透明ではなくなった?
「そいつはお互い様って奴だな」
「まぁ、そうですね。それにしてなんでこの大会に?」
「お前が生きて戻れたこと、そして最強を目指すことをユーリから聞いている。ならここに来ると踏んだ」
まぁ、そういうことなら理解できる。そしてもう一つ聞かねばならないことがある。
「そうですか。でも……なんで隊長の姿が見えるんですか?」
「ほぅ……冷静だな。もっと驚いてもいいんだぞ。ちょうど数日前にDIEが一段階進化したんだ。アップデートってやつだな」
「アプデ?」
俺が訝しんで首をかしげると彼はニヤリとして首肯した。
「ああ。ギルがDIEの機能を増やしてくれたお陰で俺たちはこの世界で自分達が生き抜き、そして他人を守る術を得た。そしてこの世界に実体化することさえも可能になったんだ」
あのギルならば発明者なんでも出来そうな気がしたのでそこはとても納得がいく。なら、これでユーリや他の皆にも会えるのか。
「なるほど。それで俺に会いにきたのは何故?」
「それは……今のお前の強さを確かめるためだ!」
ちょうど戦闘開始の合図が鳴り、グレンがそれに合わせて唐突に飛び出した。
「なっ……!?」
キイイイイイイイイイン!!!
不意をつかれて腰が引けてしまい、彼が振り抜く剣を受けるのが遅くなってしまった。
「貴方ってこんな卑怯な性格でしたっけ?」
「何言ってんだ?戦闘合図は守ったろ。ならそりゃお前の注意不足だ」
「ご忠告どうも!」
ギャイイイイイイイイン!
鍔迫り合いになっていた刀を力技で振り抜き、グレンを退かせる。