目的は?
「ね、ねぇギル・・・嘘だと言って。」
クリアが何かに救いを求めるようなしゃがれた声を出す。
「ん?誰かと思えばクリアじゃないか。久しぶりだな。大きく・・・・はならないよな。ユーリと挨拶に来て以来か。」
そう気さくにクリアに話しかけてくる彼は悪役には見えない。そしてどうしても憎むことは出来なかった。
「そ、そんなことはどうだっていい!モンスターを召喚したって・・・そんなことが出来るわけない・・・。」
クリアを制して首を振った。
「セツナ・・・?」
「その顔はお見通しというわけだな。そうだ。俺はDIEと同じ原理の力でこの世界に"穴"を開け、モンスターを召喚することができる。そうさ、全てのモンスターを召喚したのは俺だ!俺がこの世界の人間達を襲わせてこの世界だけでしか生きられないよう引きずり込んでいた。」
「やはりな。ギル・・・・お前の目的は何なんだ。」
「目的・・・・そういえばこの世界に居座り続けて長らく忘れていた。研究に没頭するあまり俺の研究材料に相応しいモルモットたちを作り出すことにしか頭になかったようだ。」
憎めない?どうして俺はそんなことを考えていたんだ。コイツの頭はおかしい。それだけで十分じゃないか。
「人ごとみたいに言いやがって・・・・。俺だけじゃねぇ。クリアやグレンも皆口に出さねえ奴も含めて家族に会いたがってる。ユーリなんて傷ついて傷ついて、それでもこの世界で強く生きようともがいてた!それを嘲笑うように目的を忘れてた?研究のためのモルモット?ふざけんな!」
「ふざけてなどいない。俺はこの世界をより高次のものに昇華しようとしているだけだ。お前のことも色々と調べさせてもらったが、プログレスの研究機関に入ったらしいな。」
彼は俺の必死の叫びに何も感じなかったのだろう。ただ淡々と言うのだった。
「ああ、だからどうした。」
「仮想世界の研究者ならお前もわかるだろ。この世界の行く末を見たい。自ら干渉し、その工程を加速させたいと。自分の探究心に嘘をつくのはやめろ。お前と俺は同じだ。この世界をより素晴らしい物に変えるんだ。俺と一緒に来い、セツナ。」
「ああ、分かったよ。」
「おお。そうか、分かってくれたか。」
「せ、セツナ!?」
クリアが頓狂な声をあげる。
「何勘違いしてんだ?お前がネジの飛んだクソ野郎ってことが改めてよく分かったって言ってんだよ。ぶっ飛ばすぞ。」
俺が心底怒っているのを彼は感じていないのか、ただただ淡々と返事をするだけなのだった。
「そうか・・・・。同じ志を持つ仲間と思っていたのはどうやら俺だけのようだ。残念だが仕方ない。」
ギルはため息をついて、DIEにより槍を召喚した。
「やはり戦うしかないようだな。君は俺が描く仮想世界に必要な人材だと思っていたが、本当に残念だよ。」
俺が最も憧れていた研究者の一人、ギル・パプテマス・アルベルトにそこまで言わしめたのだ。嬉しくないわけがない。だがそれとこれとは話が別だ。
「それはこっちの台詞だ。あんたは間違いなくこの世界に必要な人材だ。俺はあんたに憧れて研究者になった。だがあんたは沢山の人を傷つけ、命を奪った。それだけで俺とお前が戦うのに理由はいらない。お前をぶっ倒してユーリを返して貰うぞ。」
DIEを装着して相棒を呼ぶ。
「サモン!レックスデストラクション !」




