見た目と中身。
見た目と中身が異なること。
これは、この世界において往々にしてあり得ることである。
たとえば、美しい花に毒があるように。
たとえば、厳つい皮に包まれた果物は甘かったり。
そう言う場合は多すぎる勇気を持って、一度じっくりその本質を見極める必要がある。
其れが、大変なんですけどね。
どうも~。天使でぇ~す。
天使的にも、アエラは絶対料理とかできないキャラだと思ってたよ?
だって、どう考えても計量とか火加減とか時間とか適当にやるでしょ?
でも、その筋の奇跡的才能があるやつは、適当でも意外と良いせんいくもんで。
「美味しい……」
「でしょぉ?」
シャルロッテは出来上がったドーナツの意外なおいしさに目を見開いていた。
「なにこれ、聞いてないです。外側サクサクで中ふわふわ……香ばしくてほんのり甘くて、美味しいです!」
「えっへん!」
胸を張るな。
料理っていうより、爆発だったね。
よく分かんないと思うけど、自分もよく分からない。
料理って、こう、手順を踏んで一つずつこなしていくことで出来上がるものだと思っていたよ?
でもなに?
ボールの中にすべての材料を突っ込み、混ぜ、コネ、人形が成形し、だいたい180度くらいの油に投げ込んで、狐っぽい色になったら取り出す。
このレシピを本にしたら確実に国中の主婦から悲鳴が上がること間違いなし!
そんな感じですよ?
料理って、爆発だ!
うわ……これ、絶対怒られるわ。上から。
そんなもののため人に火を与えたわけじゃないとかグチグチ言われるんだ、あーやだやだ。
もーやだ。
「こんなにお上手に作れるなら教えてくださいよ!」
「あはは!」
おお~。あまりの驚きにシャルロッテちゃんがアエラの首ガタガタ振ってる~。
面白い~!
取り乱してるね~。
「お、出来たのか?」
「食べさせて、食べさせて!」
おお~。これはこれは、馬鹿兄妹達。
君たち分かってたんだから言っておいてあげなよ。
「お二人とも、アエラさんがお料理上手ってことしっていらしたのですか?」
「知ってた。だからわざわざ女子寮まで食べに来た。」
「アエラ姉ちゃんの手料理久しぶり~。あ~!ドーナツ!いっただき「言ってくださいませ!」へ?」
叫んだ!シャルが叫んだ!!
凄ーい、
珍しいね。
「だって、お母上はお倒れになられたとか……」
「ギャップって凄いよね。と言うか、アエラが作ったもの食ったっていうことに倒れた感じ。」
「そんなことありますか?」
「あったんだ。」
「兄さん其れ見て転げ回って笑ってたじゃん。」
「父さんにあまりに笑うから怒られてた。」
うわ~。かわいそう。この子達の両親。
ごめんね、こっちが授けちゃったもんだから。
でも、貴方たちなら大丈夫だと思ってたよ!
ぐっ!
そんなやりとりをしていたら、わらわらと仲間達が集まってくる。
「アエラのお菓子久しぶり。」
「モル兄さんも食べたことあるの?」
「ああ、クリケットの試合に持ってくれてな。冷たくて美味しかったぞ?」
「私達は食べたことないですわね?」
「はい。友達なのに。」
「あー、ごめん、マリアナ、ソフィアン。面倒くさくてなかなか作らないんだよね。」
「サクッ……ん。美味しい。こんな美味しいならちょくちょく作ってくださいな。」
「ええ、お茶会でぜひ食べたいですわ。」
「んーまあ、たまには。」
「お兄様、大丈夫です。」
「毒味とか要らないから。可愛い妹の体の方が大切だし。友達は信じてるから。アエラは信用に値する人物だよ?」
「そうだな、少なくとも毒物は作らない。意図的には。」
「意図的にはって、どういうことだい?」
「あいつの料理はその日の気分によってレシピが変わる。変な日につくったら毒物が出来上がる。」
「まあ……」
「良い日に当たったことを、心から神に感謝だね。」
あ、いや~、それほどでも?
と言うか、そう言うの神に感謝されても、神はそこまで細かく設定してないからね?
ま、聞こえないだろうけど。
とにかく、そこに訪れた者達はアエラの作ったドーナツとサーターアンダギーに舌鼓を打った。
皿の上からなくなっていくのを見て、アエラは満足げだ。
「あ、ちなみに、其れどっちも揚げ菓子だから、カロリーヤバいよ?」
おっとぉ、
其れ、いわないほうが良くないか?
あ、ほら、女子の動きが止まったよ?
ピクッとなって、固まってるよ?
「あ、アエラ、今なんと?」
「なにか、嫌な言葉が聞こえたような?」
「え~、マリアナ、ソフィアン耳遠くなったの?だから、カロリーがっ、」
「止めて、いわないで!」
「王子の前で……パクパク食べて……」
「そ、ソソ、そ、ソフィアン!て、手、止めて!」
おお~。本日二回目のシェイクアエラ。
なんか、シェイクスピアみたい。
天使的には、シェイクスピアのファウストが結構好きですよ?
あれ、出て来てるの悪魔さんなので、あんまり広言できないんですが。
話が逸れた。
逸れたところで、お開きにしましょうか!
ばいばい!
***
こんちには。まりりあです。
暑いですね。最近は。
熱中症とかに気をつけてくださいね?
室内でもなるんです。何事も、健康が基本です。
まあ、夜更かししてる私が言えたことじゃないんですが。夜中くらいしか読書できなくて。
では、また次回。