方法
「なんで、血なんて投げつけたの?」
「……血液中の物質で絶縁体を作り出し、あなたの手の表面につけて、電撃が漏れないようにしたのよ。」
面倒くさそうな顔をしながら、アエラは話す。
図書室に向かう廊下は人でごった返していた。
別に、図書室が人気なわけでなく、道中に展開される屋台に皆食いついていたのだ。
「………鉄?」
「いや、血中の鉄はヘム鉄だから。どうせやるならマグネシウムとかにするね。」
「それだけでは絶縁体じゃないよね?」
「酸化させるの。金属は酸化したら絶縁体になりやすいのよ。ここで、鉄じゃなくてマグネシウムにするだろう理由ね。ヘム鉄って酸化しずらいし、酸化防止酵素的なのが交ざってて、出来なくないけど大変なんだよね。」
やれやれ、とアエラは肩をすくめた。
ふむ……と考え込むラクト。
「いやに変な言い方するね。ホントは違うのかい?」
「しようかと思ったけど、止めたの。面倒くさいし、血液にどれだけの鉄とかが含まれてると?量が少なすぎるのよ。」
「ホントはなにを?」
「なにもしてないの。」
「……はい?」
図書室についてアエラは、扉を開けて中に入る。
中にいた生徒に軽く手を上げて挨拶すると、奥のカウンターに向かう。
「何かしたように見せて、なにもしてない。ただ、幻覚を見せてただけ。」
「つまり、今言ったことは?」
「出来なくはないけどやりはしない。やってくる奴いるかもだから気をつけなよ。」
「いや、そんなのを思いつくのは君くらいだよ。」
近くの棚の本を直しながら進む。
チラとみただけで並びが違うことに気付くとか凄いね!
ちょっと気持ち悪いねぇ。
「本当はきちんと電撃はでていたの。ただ、見えないように隠したの。」
「でも、僕は君に向けて撃ったはずだよ?当たらなかったの?」
「あなたが当てたのは私の人形。私は痛くも痒くもないわ。」
「歩いてきたのは?」
「動かした。で、あなたの背後で、入れ替わった。振り向いてくれなくて良かったわ。」
そうだったか。と、ラクトは苦く笑った。
「全く、君には勝てないね。」
「去年は勝ったくせに。」
「毎年、一勝一敗だ。」
「全くよ。」
椅子に深く体重をかけると、
アエラは肩をぐるりと一回、回した。
疲れるのよ、と、訴えている。
あははと、ラクトは笑う。
「面白くないわ。」
「同意だね。」
いつかは本気で戦うことがあるかもしれない二人は、
互いにあるどうしても凌駕できない敵を
心の底から嫌がっていた。
そしてまた、何時まで経っても隣にいるそいつを、
心底敬愛してもいた。
***
こんにちは。まりりあです。
上のアエラとラクトですが、
恋愛感情とかは全くないですよ?
ただ、宿敵だな!っと、思ってる感じです。
青春だねぇ……
では、また次回。




