邂逅
ゲーム中立フィールドに着くと、辺りは不自然に静まり返っていた。
「え、これどういうこと?」
「なんかあったのかな」
「・・・」
私とユーリだけじゃあたふたしていただろうが、歴戦の隊長グレンはどこか落ち着いていた。
「どうしたのグレン?」
「あ、いや。人気が無いのはもちろんなんだが、妙に空気がピリついてないか?」
「さぁ、私は何も感じないけど」
代表してユーリが答えると、私とクレアも見合わせてから頷いた。
「そうか。お前たちが感じないのなら俺の気のせいかもしれない。だが、奴らがどこかに潜んでいるのは間違いない。気をつけろ」
「あなたの背中は守るわグレン」
「よろしく頼む」
クレアがグレンに並び立ち、二人を先頭にして奥へ進んでいく。
グレンでは無いが、何かがいると分かっていながらこうして緊張を保ちながら進むのはかなり疲れる。そう、小さな頃に行ったきりのお化け屋敷のような感覚だ。
「待て・・・」
しばらく進んでいったところでグレンがようやく指示を出した。
奇襲があると踏んでいたのだが、敵は三人で堂々と私たちの前に出てきた。一番手前の男は何かデカい袋を抱えていた。
「お前たち、VWDFのメンバーか?」
「ああ、そうだ。そういうお前らこそリフォーミストって奴か?」
「俺たち自身はそう名乗ってはいないが、まぁいい。それで、お前らの用事はなんだ」
「言わなくてもわかるだろ。空色の髪の少女と十八歳くらいの少年を預かりに来た」
「男の方は知らんが、女は返してやるよ」
男は抱えていた袋を手放すと、袋の入り口からアイリスの顔が確認できるが、そのまま地面に向けて倒れていく。
その瞬間、目の前の光景が一瞬ブレたように感じた。銀色の閃光が空間を切り裂いた。
クレアが一瞬にして敵のもとに辿り着き、アイリスと地面の衝突を防いだのだった。
「あなた、それでも人間かしら」
「俺はそのつもりだが」
「だったら落第者ね」
クレアがアイリスを抱えたまま空中で優雅に一回転し、敵の頭上に踵落としを見舞う。
ガァン!
敵の反応も素早く、腕一本で彼女の攻撃を余裕の笑みで防いでみせた。
「暴漢としては合格みたいね」
「言ってくれるね」
一撃のやり取りである程度の実力を見たクレアが戻ってきた。表情からみてどうやらかなりヤバいらしい。
「ユウガさん、さすがっす!くぅーっ!痺れるぅ」
「だからやめいてサクラ」
リフォーミストのユウガ、それが奴の名前みたいだ。
「なぁアンタら。勘違いしてるかもしれへんから一応教えといてやるわ。先にこっちの作戦に首突っ込んで来よったのはそこの嬢ちゃんの方やで」
「それはお前たちがここで悪事を働く作戦だろ?たとえこの子が関わらなくても俺たちが介入しないわけにはいかないな」
「そうかいな。分かった、せやったら何が何でもここで決着つけとかなあかんみたいやな」
「そうなるだろうな」
ギャイイイイイイイン!!
再び二つの影が消えたと思ったら上空で火花の散る剣撃がぶつかり合っていた。
「なかなかやるやないか兄ちゃん」
「そういうお前は手を抜いてるんだったら遠慮はいらないぞ」
「そういうの好きやで。せやったらもっとギア上げていかんとなぁ!」
空中で繰り広げられ始めた戦いはどうやら止められそうにない。アイリスをクレアが保護するとしてここは一対一になるわけか。
「くっくっく、そちらさんも血の気の多い奴ばかりで大いに結構。さぁ俺たちも始めようぜ」
ユウガと呼ばれた男が指をバキバキと鳴らしながら近付いてくるのだった。




