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鑑定士の男と再び

もう四十にもなろうとしている姉の頭のことをいつまでも気にしていても仕方ないのだ。早く用事を済ませねば。各々目的の場所へと散っていった。

「ほんとに良かったんだろうか」

「まぁ、アイツらも弱いわけじゃねぇからな。もしものことがあれば自分でなんとするだろう」

「そう・・・・だね。行こう」

ややも不安が残るが取り越し苦労だろうと思うことにして、その不安払うべく鑑定士の元へ急いだ。


「おや、お久しぶりです。旦那のお連れの方」

使っているのは前と同じアバターであるため、さすがに顔を覚えられていた。なら話が早い。

「そういう挨拶はいい。今日は依頼があって来た」

「ということは能力鑑定士としての私に用があるわけではなく、別の用件ということですね」

「そうだ。お前が旦那というセツナ、あいつがもう三ヶ月も意識不明の状態が続いている。仮想世界でそういった症例は聞いたことがない。何か心当たりがないだろうか?」

引かれた椅子に腰掛けながら、頼りない細い糸を手繰るような思いで男の顔を覗き込んだ。その表情はなんだ。やっぱりダメ・・・・か。

「症例には心当たりはありませんね」

「そ、そうか。やはりな。では仕方ないな。今回はいくら払えばいい?」

諦めて帰ろうとした時、男は手をスッと伸ばして「待て」のサインを出した。

「症例にはありませんが、一つ彼を救える可能性を提示することは出来ます」

「ほ、本当か!」

体に衝撃が走って立ち上がった。終わりの見えない旅だと思って出てきたため、こんなに早く情報が出てくるとは思わなかったのだ。

「ええ、しかし可能性は限りなく低いのですよ。幻や伝説の類だと考えたほうがいい。それでも聞きたいですか?」

「もったいぶるな。話を聞くだけだろう。金なら払う」

グレンが大股を開いて腰掛けているが、何故こんなに態度がでかいのだろうか。珍しい。

「もったいぶってなどいませんよ。それとお金はいりませんよ。旦那からしこたまいただいております故」

「そうか。では話せ」

だから態度がでかいよグレン!

「分かりました。ではまず神聖なる森のお話をしましょうか」

グレンが彼の回りくどい言い回しにイライラしている。腐れ縁とか言っていたが、これは過去に何かあったな。

「神聖なる森?」

「ええ、龍の森をご存知ですか?」

「うへぇ」

「ほう」

「おや?何か訳ありの様子ですね。龍の森がどうかなされたのですか?」

私達の苦虫を噛み潰したような表情を見た男が興味を持ってきた。

「いや、そのセツナが意識不明になったその場所なんだよ、そこは」

「なんと、それはそれは。では、なおの事龍の森に行くべきでしょうね」

「それはどうして?」

「あそこは知る人は限られてはいますが、魂の降る森とも言われていまして、神聖なる月光降り注ぐ夜には様々な静動物に魂が宿るという伝承があります」


「仮想世界では考えにくい伝承だな」

「わたくしもそう思いますけど、ただあそこには森の大賢者が住んでいるという伝説もあります」

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