魔力検定試験実技大会
オープニングコールと呼ばれる鐘の音が鳴り響く。
あるモノにとっては、楽しい楽しい。
あるモノにとっては、早く終わって欲しい地獄の
魔力検定試験実技大会の始まりの鐘だ。
どうも~。鐘の音によく似合う、天使でぇーす。いえいいえーい!
いやぁ、青春だねぇ!
皆で力を合わせて作り上げてきた成果を発表する日
さあ、楽しもう!
…………、
って、
ちがーう!!
違います。これは、あくまでも大会。
わざとわざがぶつかり合い、青年達が終わらない熱いバトルを繰り広げる血生臭いもののはずなのに。
何だ、この景色は。
「いらっしゃいませ~!ケーキはいかがですか?」
「合唱部三時から発表しま~す。」
わぁ~、見たぁ~い。
……あ、
ああっ、
危ねぇ。
ついつられるところだった。
と言うか、黄色い声しか聞こえねえ。
おっかしいぞ~?
もっとこう、
やぁ!とか、おらっ!とか聞こえてもいいような~。
っしゅばぁああん!!
あ~、そうそうそんな感じ。
その大きな破裂音が聞こえてきたのは体育館の方。
今は、二つのペアがそれぞれ戦っていたような。
開始数分。
あっという間に決着がついたようだ。
どれどれ、みてやろう。
さて、体育館で派手な音をたてて、相手の選手を叩きのめしたのは、我らがソフィアンだった。
彼女ね、可愛い顔して強いんだぁ、
魔法と、柔らかい体を最大級に使ったわざは一撃必殺。
しかも、相手を捉えて放さない。
これはもう、勝つしかないでしょ。
声援を送っていたギャラリーが声をなくしていた。
それを知ってか知らずが、ふぅ、と息を吐いて、その長い金髪を風になびかせる。
どこか不機嫌そうなソフィアン。
あ、アエラとマリアナ真っ青な顔してるよ。
そりゃそうだ。
下手したら自分たちはあれと戦うのだから。
真っ青にもなるわ。
「疲れました。」
「おらお疲れ、ソフィアン。相変わらず強いね。あはは。」
アエラ、笑えてないよ?
苦笑いが酷いよ。
ほら、差し出したお茶のコップ震えてるよ?
そのコップを受け取ると、一気に飲み干して、近くにあった台に、だんっ!とわざと音をたてて置く。
それには周りの人が肩を揺らしておののいた。
「そ、ソフィアン?どうしたの?何かあったの?」
「アエラ、自分の胸をよぉ~く聞いてご覧なさい。」
「うっわぁ~。思い当たる節が多すぎるぅ~。」
「ちっ、」
「舌打ち?!」
おいおい、マリアナ真っ青だよ?
次の試合が始まってもソフィアンは相変わらず殺気ダダ漏れで、近付くもの全てを威嚇しているようだった。
隣では完全に萎縮したマリアナ。
少し前にアエラは脱出済みだった。
「う……アエラァ……置いていかないでよぉ」と言う心の声が聞こえそうだ。
怖い怖い。
「はぁー」
ソフィアンが腹立たしげなため息をつく。
可哀想なくらいびくりと震えるマリアナ。
もう見てらんないって感じだ。
常日頃、1番の仲良しである二人の間にこんな空気が流れるとは、誰も思わないだろう。
「あ、あの……ソフィアン?どうかしたの?」
「……何でもないわよ。」
「そ、そう。うん……そうですわよね。」
負けないで、
ほらほら、アタックアタッック!
その声が聞こえたかのように、マリアナがさらに食いついて聞く。
彼女も、この空気を早く解消したいのだ。
「あのね、何かあるなら、聞きますわよ?私じゃ、力になれないかも知れませんが。」
「力になれないのは私の方です。」
「はい?」
「力になれないのは私の方。そうなんでしょう、マリアナ。」
「……どうしたの?なにを言っているの?」
自棄的に言うソフィアンにさらに分からないという顔をするマリアナ。
それを分かってか、ソフィアンは立ち上がった。
「ちょっ、どこに!」
止めようとするマリアナ。
しかし、タイミングが悪いことに歓声が上がる。
おかげで、声が届かない上に……
『試合終了。引き続き次の試合になります。選手の生徒はただちに選手集合場所へ来てください。』
無慈悲にも放送が流れる。
すぐ二度も行かなくては不戦敗になってしまう。
マリアナはソフィアンへ伸ばした手を。
「っ……仕方ない……。こんな時にぃ!」
名残惜しくも引っ込め、集合所へ走り出した。
こうなったら。
一分でも一秒でも早く試合を終わらせる。
相手は幸運なことに男子。
どうせ時間をかけてじっくり此方を疲れさせてくる。
だから、
一発で仕留める。
友達のためにも。
***
こんちには。こににちは。こんにちは。まりりあです。
趣味で絵も描くのですが、最近筆がのらなくて、
こうして文章ならいくらでも出てくるのにね。
誤字脱字ありましたらお知らせください。
では、また次回。




