とソフィアンが何かポケットから取り出した。


「これ、アエラの屋台で売ってましたの。」

「クッキー、ですか?」

「ええ、ホントは、後で自分で食べようかと思いましたが、仲直りの印です、御一緒にいかがですか?」

「ありがとう。いただきます。」


可愛らしくピンクのリボンでラッピングされたそれは、アエラの好きなクマのシールが飾ってある。

二人とも、それのおいしさは知っていたから、

笑顔で、口にした。


香り高いシナモンの香り。

甘すぎない味付け。

口の中でほろりと崩れる口当たり。


「……美味しい。」

「ええ、落ち着く味です……」

五枚セットの袋に、一つ残した。


最後の一つは、二人の友達、アエラにと。


「この後、予定は?」

「特にないですわ。後1時間ほど。」

「何かありますの?」

「アエラの出し物、図書委員の立体読み聞かせ。」

「ああ、ではそれまでは、」

「ええ、お話でもしましょうか。」


芝生の上何時もより動きやすいドレスで座り込む。

戦闘用の服なので、汚れも気にせず座り込む。


「勝ちました?」

「ええ、勿論。」

「では、私達が当たることがあるかもしれませんね。」

「その時は、真剣勝負。」

「ふふ、お手柔らかにおねがいしますね。」



1時間。

その時間は何もかも変えるには少し物足りなくて、

虚偽の真実を知らせるには十分な時間である。

こっそりと少女は笑った。

Dolls always laughと言うやつだろうか。

とにかく、天界からは全て丸見えなのである。

楽しくて仕方がないと、

天使も羽を震わせるものである。




***

こんにちは。まりりあです。

腰の痛みがかれこれ三週間ほど治らない。くすん……

そろっと病院に行きたいのですが、時間がない。

誰かホントに『どこでもドア』を作って欲しいものです。

ついでににゃんこロボットも。

では、また次回。

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