2年後
それから色々やってみた。基地に行ってみたがアジトそのものすら見ることも触れることは出来ない。刺されたグレンのことも心配だし、そのグレンの妹と名乗っていたエミのこと、アレク、アイリス、クレアはもちろんだがユーリのことが常に頭の片隅にチラつく。
色々試してみたが、彼らと接触することは叶わなかった。透明だから当たり前だが……
次に考えたことはどうやってユーリたちをこちらの世界へ引き戻すかだ。
常にその方法を考えながら戦闘訓練、演習を行って己を強化しているとあっという間に二年が経っていた。学校に行くことがほとんど無くなりひたすら仮想の対人戦闘ゲームに打ち込む毎日を送っている。
仮想世界に現れた電脳獣から襲われ、酷い目に遭ったのにも関わらず、俺はやはりよほどのゲーマーなのか、プレイ時間は増える一方だった。
たまに京がゲームサイドで様子を窺うチャットを飛ばしてくるが「大丈夫」とだけ返事して、再びゲームに戻る。
そんな日々を二年もしていれば学校内の信用など地に堕ちるもので、かつて俺を慕ってくれていた友人たちも、たまに学校に顔を出すと、その目は蔑むものに変わっていた。
「ま、そうなるわな」
親もあの日何があったのか、とは聞かずただ自分の好きにしろと言う。こういう時親の方針が放任主義で良かったと心から思う。
しかしそれは親に限らず、元友人たちは影口こそ言いはするが直接は何も言うことは出来ないでいた。そりゃそうだ。
何故なら……
「流星!また中間一位だな。どんな勉強してれば学校に来なくてそんな出来るんだい?」
今だ変わらぬ態度で接してくれる内の一人、花畑星羅が背中を叩いてきたので振り返る。
「教科書一読しているだけだけど?」
「ほんとそればかりで何も教えてはくれないな、お前は」
「事実なんだから仕方ないだろ。それにヘッドギアで記憶の定着は昔より格段に良くなってるのに、何故皆暗記科目が苦手なのか分からん」
「数学を暗記科目だというのはお前くらいだよ」
「そうか?」
「ほんといけ好かない奴だ」
星羅が舌を出してあっかんべーをすると回れ右して自分の教室へ帰って行く。と思ったら一旦停止して振り返らずに呟く。
「流星……二年前のあの日、何があったのかは聞かない。だけど僕はお前が諦めたのではなく、何かその先を信じて進み続けているんだと信じてる。それだけは分かって欲しい」
「ああ。ありがとな。お前や京みたいな奴がいてくれるお陰でテストの日と返却日だけはなんとか学校に来れてるよ」
「そこにやはり藤ヶ崎が入ってくるのだな」
「なんとでも言え」
「もっと僕のことを見てくれてもいいのに……」
ボソッと吐かれた言葉は聞こえなかった……ふりをしなければならない。
「なんか言ったか?」
「なんでもない。応援してるぞ、セツナ」
「ちょっ、おま!」
「ふふふふふふ」
俺が伸ばした手は空振りし、不敵な笑みを振りまきながら手を振ってそのまま自分の教室へ戻っていく。俺はそれをやれやれと見送るのだった。
「ったく……」




