オウルの気持ち
「オウルさん、セツナが攫われてしまって・・・・ここに連れて来ることが出来ませんでした」
「なんと。お前さんがセツナとやらを最後に見たのはいつじゃ?」
「今朝です」
「ということは、お前さんがVWDFを出るのを見計らって行動を起こしたという節があるな。裏切り者は内部におるな、間違いなく」
「そうですね。残念ながら」
違うと断言出来ないほど攫われたタイミングがあまりにもぴったり過ぎた。
「お前さんはこれからどうする?」
「分かりません」
ここでオウルと別れれば二度と会えないという可能性もある。せっかく見つけたチャンスなのに。でも、セツナを探さなきゃならない。どうしたら・・・・。
「ワシは毎日何時にここに来ればええかの?」
はじめは御老人の言っている意味が全く理解出来なくて、目を丸くして彼の目を見た。
「毎日何時に来ればお主の役に立てるんじゃ?」
「あ、ああ。ええと、朝十時頃でどうでしょうか?」
「分かった。十時じゃな」
訳もわからず約束が成立してしまったがこれは一体・・・・。あ、そうか。彼と会う約束ができていればセツナを起こすことに支障は出ない。そういうことか。
「は、はい!なんか色々お願いしてしまってすみません」
「なぁに、ワシはただお前さんにそんな顔をさせるそのセツナというモンに会ってみたくなっただけじゃ」
「え、セツナに?」
「べっぴんさんにそんな顔させるなと一発殴ってやらんとな」
「は、ははは・・・・」
と拳を掲げて言う老人が頼もしく見えてきた。多分理由は何でも良かったのだろう。彼のご厚意に甘えておくことにした。
「ありがとう・・・・ございます」
人の本質的な優しさや想いに触れた気がして目頭が熱くなるのを感じた。




