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ゼロへと至る無限演算(プロトコール)  作者: 五五五
第一章「美少女=トラブルという真理」
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第4話

「違う……違うだろ、俺。俺はもう少し、ニヒルなキャラのはず。断じてむっつりスケベなんかじゃない。そう知的にいこう、クールになれ!」

 登校前までの出来事を振り返り、一度冷静になろうと決める凪。

 そもそも、警察に連絡をしなかったのは、目的に合致するから。決してイヤラしい欲望やら欲求に流されたからではない。そう自分に言い聞かせる。

 がちゃがちゃッ! ドンドンッ!

 ドアをノックされた。フィリアが着替えを終えたという合図だろう。それでも、再びお色気マンガのようなハプニングが起こるのは困る。なので、恐る恐る扉を開く。

 フィリアはきちんと服を着ていた。ピチッとした黒い薄手のセーターと、赤いチェックのスカート。そして、ふとももまで伸びるハイソックスは、いわゆる絶対領域のラインで太腿に食い込んでいる。

「ほっ……とりあえず、ちゃんと着れたよう、だ……ん?」

 ポヨン。

 ピチッとしたセーターの下で、フィリアの柔らかな塊が揺れる。

 おかしい。

 凪はすぐさま、部屋のほうへと目を向ける。すると、そこには一枚のブラジャーが。

「な、何でブラジャーを付けてないんだ!」

「それ、わからない。どうやって着るの?」

「そ、そんなもん俺が知るかぁ! はぁはぁ、待て待て……クールに行こう、クールに」

 どうしたものかと思案する。

 着る方法がわかる誰かに頼るか。たとえば、ツミキ……いや、フィリアについて説明のしようがない。そもそも、「この子にブラを付けてやってくれ」などと言えば、良くて顔が凹むし、悪ければ穴が空く。ならいっそ、そのまま放置するか。それは間違いなく理性の崩壊をもたらすだろう。マニアック過ぎる。ノーブラ、ダメ絶対。

 となると残る方法は一つ。自分が調べて、着せてやる。

「検索か……まぁ、今回は仕方ないな。こんな状況は想定してなかったし」

 諦めた表情を浮かべつつ、凪は左手を顔の前に持ってくる。

「デバイス・オン!」

 ニューロデバイスが使用者を認識し、起動モードに入る。

「検索、ブラの付け方」

 デバイスが指令を受諾する。電脳通信網ニューロネットの海から、指定されたワードに繋がる情報を瞬時に選び出される。そして、必要な情報が凪の脳内に直接流れ込んでくる。

 凪はフィリアを手招きする。そして、ブラジャーを持ちながら、検索した情報を丁寧に説明してみせた。

「わかったか? これで付けられるだろう?」

「うーん、わかんない。ナギ、着せて」

「そうか、それじゃ仕方ないから俺が……ってなるかっ!」

「なら、いらない」

「ぐぅぅぅっ! お前に必要なくても、俺には必要なんだよ! 犯罪者にならないためにも!」

「なら、ナギが着せて」

「よしわかった……って、だから!」

 押し問答である。しばらく同じようなやりとりを繰り返し、凪は説得を諦めることにした。

「一度お手本をしたら、次から自分でつけろ。いいなっ!」

「……わかった」

 凪はフィリアにセーターを脱ぐように促す。露わになる少女の背中は、透き通るような白。まるでシルクのようなきめ細かな肌が、電灯の明かりに輝いている。


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