謎ロジック
三度龍の森にやってきた。ここは神木の地下であり、オウルと約束したのは神木前。長い階段を駆け上が・・・・羽で飛んでショートカットし、地上に出た。
神木の外へ出る扉を開くと、相変わらずロジックのわからない木漏れ日が差していて、眩しさに手をかざした。
「太陽ないのにどうなってるんだ」
独り言を呟いたつもりだったが、それに答える者がいた。
「それはのう、天の光じゃ」
眩んでよく見えないその姿だったが、声やそのもじゃもじゃのシルエットでオウルだと分かった。
「天の光?」
「ほっほっほ。ワシがそう呼んどるだけじゃよ。ただ、ここの植物は太陽が無いのに成長しとるんじゃ」
「仮想世界で植物が成長するなんて初めて聞きました」
「ワシも最初は驚いたよ。現実世界よりも成長速度が早くてのぉ」
なんだが嫌な予感がした。
「もしかしてこの龍の森って・・・・」
「そうじゃ。全てワシが育てた植物どもじゃ」
「やっぱり・・・・」
御老人が植えた植物が繁茂し、今やこの大森林状態を築いている。一応聞いてみようか。
「あの、オウルさんはいくつなんですか?」
「ワシか?現実世界で六十歳の頃、仕事でダイブアパラタスっちゅうヘッドギア使う機会があっての、それから二十年程ここにおるわい」
この現実的仮想世界に囚われた時期は私達とほぼ同じだった。ということは。
「この鬱陶しい森はたった二十年程で出来上がったってことですか」
「そうなるな」
現実世界で木々がここまで大きくなるまでに数百年を要するという話を聞いたことがある。それがたった二十年。また一つこの世界のロジックの疑問を見つけた気がした。ていうか太陽の光が無いということから派生する疑問の上に疑問を重ねてくるのはやめてほしいんだが。
研究者の血が騒いでムズムズとしてくるが、今はそんなことを言っている場合では無いということを忘れるほど私も愚かでは無い。