友達の選び方
空は晴れ渡り。
青い空が深くあり、立っているだけで汗ばむ、夏が返って来たようだった。
そんな中、大いに賑わっている屋台が一つ。
生徒も、父兄も、思わず足を止めて、長い行列に並んでいる。
そして彼女もまた、その行列に並んでいた。
「へい、いらっしゃい……って、なぁんだ、シャルロッテじゃん。」
「……はぁ……アエラ。これは何の騒ぎですか。」
「いゃぁ~。儲けた儲けた。まさかこんなに売れるとはね。シャルもいる?」
「いただきます。」
「うん。友達割で氷多め!」
「なるほど、氷が多ければ、中身が少なくなるのでは。」
「ぎ、ぎくぅ!」
黄色い更紗ケープを羽織り、黄色いヘッドドレスを着けたアエラ。
何を売っているかというと……
「はい!レモネードおまちい!」
「……ふむ。美味しそうですね。」
「美味しいよ!なんてったってアエラちゃん印だから。」
「どういうことですか。」
人形が差し出したカップを受け取る。
ひんやりとしたそれに、思わず頬が緩む。
からっと晴れてはいるものの、暑い日なのだ。
屋台の机に頬杖をつき、アエラは不服そうに話し出す。
「いや、全くさ。私は、午後からしか出番ないし、暇で暇で。」
「私は、選ばれもしなかったですから、ずっと暇ですよ?」
「クラスの出し物、シャルは主役みたいなものでしょ。」
「う、う~ん。くじで負けましたから。」
苦笑いを溢すシャルロッテ。
彼女たちのクラスの出し物、まあ、劇なのだが、脚本から書き上げた大作である。
小物やセットの準備に、大いに駆り出されたアエラは、それでも先に話したようにそれ以外に手を出すことを禁止されている身であり、
いわば、お願いだからあっち行ってて、と厄介払いされているのである。
片やシャルロッテは主人公の仲間として、ストーリーを展開させていく立場で、台詞も出番も大いにある。
羨ましくはないものの、やることがあるというのは良いなぁ。と思っているのである。
「でも、アエラも部活があるではないですか?」
「まあね。」
こうして駄弁っている間にも、人形が接客をし、ジュースは売れていく。
魔法があるので、冷たいものは作ろうと思えば作れる。
問題は、その飲み物なのである。
レモネードというのは、分かるが、これは……
「アエラ、なぜこれはシュワシュワしているの?もしかして、お酒?」
「ん?いや、炭酸水だから。」
「たん……さん?」
「うん。炭酸ガスが溶けた水。」
「気体を溶かしたのですか?出来るとは思いますが、どうやって?」
「う~ん?出来た。」
「あ、ええ。そうですわね。」
話は変わるが、昔、兄にせがまれたのだ。
この世界に来てから、コーラやサイダーのような炭酸飲料がないことを嘆いたテオドール。
ついに我慢できなくなった彼は、アエラが大切にしている本を一つ所に集め、庭に穴を掘り、放り投げると、
たいまつ片手に脅したわけだ。
一夜で作り上げたそうな。
さて、これどけ大々的に商売をしていて、ばれちゃいけないところにばれないわけがなく、
「アエラ・シルバール。」
「ん?……げぇ……」
「なにがゲェっだ。巫山戯るな。これは、届けの出されていない出店だ。即刻止めろ。」
額に青筋の浮かび上がるモルガー。
彼は、高等部生徒会なのだ。
ただでさえ忙しいこの時に、知人だというだけで、アエラの元に差し向けられ、
それはそれは、お怒りなのだ。
「で、でも、ほら、お客さん沢山いるし。調理の免許はあるから。」
「え?」
「え?」
「アエラ、あなた調理師目指してるの?」
「いや、私の将来の夢は、楽に生きるとこ、ずばり、一生図書室の虫。」
「そんなことはどうでも良い。」
アエラの腕をモルガーが掴む。
「……むぅ……」
「…………。」
無言で離そうとするも、力の強さで叶うはずがなく。
「一緒に、来てもらおうか。書いてもらわなくてはならない書類が幾つかある。」
「え、先輩が書いておいてくださいよ。」
「なにが先輩だ。こんな時だけ後輩面するな。」
「え、ええ…」
腕をひっぱられて連れて行かれる。
「ち、ちょ……お店は。」
「シャル。人形が接客するから。見てて。」
「見ててって。」
「よろしく!!」
「え……ええ……」
首根っこ引っ張られて連れて行かれるアエラに戸惑いながら。
シャルは呆然と立っていた。
***
こんにちは。まりりあです。
休みなので、お昼寝したら、駄目ですね。
凄く眠くて。
さて、誤字脱字ありましたらお知らせください。
では、また次回。




