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大浴場に来た人物

カポーン・・・


ブクブクブクブク・・・


「はぁ・・・私何やってるんだろ」

セツナのことばかり考えているからだろうか、最近ため息をつくことが多いような気がする。

自分が行動した結果どう運ぶかは自分次第だというのに、どうも最近は自分で転がしているような気にはなれず、誰かにかき回されてばかりな感じだった。

それを怒ることも出来ず、また相談が出来そうな人物は今の自分にはいない。

グレン、クレア、アイリス、そして姉のユーリまでも怒らせてしまい、決裂したのだから。

自分にとって都合のいい時だけ彼らに頼ろうなぞ、むしがいいにも程があるというものだろう。

だからこうして一人で大浴場に浸かってたった独りでお湯に顔を埋めてあぶくを立てているのだった。

「ばあっ!」

「ふひぃっ!?」

「ぶふぅーっ!ふひぃって何ふひぃって・・・ひーっ、ひーっ、ひーっひっひっひっひ、ゴーッボボボボボボボボボボ!」

岩陰から近づき、突然水面から顔を出して私を驚かせたのは姉のユーリだった。腹を抱えてお湯の中でのたうち回っている。器用な奴め。

「お、お姉ちゃん何でここに!?」

「何でってそりゃまぁ十九時半帰投予定だったし、そのままここに来れば今の四十分にぴったしでしょ」

「そ、そうだけどそうじゃなくて」

「ん?」

相変わらず天然くさい姉に対してどう接していいのか分からずに混乱する。

「わ、私たち今喧嘩中じゃなかったっけ・・・」

「あー・・・そだっけ?」

うやむやにしようとしていることがはっきりと読み取れる表情の姉を見て、思わず込み上げてくる。

「ちょっとそれは流石に無理あるよお姉ちゃん」

「あはははは。バレたか」

「うん。だって会議室で私お姉ちゃんから手酷いパンチを貰ったんだよ」

「それは無かったね。うん」

「いやあったろ」

コイツ堂々としらばっくれるつもりだな。

「まぁまぁ、私は皆の分の精算をしたわけだよ。オーケー?」

「そういう言われ方だとなんか腹たつけど、そうだね。アレは私が焦ってあんなこと言っちゃったわけだし、皆には申し訳ないことしたなって後悔してる。・・・ゴメンね、お姉ちゃん」

姉のほぼ無い胸に飛び込んですすり泣いた。

「よしよーし、クリアは相変わらず泣き虫さんだなぁ。私は怒ってないよ。でも人間関係って難しいからさ。私は今のここの生活が好きなんだぁ。だから壊れて欲しくないって本気で思ってるし、それを守るためには何だってするつもり」

「うん・・・うん・・・」

「だからさ、クリアももうちょっと大人にならなきゃいけないね」

お湯に溶けていく鼻水を啜り、笑顔作った私は当たり前のようにこう返事するのだった。

「お前にだけは言われたくないぞ」

「なーんだとー、やーるかー?」

「おーう、やってやろうじゃねぇかぁ、あーん?」

こうしていつものように姉妹喧嘩が始まり、夜は更けていく。この世界に月は無いのに光の量がちょうど良く照らしてくれる。

そう、聞こえるような気がした。彼の声が。

『俺のこと忘れてないか?』というセツナの切なる思いの声が。

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