エピローグ
何だっけ。俺、確か『愛の物語を紡いでいくんだ!』なんて言ってた様な。それに、憎めないなんて嘘だった。まだ少し憎たらしい方が可愛気があるだろう。
去年は色々なことがあったなぁ。
俺が侵入したことになって義妹と旅に出て、義妹の故郷だという町にやって来てそこで喧嘩してしまった。それどころか義父とまで睨み合ってしまって、最後は仲直り出来たけど町の人達とは別に睨み合いになるし。
まぁ何だかんだ言っても、助け合いが必要なんだってことには気づかされたんだけどな。
だからこうして今、義妹と共に生きているんだ。
義兄として、示しのつく様に仕事を始めた。久し振り過ぎて困惑したり中々慣れなかったが、何とか地に足着いている状態だ。
今は二人で手を取り合って生活している。助け合ってな。
一年前、出会った頃では想像がつかなかったが、二人暮らしって楽しいんだな。初めは義妹の正体が謎で、可愛かったんだけれど不安も多少、あったからな。
今は不安なんて無いし、寧ろ幸福な時間しかない。本当に彼女には感謝してるよ。
そうそう、フランスでの生活は更に厳しさを増していた。今となっては慣れた……とかそういう話でなくて、本当に。辛かったんだ。
俺はフランス語なんて分からないから、義妹が動けなくなったあの日はもう、挙動不審だったんだろうなって今でも恥ずかしい。
人には恵まれたよ。俺が何も話せないようなチキンになってしまっているというのに、手を差し伸べてくれる人がいた。感謝し切れないくらいだ。
そんなことを乗り越えて、俺達は今がある。幸せに、誰にも邪魔されることなく今を生きている。
ステータス最強の義妹は、今や俺にとって最高の妹だ。……いや、そうじゃないな。
俺にとって最高に──愛しい人だ。
未来永劫絶えることなく、俺は愛の物語を義妹と紡いでいきたい────。
次回から後章になります。一章よりは長いですが、どちらにせよ短いです。
よろしくお願い致します!




